遅ればせながら、Web2.0に関する書籍を読み始めました。

2001年にデジタルハリウッド渋谷校に通って以来、随分とこの世界と離れていたので、テクノロジーの進歩の速さに、ワクワクしています。
この本は、企業がどうブログを活用してビジネスに役立てるかという事を、4つの具体的な成功事例と巻末で100社のブログ事例カタログで紹介している。

<読書メモ>

○ブログの歴史とブログ専業メーカーのシックス・アパート
・ブログは1999年にアメリカで搭乗し個人ユーザー間で急速に普及し、2005年9月末で日本国内のブロガーは約473万人(総務省調査)
・2004年秋頃から企業のブログ活用事例が急激に増えている(米国より日本が先行)
・2001年10月、ブログツールの世界標準ソフト「Movable Type」完成
・2002年シックス・アパート社設立(社名の由来は、誕生日が6日違いのベンとミナの夫婦が、自宅で創業したから)
・2003年10月、シックス・アパート社、ブログASPサービス「TypePad.com」を開始
・2003年4月、ネオテニーシックス・アパート社に資本参加
・2003年12月2日、ニフティTypePadをベースに「ココログ」開始、シックス・アパート日本支社設立
・2004年3月30日、NTTコミュニケーションがTypePadをベースに「Blogzine」を開始
・2004年4月、「Movable Type3.0」有償化。それまでは無償ダウンロードでの配布
・2004年12月、「Blog on Business」開始、販売促進を目的としたブログの事例を紹介
・2005年12月現在、10カ国でプロダクトを展開


○ブログの特徴
・著者のブログの定義「簡単に更新できるWebサイト」
・訪れた読者と非常に簡単にコミュニケーションが取れるコミュニケーションの道具

○ブログ・マーケティングの5分野
1.広報・IR
 →企業そのものをマーケティグする。デイ標的なものが「社長ブログ」
2.マーケティング
 →企業が販売している商品・サービスをマーケティングする。
3.EC(電子商取引)
 →オンライン上で販売が完結するサービスの為に利用される。ブログとの親和性が高く、売上・利益とも直ぐに測定可能。
4.セールス・CRM
 →顧客との関係を重視したものだが、最終的な目的は顧客に商品を購入してもらうこと。
5.イントラネット
 →企業内の社員同士のコミュニケーションを促進する。

○ブログ・マーケティングの3つのフェーズ
第1フェーズ:企業のメッセージを効果的に発信する為にブログを利用する段階。社長ブログが典型例。
第2フェーズ:より効果的な双方向コミュニケーションを、企業と顧客、顧客と顧客の間で実現する。
第3フェーズ:企業に存在する情報を一般の人がブログを通じて自由に利用できる仕組みを整える。

○ブログ。マーケティングの重要性
・「購入者から見たウェブショップ運営者のブログについて調査」(Eストアー、2005年10月19日発表)
  商品購入にショップ運営者のブログが参考となる 54.8%
  ブログで読みたい情報 「セール情報32.6%」「商品情報31.7%」
   →購入の為にさらなる情報を求める声が上位を占める
  ショップ運営者のブログを通して商品を購入した経験は「ない」 88.1%
   →サイトナビゲーションとしては、まだ改善の余地がある

・「ネットアクティブ男女の情報&消費生活」(電通、2005年10月18日付日経産業新聞)
  消費者が商品を知ってから購入するまでの過程で、新たに「インターネットで商品評価をチェック」と「意見交換」という行動が加わった。
   →消費者は、ブログによる口コミを理容して、企業が提供する情報以外の情報を積極的に収集

○成功企業のケーススタディ
1.J-WAVE ブログ開始2005年3月
 ・ブログの更新は全て番組スタッフに任せている
 ・番組の「ウラ話」を書いたブログ記事がリスナーの共感を集める
 ・番組の宣伝にトラックバックやRRSといった機能を活用して番組を宣伝し、ブログへのリピート率も向上
 ・競合他社のメディア企業に先駆けてブログを大規模に展開し、話題を集めてアクセス数を伸ばした
2.柴田書店 
・ブログを理容したEコマースを、一般的なツールを組み合わせることで内部で構築しコストを抑えた
 ・本の見開き写真を載せ立ち読み感覚にする等、商品の見せ方を工夫し売上を伸ばした
 ・職の専門出版社という強みを活かし、自社コンテンツを再利用する「レストランニュース」サイトにより、Eコマースへ利用者を誘導
 ・メールマガジンを併用し、既刊本の需要を掘り起こすことで利益を上げた
3.イーナチュラル「ビジネスブログ
 ・潜在的なコキュクが求めている情報を提供するWebサイトを作り、自社サービス情報へ誘導した
 ・検索エンジン最適化(SEO)対策を自社サイトに実施し、検索サイトのランキングで上位になり集客効果を高めた
 ・Webサイトで自社サービスの強みや特徴をはっきり伝え、他社との差別化を図った
4.リクルートR25」 
 部数60万部(2005年11月)、プレ創刊の2004年3月時は20万部。
 公式ブログは月間100万ページビュー、バックナンバーは2005年9月から用意されている
 2005年7月から「R25モバイル」を開始
 →あえて活字離れが進んでいるM1層(20〜34歳の団塊ジュニアの男性)をターゲットにし、新聞や書籍への入り口を目指すポータルサイトの紙媒体版がコンセプト
 →1駅分の2分で読み終えれる800字の記事が中心
 ・コンテンツ管理システム(CMS)としてのブログのメリットを生かして短時間、低コストで構築
 ・トラックバックを受付めことにより、読者の記事に対する反応が見え、編集の参考にした
 ・リニューアルして誌面の記事をブログに載せることにより、1週間でなくなってしまう本誌を補完した

○ブログ事例 シックス・アパート社の「Blog on Business」で紹介されている

CMS:メディアを初めとする企業が大量の情報を発信するためにブログをコンテンツ管理システム(CMS)として活用
CNET Japan Blog
ITmediaオルタナティブ・ブログ
夕刊フジBLOG
NEC wisdom Blog
nikkeibp.jp
FujiSankei Business i BLOG

EC:購入者の目線に立った情報を反版に発信することでEコマースサイトの集客効果を期待
UKウェブログ:英国ブランドの商品特徴を細かく解説
bk1スタッフレビュー:書店スタッフが書評を執筆
てるくにでんきお客様の事例集blog:購入者の取り付け例を写真で紹介

PR:PRにブログを活用することで読み手を巻き込んだ双方向のやり取りが可能となり宣伝効果を高める
マネックス ラウンジ:投資に関する知識の解説記事
ティーダ・ブログ:日産が2004年9月に発売した小型車「TIIDA」(サニーの後継車)の販促用プログ
         2004年10月1日の「指で押さずにいられない」は共感できるブログエントリーの成功例
一伸歯科医院:歯科医が派の健康相談を執筆
原土井病院緩和ケア病棟:イベントの紹介や講演の採録
榎本会計事務所:企業経営に関する知識の解説、会計用語集
BlogPeople:国内ブログをデータベース化したブログ情報のポータルサイト
TOSHIO KAKEI's BLOG:筧利夫の日記ブログ

教育:ブログを学校関係者のコミュニケーションツールとして活用
青山学院大学国際政治経済学部 SIPEC Square
長谷幼稚園 はせっこドットコム:幼稚園から保護者への「おたより」掲載、保護者交流会の様子


『ブログ・オン・ビジネス』 シックス・アパート株式会社編 日経BP社 2006年1月5日第1版第1刷発行 1500円