52人のビジネスに関するヒントが短くまとまっていて、非常に参考になった。

特に、ゼロから事業を始めた創業者の話は、目からウロコが落ちました。

<読書メモ>

○齋藤正勝(カブドットコム証券・代表執行役社長、1989年多摩美術大卒)
・接待が成功するか否かは準備にかかっている。ビジネスは才能ではなく、きちんと準備した者が勝つ。
・予約時間の20分前に店に入り、トイレの場所、メニューの内容を確認。店長に名刺を渡し「できれば接待の途中に一度挨拶にいらして下さいませんか」とお願いしておく。
・話題に詰まったら、この話をしようと想定問答集を作っておく。
・段取りが良いビジネスマンになる為には、「5分前行動」「朝、30分早く会社に来て、その日の仕事の準備を済ませる」事を奨める。

○篠崎製作所(東京品川区の町工場)
・社是は「?」の一文字。オフィスには「?」マークが額縁に入って飾られている。
・Webサイトに「今月の失敗」コーナーがある。

○野尻佳孝(テイクアンドギブニーズ・代表取締役社長、明大卒、元住友海上火災保険)
・お坊ちゃん学校の明大付属中野中学時代に、贅沢をしている同級生の親の職業を片っ端から調べたら、医者、弁護士、芸能人ではなく、「創業社長」ということを発見した。
・景気に左右されにくそうな業種として「シルバー・ビジネス」「人材保健」「冠婚葬祭」の3つに絞り込んだ。

○渡邉美樹(ワタミ代表取締役社長、明大卒)
・高校3年の5月、進学を決意し、先輩から教えられた8冊の参考書を3回分勉強する時間、つまり8冊の総ページ×3を残り日数で割って、「1日当り3時間勉強すれば良い」という結論に達した。
・現在の自分の状態と、夢との距離を測り、残された日数で割ると、今日するべきことが明確になる。

○直江文忠(サンクチュアリ代表取締役社長、台北出身)
・大前ケンイチ主催「ビジネスジャパンオープン」で2大会連続最年少セミファイナリスト。
・2001年恋人の死をきっかけに、「明瞭な価格設定」と「ハウスセレモニー」の葬儀サービスを展開。
・事業化の資金支援の依頼の為、パソナの南部社長にお願いする事に決め、毎日電話をかけ会社を訪ねて交渉をした結果、秘書が根負けし、南部社長と直接会えるチャンスを手に入れた。
・本気度をアピールする為に、起業仲間と「血判状」を作成し、資金援助の約束を取り付けた。

山田正彦(ワコム代表取締役社長、三代目社長、1986年東北大工学部卒)
タブレット市場のシェア:世界70%、日本100%
・1990年に単独で渡米し、どんなビックカンパニーであれ恐れずに飛び込み営業をした結果、ディズニーに採用された。チャンスはいつ、どの方向から来るか分からない。

○森正文(一休・代表取締役社長、1986年上智大法学部卒、元日本生命保険相互会社)
・「一休.com」の特徴:扱う宿泊施設が高級ホテル・旅館だけ、宿泊料金が毎日変動
・高級ホテルのブランド価値を保つ為、取り扱う宿泊施設のランクを限定
・需要と供給のバランスで宿泊料金が変動
・1998年に起業したが、会社の方針も定まらず、不振が続いていた中、新宿西口のホテルり明かりがついていない部屋が多いのに気づき、宿泊予約逆オークションを思いついた。

○稲場裕幸(道とん堀代表取締役社長、1982年双葉調理師専門学校卒)
・全国展開を図った時に顧客満足度が25%まで落ち、「アンケート回収率」コンペを実施
 →店員が回収率を上げる為にお客と会話をするようになり、満足度が上昇

グローバルダイニング
・店舗には店長と料理長の2名しか正社員がいない場合もあり、店舗の内情を経営陣が把握するのは物理的に無理。
・全員参加の「時給ミーティング」を月1階開催し、全員の挙手で各々の時給を決定する。下がってしまう場合もあるし、自分から下げ申告をする者もいる。

○青木定雄(MKタクシー・オーナー、立命館大法学部中退)
・1976年、「MK運賃4つの挨拶運動」をスタート。次の4つの項目を運転集が実行しなければ運賃はもらわない。
 1.「MKでございます」「ありがとうございます」と挨拶をする
 2. お共先は「○○までですね」と堪忍の復唱をする
 3.「本日は○○がお共致します」と社員名を明らかにする
 4.「ありがとうございました。お忘れ物はございませんか?」とお礼を言う
・「挨拶の徹底」から出発し、「きもの割引」「MK新聞」(ドライバーによる京都観光情報、隠れた名店紹介)など多様なサービスを展開

○高野研(スリープロ代表取締役社長、立命館大)
・パソコン家庭教師派遣ビジネスで起業、その後IT支援サービス事業で成功
・父親からアルバイトを解禁された18歳からアルバイト求人誌を読み始めバイトジプシーを楽しんでいるうちに「フロム・エー」を定期購読するようになった。いつの間にか、アルバイト求人誌の中に世間のあらゆるニーズや経済の動きが詰まっていることを発見した。

上田祐司(ガイアックス代表取締役社長、1997年同志社大卒)
・24歳で独立した時、一緒にサイト作りをしていた後輩達に、会社員時代の給料を仕送りしていた。
・合理的な彼は、後輩への仕送り資金と独立資金を貯める為に、住まいを持たない「コインロッカー生活」を実践した所、会社の役員会で「どうも会社で寝泊りしている社員がいるらしい」と話題になり、切り抜けるのに冷や汗をかいたこともあったらしい。

○丸々もとお(夜景評論家、1988年立教大社会学部観光学科卒、元ぴあ、元リクルート)
・日本にただ1人の夜景評論家。商標登録済み。
・36歳の時、本当にやりたい「夜景の仕事」をすべてリストアップして、今のペースでやり遂げるには90年かかると思い、独立を決意。
・退職後1年間は、北海道から沖縄まで各地の夜景を見て周ることだけに専念し、全て撮影しコンテンツをデータ化した。
・公式サイト「スーパー夜景サイト」「日本夜景遺産

見城徹幻冬舎代表取締役社長、慶応大法学部卒、元角川書店
・1993年に社員6名で出発。
・設立の翌春に起草した『闘争宣言』
 「私達は文芸が衰退しているのではなく、文芸を編集する側が衰退しているのだと考えています。すなわち、大手寡占状態の中で、出版社は作者と読者の両方の胸の鼓動や息遣いに耳を澄ますことなく本を送り出しているのではないか?」
・スムーズな仕事なんて意味がない。人ができないことをやって、初めて仕事だ。そもそも真剣勝負の仕事がスムーズに進むわけがない。そんな仕事には、落とし穴があるに決まっている。スムーズな時ほど疑え。
・海の苦しみが大きかった仕事ほど、反響がある。既に常識が出来上がっている業界であれば尚更。


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