前から読みたいと思っていた本を、漸く読むことができた。

大企業と正面から競争しない元気な中小企業のビジネス手法について、大変参考になる事例が紹介されていた。
著者がNHK教育テレビ「21世紀ビジネス塾」のキャスターとなった2002年から3年間で約400社を取材した中から、「小さな会社の小さな工夫」を紹介している。



<読書メモ>

電気店(東京都町田市:15万世帯のベッドタウン)
・お店は150坪の1店舗のみで、年商12億円。
・従業員の半分は外回りの営業マン。1営業マンの顧客リストは約600世帯。
・顧客を年間購入金額毎に4グループ(100万円以上、30万円以上)に分けて、営業スタイルを変えている。
・営業ノルマは、売上ベースではなく「粗利ベース」。
 →その月のノルマに合わせて、価格設定し利益を上げることで、会社の財務も安定する。
・リフォームビジネスに参入し、工務店を下請化し、家電売上の利益率を確保している。

○牛乳屋(神奈川県)
・ネット野菜販売会社と提携し、野菜を配達し、販売手数料を得ている。

○御用聞きの役割
・顧客のニーズに合った専門店や専門家を紹介すること。

○ビジネスホテルチェーン
・支配人は全て既婚女性(子育てが一段落した女性)で、駅前旅館の雰囲気作りを目指している
・短期間の本社研修後、すぐに支配人となる(最初の3ヶ月は支配人見習い、1年間は副支配人)
・始めは宿泊客に迷惑を掛けるので「サンキューゴメンネキャンペーン(シングル3,950円」

○ビルメンテナンス会社(四国一の売上)
・「クレームはわが社の宝物!」
 →どんな些細なクレームでも全て報告するように義務づけ、24時間365日対応
 →顧客クレームは、5分以内に報告、3分以内に行動を起こし、2時間以内には現場に駆けつける

○旅行会社(お客様がパートナーになる)
・新宿区区の高層ビルの2フロア800平米を、顧客に無料開放し、各種クラブを開設(参加無料)
 →ツアーの添乗員もボランティアで顧客が担当

○スーパー(福岡県柳川市)
・個人経営ながら年商16億円。年間90万人の集客力
・正社員6名は、生鮮食品売り場しか担当せず、残りの半分以上の売り場は取引先の憂い業万が担当
・加工食品・雑貨:大手問屋に商品価格以外は全て任せるが、納品時に建てた計画通りに販売結果が出ないと問屋はスーパーに罰金を支払うルール
 →出入り問屋の売上帳簿を、自由に閲覧できるようになっており、ょ憂そうが生まれ生美合う仕組みになっている。
・日販品:周辺の36食品メーカーに、売り場を完全に任せる 
 →小規模食品メーカーにとって、消費者と直接接触できる場を提供

○スイッチボックスメーカー(名古屋証券取引所上場、国内シェアー80%)
・1695年創業、従業員780名
・年間休日140日。年末年始は約20日の連休
・始業時間9:15、終業16:45、残業無し
バブル崩壊後の1990年代でも、利益率は2割近い数字を上げ続けている
・提案制度、年間8千件。
 →1件につき500円の報奨金。年間最優秀提案者には3万円を支給、年間5件以上の提案者にも3万円
 →全ての提案を役員会で議論することで、従業員の働き甲斐と直結する仕組み
 →提案制度により、「問題意識」と「会社の目指す目標」を全従業員が共有
・社是「常に考える、なぜ、ナゼ、ナゼ」
 
○菓子メーカー(北海道の定番商品を製造)
・従業員とパートタイマー合わせて1700名。
・年に春と秋にホテルの大ホールを借りて、従業員と家族を集め、従業員が輝く為の表彰制度
 →表彰状の文面は、全て社長が考える
 →様々な部門が用意され、40人以上を表彰し、それぞれ数十万円の正金と豪華なディナーへ招待
・毎月、月間表彰制度もあり、全役員から寿司とワインでもてなしてもらえ、15万円の臨時ボーナスを支給
・毎日A6判のメモ用紙に気づいたことを書き、社長に提出。翌日午前中に社長が全部を読み、日刊社内報(B4版両面)を発行。(4名の総務部員と社長で365日毎日発行)
・人事部は無い「人事というのは劇薬だから」
 →人事権を持つ人間には派閥ができ、仕事以外のことに精力を注ぐ人間が出てくる
・1割の人間が常に変化しており、毎月、人事異動を行っている

○造船会社(愛媛県今治市)
・100年間黒字を維持
・景気には必ず浪があるので、常に最悪の説きに照準を合わせて経営をする。他者と競争するのではなく、景気が悪い時に黒字が出せる設備と人員で常に経営する。
・景気が良い時でも腹八分分目。
・日本の造船業界が厳しい2000年に、売上の3年分に当たる140億円の設備投資を実施
 (造船業界では26年ぶりの新工場の設立)
・この設備投資の甲斐があり、翌年には造船建造量に日本一となり、日本も造船建造世界一の座を奪還