12/2にNPO法人生活設計支援センター主催の第1回セミナーで、澤上篤人氏の講演会が開催され、参加してきた。澤上氏は今年104回講演をしたそうである。

当該NPO法人は、ファイナンシャルプランナーが中心となり昨年末に設立され、立川市を中心に活動している。
ちなみに、さわかみ投信には、毎月2万円づつ銀行口座から引き落としにして、約1年経つ。
これだけ日経平均がガタガタの期間なのに、プラスになっているのは凄いと思う。<講演メモ>

○経済の基本
・経済には「発展期」と「成熟期」がある。
・日本は成熟段階になっており、中国、インドは発展段階である。
・経済とは、国民の毎日の生活が集ったものであるので、どんなに不景気になっても衣食住の支出は必ずある。
・日本は中国の3倍の経済規模があり、中国は近年毎年10%近くの経済成長を遂げているが、中国がこのまま、毎年10%成長し続けても、日本と同じ経済規模に達するのに15年必要である。
・政府の発表で、「いざなぎ越え」と言われているが、いざなぎ景気は成長率10%が5年続いたが、今は1%成長がダラダラと続いているだけ。

○経済の発展期
・企業は実態経済を先取りして、設備投資・雇用など、先取りして先行投資をしておかないと、需要の拡大に対応できない。

○経済の成熟期
・需要は買い替え需要のみ。
 →昨年の新車販売数は、中国574万台、日本586万台。日本は国内に7500万台走っており、毎年必ず600万〜700万台の買い替え需要がある。
・企業は、資産売却・人員削減など、コストを下げ、拡大時に備えてメリハリのある経営を行う必要がある。
・成熟段階になっている先進国の殆どが財政赤字になる。
・成熟段階に入ると、資産の運用ニーズが高まる。
・米国では、個人の寄付で、全雇用の9%が賄われている。

○日本の現状とこれから
・貯蓄率は低下している。1975年/23%、2000年/15%、2004年/2.8%。ちなみに米国は0%。
 →貯蓄率とは、可処分所得(給与・年金+金利−税金・社会保障費)から残ったお金の比率のこと。
・個人資産1400兆円の内、54%が貯金、14%が生命保険、7%が株式投資、3.6%が投資信託、2.2%が国債等の債券。
 →米国は貯金・生保は15%、株式・投信・債券が54%。
 →日本も貯金・生保から20%程度は株式・投信にシフトが起こる

○貯金の構造
・生活者が預ける「預金金利」に「金融機関の手数料」を乗せて、企業への「貸出金利」となっている。
 →生活者は、企業の利益を乗せたモノを買うので、財産は自然に目減りしていくことになる。
  今までは、給料が増え続いていたから気づかなかっただけ。
・現在の国民預貯金780兆円の内、10%が投資に向かえば、15%の経済成長となる。

○運用の基本は複利と再投資
・海外に1932年に設立して、現在9兆円のファンドがあるが、72年間の年平均利回りが12.8%。
・ちなみにこの利回りで、毎月1万円づつ積み立てると、33年間で1億円となる。(積立金額は380万円)

○本物の投資は長期投資
・相場、業績、投資理論は関係ない。
 →相場:人の思惑が集ったものにしかすぎない
 →業績:今期と来期くらいしか分からない
 →投資理論:市場は動くので、勝ちパターンは使えなくなる
・不景気に株を買いささえてやり、経済の現場に金を回らせてあげる

○長期投資の方法
・投資は自分の意志をお金で示すことで、子供や孫にどんな社会を残したいか、何を応援したいかを考える。
・銘柄の選定:応援したい会社。株を買うのではく会社を買う。無くなったら困る会社、がんばっている会社。良い会社を応援しているという夢を持つ。
 →相場を追いかけると株価で買ってしまう。
・投資時期:生活実感で投資する。自分と周りががんばらないとダメと思っている時は不景気。
      ちょっと贅沢しているかな?と感じたら景気が良くなっている。
・投資先国の選定:日本のグローバル企業に投資すれば、我々より頭のいい経営陣が、グローバルに設備投資をしてくれる。
・景気の山と谷のスパンは12〜13年。5〜6回に1回、大きくぶれる。
投資信託の場合は、純資産額が増えているファンドを選ぶ。(日本には2〜3本しかない)

○澤上氏の今後の活動
・地方に純資産額が増え続けるファンドの立ち上げを支援している。
・「ありがとうファンド」(2年4ヶ月前設立、現在40億円、年利回り12.9%)
広告宣伝をしないので、ファンドの手数料が安い。