久々に目頭が熱くなり、一歩踏み出す勇気を得られた本に出会えた。早く事業を軌道に乗せてルーム・トゥ・リードに寄付をしたい。

1964年生まれのジョン・ウッド氏は、ケロッグ経営大学院でMBAを取得後、コンチネンタル銀行を経て1991年にマイクロソフト社に入社。アジア地域のマーケティング責任者をしていたが、キャリアと高年俸を捨て、突然、途上国の子供達に本を贈るNPOを立ち上げた。
本書の第22章はルーム・トゥ・リードと日本のかかわりを知ってもらうため、日本の読者に向けて特別に書き加えられたらしい。



マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった

マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった


<読書メモ>


・世界で推計8億5千万人が、基本的な読み書きもできない。
 (世界の人口は60億人なので、7人に1人。8億5千万人のうち女性が2/3。)
・小学校に入学する年齢の子供のうち1億人以上が学校に行っていない。
・鉄鋼で財を成したアンドリュー・カーネギーは、私財を投じて北米に2千以上の
 公立図書館をつくった。
・ネパールの非識字率は約70%。男性成人の非識字率は39%。成人女性の75%は
 簡単な文書を読むことも書く事もできない。
ビル・ゲイツの総資産は600億ドル。誤差は10億ドル。それに対し、中国の1人当り
 GNPは平均725ドル。ビルの資産は中国人8300人分の年間所得に相当する。


○ダライ・ダマの教え
・基本的な義務は、この地球上で自分たちより「持っていない」人々を助けること。
 幸運にもいい暮らしができているなら、自分達が恵まれていることを知りなさい。
 貧困のサイクルを断ち切るために助けを必要としている人々に手を差し伸べる
 ことによって、仏に感謝しなさい。


○最後の決意
・僕は未来を照らす光を感じていた。あつは決断するだけだ。会社生活の安定も
 喜んで捨てられそうな気がしていた。
 不安もあったが、正しい道だと思った。もっと幸せな人生が待っているのだ。
 世界を股にかけるおせっかい焼きとして、経済的に暮らしていけるかどうかは
 分からなかったけれど。
 それでも自分の決心を宣言しなければならない。そして、僕をあきらめさせよう
 とする人達を説得しなければならない。世の中はリスクを嫌う人ばかりだ。
 先が分かっている安全な道をはずれるべきではないと、たくさんの人が悪びれも
 せずに言うはずだ。
 人生の大半を通して、僕たちは社会の期待に応えるようにと教えられる。僕は
 もうすぐ社会の期待にそむくのだ。これまでの人生は、すべて予測可能なレールを
 歩いてきた。2つの学位と13年間のホワイトカラー生活。僕という人間は、
 経歴や仕事で定義されてきた。でも今、急旋回しようとしている。知らない
 世界へ一気に飛び込もうとしている。大企業の幹部から、ヒマヤラの山奥に
 図書館わ建てる無職の男へ。決心が変わらず、自分の本能を信じることが
 できますように。


○友人マイクの最高のアドバイス
「バンドエイドをはがす方法は2つある。痛いけどゆっくりはがすか、痛いけど
一気にはがすか。きみが選ぶんだ。」
 ・行動を起こすときだった。うだうだと考え、貯金を計算し、友人に愚痴を
  こぼすのにも飽きた。どれも引き伸ばすための作戦にすぎない。自分が何を
  やりたいのか、僕にはわかったいる。その時が来たのだ。

○自分の人生を少し変えてみようと思うなら
 ・考える事に時間をかけすぎず、飛び込んでみること。
 ・準備に時間をかけすぎると勢いを失ってしまう。
 ・最大のリスクは、たくさんの人が、あなたかを説得して夢をあきらめさせ
  ようとすること。世の中には、うまくいかない理由をあげることが大好きな
  事が多すぎて、「応援しているよ」と励ましてくれる人が少なすぎる。
  1人で考える時間が長いほど、否定的な力に引き寄せられて取り込まれ
  やすくなる。
 ・ゆっくり着実にすす路ことが本当に重要なときもある。でも、よりよい世界を
  つくるためにやるべきことがあるときは、障害を気にしてばかりいても
  いけない。許可を求める必要もない。とにかく飛び込むのだ。否定的な
  意見にやる気を奪われる前に。


○ゼロからの出発
 ・1999年12月 ブックス・フォー・ネパール(ネパールに本を)設立
 ・2001年後半 「ルーム・トゥ・リード」に名称変更


○大切な寄付者と会う前に確認する5つのポイント
 ・お金のある寄付者は、教育が自分の人生の役に立ったという経験をしている
  可能性が高い。その「お返し」に、今度は途上国の数百万人の子供に同じ
  贈り物をできるのだと強調する。
 ・寄付がもたらす直接の効果がわかる。8千ドルの寄付でネパールに学校を
  1つ建てられるのだ。お金がどこへ行くのか分からないから寄付はしたくない、
  という人もいる。僕たちの組織は、寄付したお金の行き先を「正確に」
  報告できる。現地の写真を送り、寄付者が自ら学校や図書館を訪ねることも
  できるので、具体的な結果が目に見える。
 ・運営コストは低く抑えている。寄付金の90%が、運営や資金集めではなく
  実際のプロジェクトに使われる。
 ・情熱を売り込む。情熱が「余る」ことはありえない。僕がテクノロジー業界
  の出世街道を捨てて報酬なしで専念していることを話せば、共感して
  もらえるだろう。
 ・人は、人生により多く意味を求めている。教育に投資すれば、世界を変える
  ために手助けをしているというすばらしい気持ちを味わえる。


○大きく考えることが肝心
 ・マイクロソウトでは「大きく行け、それができなければ家に帰れ」と
  言われていた。何か変化を起こしたい全ての人に送るアドバイスの核心だ。
  今日の世界が直面している問題は、とてつもなく大きい。
  少しずつと言っている暇はない。時間と精力を注ぎ込む価値のある目標が
  あるなら、大きく考えるべき。
 ・大きく考えれば、目標はおのずと実現する。大胆な目標は人々を引き付ける
  からだ。
 ・アマゾン・ドットコムは、1995年にジェフ・ベゾスが設立した時、1冊も
  本を売らないうちから、「地球最大の書店」と宣言していた。
  1年目の収益はマンハッタンのバーンズ&ノーブル1店舗の売上の少ない
  1週間分より少なかったが、地球最大の書店をつくるという宣言は、
  投資家やメディア、消費者の注目をおおいに集めた。


マイクロソフトから導入した組織文化

1.結果重視の姿勢

2.具体的な進捗を報告
 ・実際の結果を報告し、新しい情報をこまめに伝えること。
  全ての送信メールの最後に名前や所属と合わせて、成果を記している。
 ・現在の書名
   ジョン・J・ウッド
   ルーム・トゥ・リード創設者/CEO
   子供の教育から世界が変わる
   www.roomtoread.org
   <現在までの成果>
   学校200項、2カ国語の図書館2500ヵ所以上、本の寄贈120万冊、
   症状への長期奨学金1800人以上。私たちと一緒に教育を広めましょう。

3.具体的な数字に基づくこと
 ・全ては数字に置き換えることができ、全ての管理職は自分の仕事に
  関する数字をひとつももらさず精査すること。
 ・新しい組織は、すべてのスタッフに情熱がなければ機能しない。
  特に初期の採用が肝心だ。彼らが新しい組織の文化を伝えていくからだ。
  従って、起業家はたくさんの志望者をやり込めなくてはならない。
  情熱があって、自分の数字を知っている人間だけを雇うこと。

4.部下に対する忠誠心「忠誠心は双方向」
 ・スティーブ・バルマーは、部下に大きな忠誠心を求めるが、彼は
  それ以上のものを返してくれる。「部下のことは何でも知っているんだ」
 ・これだけ多くの人がスティーブのために働き、今日まで深い忠誠心を
  誓ってきた理由にはかならない。彼は部下に厳しい要求をするが、
  部下は彼も自分たちに応えてくれることを知っている。
 ・すべての成果はチームの成果であると強調することも大切。


ゲーテの言葉
 ベートーベンの交響曲第五番について
 「世界のすべての音楽家がこの清くを同時に演奏したら、地球は地軸から
  はずれるだろう」


○ルーム・トゥ・リードの目標
 ・2020年までに1千万人の子供に生涯の教育という贈り物をすること。
 ・東京チャプター japan@roomtoread.org
 ・あなたの寄付でできること

25百ドル 女子への奨学金10年分
3千ドル 図書室の開設
1万ドル 図書館の建設
1万2千ドル 現地語による本の出版
1万5千〜3万5千ドル 学校の建設
1万6千ドル 語学教室、コンピュータ教室の開設

※各施設に寄付者の名前を記すこともできる。