2008年に設立された総理直轄の「社会保障国民会議」で提示された「年金シミュレーション」で年金は三直、未加入門ン代では破綻しない事がはっきりした。その会議に委員の一人として参加した細野真宏さんの「わかるシリーズ」の本を読んでみた。年金問題や日本の赤字財政について、分かりやすく説明がされている。マスコミの断片的な情報を鵜呑みにして、単純に将来不安を持ってしまっている大衆にならないよう気を付けたい。本の中で何度も出てくるが「金融・経済教育の必要性」に共感した。

最新の経済と政治のニュースが世界一わかる本!

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<読書メモ>


○年金制度の持続性

・「公的年金」は先進国ではどこの国でも「現役世代が払った保険料」を高齢者の年金に使うという「仕送り方式」になっている。
・現在は少子高齢化が進んでいるが、以前は年金の保険料を払う現役世代が圧倒的に多かった為、現在では約200兆円もの「年金積立金」が存在する。
・年金は現役世代の保険料からだけ支払われるのではなく、国民年金については半分は税金から支払われている。
・国の公的年金は、あくまでも「国が責任をもって高齢者の生活を支える仕組み」であり、「国が行う金融商品」ではない。
・今の年金制度では2017年以降は、年金の保険料の水準は上がらない事が決まっている。
・どんな若い世代でも「国民年金」では現役世代に支払った保険料よりも年金は平均で1.5倍以上に増えて貰え、「厚生年金」では2.3倍以上にに増えて貰えることになっている。(厚生労働省「平成21年財政検証)
・民間の「変額年金」は物価の動きを反映しない「名目」なので、「払った当時の保険料の金額しか保証されないが、「国の年金」は物価の上昇分も踏まえた「実質」で計算されている。
・もしも国の年金を民間と同じ基準の「名目」で考えると、「国民年金」は現役時に払った保険料の3倍以上、「厚生年金」は4.5倍以上となる。
・年金の中長期的な見通しは「出生率」と「(実質)経済成長率」の2つの数字で決められていて、原稿の年金試算の出生率の前提は、2005年に記録した過去最低の「1.26」が使われており、経済成長率の前提は「0.8%」となっている為、今の年金制度は安心そのもので考えてよい。
・現在の年金制度は「標準的なサラリーマン世帯が年金をもらい始める段階で、現役世代の手取り給料の50%以上になる」ことを目安にしており、財政検証によると2025年には55.2%、2038年以降でも50.1%と試算されている。
・年金積立金の運用利回りは、実質経済成長率と連動しており、中長期で0.8%を達成できるとすると中長期の実質運用利回りは3.1%(将来の実質長期金利2.7%+分散投資効果0.4%)程度をみ込める推計となっている。


○日本の財政状況
・日本の支出は社会保障費を除いた状態では、OECD加盟国の中でも最下位となっており、支出は少ない国になっている。
・高齢化率は世界一であり、社会保障費を含めても、世界的にみて圧倒的に支出は少ない「低負担・低福祉の国」になっている。
・2万2,600人の国家公務員が4,700法人に天下りして年間12兆6,000億円の税金が流れているが、そのうち人件費は1,026億円にすぎない。日本の公務員の人件費はOECD加盟各の中でも最低。
・日本は政治家が国民の反発を恐れて増税を先送りし続けてきた結果、「国は借金だらけだが、国民はお金持ち」という不思議な状況となってしまった。国の借金が増え、国民の個人金融資産は増え続けている。
・景気が回復すると金利も上がり、借金の利子負担が増えてしまうので、安易に借金を増やすのはリスクが高い。
子ども手当(子供一人に毎月2万6千円を中学卒業まで支給)の予算規模は毎年5.5兆円で、消費税では2%ぶん必要となる。ちなみに2009年の防衛費は4.8兆円。


○1998年のロシアのデフォルト(債務不履行)
財政破綻の1年前の1997年8月時点では、ロシア国債金利は20%を下回る水準で推移していた。
・1998年4月から財政悪化の不安が大きくなり、7月には金利が80%を超える水準なーに高まった。
・破綻直前の8月14日時点では、国債金利が174%となり、たった1年で金利が150%以上も上がった。


○各国の複数税率

- 標準税率 軽減税率 軽減税率の主な対象品目
スペイン 16% 4〜7% 食料品、本、特定医薬品、ホテル、レストラン、演劇
オランダ 19% 6% 食料品、医薬品、書籍、公共輸送
ドイツ 19% 7% 食料品、書籍、旅客輸送
フランス 19.6% 2.1〜5.5% 医薬品、食料品、旅客輸送、肥料
イタリア 20% 4〜10% 食料品、書籍、放送、映画、ホテル
デンマーク 25% - なし