森ビルでアーク都市塾という私塾が開かれているが、39期入塾式でリヴァンプの代表パートナーである澤田貴司氏が記念講演された。

何度か、玉塚氏の講演は聞いたことがあるが、澤田氏も同じ体育会系のオーラを感じた。
最初に森ビルの森稔・代表がわざわざ、この為に挨拶に来られていたのには、驚いた。
森代表の挨拶の後、都市計画で有名な伊藤滋先生の話は、大変興味深かった。
講演後の、米倉誠一郎先生との対談は、いつも面白いが、今回も期待通りで、ライブで聴けて良かった。
リヴァンプ自体の環境が厳しいらしく、社員の出入りが激しいことが悩みだそうだ。



伊藤滋先生の挨拶メモ>

○50年後の日本の人口構成
 ・現在の人口は、1億2800万人。2050年には9千万人強となり、3千万人減ってしまう。
 ・県別に将来人口を見ていくと、秋田県の人口は50%減となり、殆どが40%減となる。
 ・東京だけが人口は減らないが、高齢化率が相当高くなる。



<澤田貴司氏の講演メモ>

講演テーマ「企業を芯から元気にするために」


○自己紹介
 ・1957年石川県吉野谷村生まれ、現在50歳、息子22歳、娘20歳
 ・1977年上智大卒
 ・1981年伊藤忠入社、1997年ファーストリテイリング入社、2002年4月退社
  2003年2月KIACON設立、2005年9月KIACONをMBO、2005年10月REVAMP設立


伊藤忠時代
 ・化学品国内営業部で6年間下積みし、世界の物の流れを学んだ。
  殆どの同期は2年で、海外に出張をしていた。
 ・その後、花形の化学品貿易部に異動となり、1992年に米国サウスランド社
  (セブンイレブン親会社)が倒産した時に、同社の担当となった。
 ・モスバガーの櫻田創業者、イトーヨーカ堂の伊藤名誉会長、マクドナルドの
  藤田田社長に、手紙を書いて会いに行き、起業家の違いを知った。
 ・スターバックスCOOのローレンス・モルツ氏と出会い、本社の独特の雰囲気を
  知った。スタバの時価総額は、当時の4億円からその後2兆円位になっている。
 ・その後、伊藤忠で企業内起業を試みたが失敗し、自分の夢実現に限界を感じ
  16年間お世話になった伊藤忠を退職する事に決めた。
 ・退職日となった4月27日最後の日に、室伏稔氏が2時間のランチを、食べさせて
  くれた事は今も覚えている。


ユニクロ時代
 ・年商400億円位の1997年に柳井社長と出会った。
 ・1997年5月、38歳で店長候補として入社、伊藤忠の給与を1年間だけ保証して
  頂いた。
 ・1997年7月、山口本社・経営企画部に異動、同9月商品本部長、同11月取締役、
  同日に常務昇格、1998年2月副社長兼営業本部長、2002年4月退任。
  短期間に大抜擢して頂き、給料も思いっきり上げて頂いた。
 ・入社時に年商は400億円→4,000億円に、利益は20億円→1,040億円になった。
 ・ユニクロで学んだこと
   現実、現場を知ることの重要性
   問題をテーブルに載せることの重要性
   誰が正しいかではなく、何が正しいかの議論
   企業文化の重要性(重要情報を明確に全社に発信)
   →トップが何が出しいか、明確に発信することが大事
    田園調布店:顧客の子供がオモラシをしてしまった時、店員が自腹で
          子供の下着を購入し、着替えさせてあげた。
    調布飛田給店:混雑し近隣から大クレームがあり、毎朝近隣を清掃した。
    クレームレターを全社員にコピーして読ませ、全社員で対応を考えさせた。
 ・結果が出ればモチベーションは上がる
 ・ツポの重要性(フリースの原宿キャンペーン)、問題を一気に解決できる。
 ・爆発によって会社は変わる。機会を与えることの重要性


○KIACON時代(社名の由来は、「気合と根性」)
 ・小売・流通業(市場規模143兆円)へ特化した再生事業の大きな可能性
  →近代化遅れ、トヨタ自動車のような強力な会社が不在
 ・米国の先進事例を研究
 ・トランスコンチネンツの経営の難しさと投資回収の難しさを認識
  →自ら代表となったが経営的には失敗、しかし会社は高く売却できた。
 ・コールドストーンとの出会いにより、スタートアップ事業を経験
  →来年、国内20店舗に拡大
 ・650億円のファンドマネージャーを経験し、ファンドビジネスへの理解不足を
  認識し、現場に出たいと感じた。
 ・「自分のやりたい事」と「自分ができることの発見」へのモガキと決断の重要性


リヴァンプの創業
 ・ブーズアレン澤田代表と瓜生弁護との出会い
 ・純粋に企業再建し、大政奉還スキームを試みたい
  →ロッテリアの重光氏に、再建後、会社を返還する
 ・ファンドではない会社を設立。資本金1億円は玉塚と自分の二人で出資。
 ・経営への圧力が劇的に拡大し、問題解決能力が問われている。
 ・リヴァンプでは経営者として再建先に参画。
 ・資本参加しオーナーシップを共有。
   →ロッテリアでは役員5人中3人を占め、議決権を51%所有。
 ・単独経営の限界→チームによる経営
 ・従来型のファンドの限界、従来型コンサルティングの限界は結果責任が無い事。
 ・チームを派遣し、月1回土曜日に全員ミーティング、3ヶ月に1回金土日で勉強会。
 ・梁山泊モデルとして、108人の経営者を育て、排出したい。
 ・現在、社員53名、うち社長経験者は14名。プロフェッショナル資格者14名。
 ・現在は中途採用のみ。


リヴァンプの基本理念
 ・顧客重視
 ・徹底的な現場志向
 ・チームによる経営
 ・支援先本位と独立性
 ・プロフェッショナルとしての進化の追求


○経営リーダーシップ人材の定義
 ・全ての状況を正しく把握し、適切な判断を迅速に下し、実行し、結果に結び
  つける人間
  →人間力×スキル×強烈な体験の3つが必要


○自分がこれまでに大事にしてきた事
 ・顧客満足、社員満足、キャッシュフロー(自分への投資)
 ・中長期を見据えた事業計画策定(特に優先順位の決定)
  →未来は社長しか作れない
 ・5%の計画と95%の実行
 ・事実を謙虚に受け入れる
 ・前向き、明るさ、使用時期、素直な気持ち
 ・相手の事を理解する力
 ・仕事に厳しく、人に優しく
 ・一人の限界、全社巻き込み型経営


トークツの再建
 ・ブランドは2万種、ベンダー59社、チャネル200社超
 ・売上構成は、約8割を上位9ブランドが占めていた。
 ・粗利構成は、約8割を上位7ブランドが占めていた。
 ・サプライヤーは、上位15社で80%を占めていた。
 ・55万足の在庫を1年で4万2戦足に削減し。約10億円のキャッシュに替えた。
 ・知花くららさんをチーフ・ブランディング・オフィサーにした。
 ・ニュービランスに40億円の売上を持っていかれてしまった。
 ・リヴァンプで25%、ゴールドマンサックスで50%の株式を所有。
  →一橋MBAの佐山先生の授業で講演した際に、ゴールドマン勤務の学生が
   トークツの案件を相談してくれた。


コールド・ストーン・クリーマリーの国内展開
 ・米国本社は全米1400店舗、米国一位のアイスクリーム店舗展開。




<米倉先生との対談、質疑メモ>

リヴァンプは、プロフェッショナル・マネージャーのマーケットを作っている。
ヨーカ堂の伊藤氏が、「米国ではガソリン、ビール、タバコ等、売上トップの
 業界が利益が少ない。売って利益が出るモノを強くしなければならない」と
 言っていた。
ユニクロで売上が4千億円から3600億円に堕ちて行く時に、柳井さんから社長を
 やれと言われたが、自身が無かった。
 副社長とは言え、創業社長と係長の関係のままで、会長と社長になるのは辛かった。 
・流通はメチャクチャで宝の山。業務改革でキチンとやれば変われる余地がある。
リヴァンプは、会社を元気にし、経営者を一緒に育て、社会に貢献したい。
・リーダーシップで大切なことは、約束を守り結果を残すこと。その連続が
 リーダーを作る。
・ブランドは何処にも存在しない。頭の中にある「企業と顧客との約束」
クリスピー・ドーナツのオープンパーティ
  1日目は、従業員の家族と友人を招待。
  2日目は、お店を支えてくれる関係者を招待。
  3日目は、メディアを招待。
  4日目に、経済界の偉そうなオヤジを招待。
トークツは、まず利益を出し、何年も支払われていなかったボーナスを
 出したことで、社員のモチベーションが上がった。
ロングテールはITの世界の話。
・自分にとって、今この瞬間、がんばっている現場の人が一番大事。その人達が
 本当に幸せなのか、その人達を元気にしないと顧客に満足を与えられない。
・クリスピー・ドーナツは従業員600名。今年130名採用。