NHK『プロフェッショナル』File:037 「どん底の会社よ、よみがえれ」 企業再生専門弁護士:村松兼一氏(52歳)

使命を持って、これまでに100社以上の中小企業の企業再建をやられてきた村松弁護士の生き方に共感した。
独立して8年目に相談に乗っていた小さな子供服店の社長から感謝の言葉が書かれた遺書(FAX)を肌身離さず携帯している。二度と同じ悔しい思いにならない為に、使命を全うしている。<番組メモ>

倒産件数、年間1万3千件、その大半が中小企業


○会社の救済=人生の救済
・中小企業の経営者は、自分の命に代えて、お詫びして借金を返済しようと考えてしまう。
・会社が続くか潰れるか、それは時に経営者や社員の命にも係わることになる。
・企業の再生を通じて、係わる人達の心の救済、人生の救済をしたい。


○再建手法
民事再生(会社再生時に通常使用する)
  裁判所に申し立てし、銀行と取引先の同意を得た上で、借金を一律カットし、再建を図る。
  この方法では、借金がかっとされて取引先があおりを受け、倒産するケースが少なくない。
  民事再生を提案しても、債権者の同意を得られるかは不明。
・私的再建
  再建策を金融機関だけに持ち込み、極秘にシッャキンを減らしてもらう。
  説得力のある再建策が不可欠であり、難しい手法。
・営業譲渡(法律を駆使して行う、企業再生のウルトラC)
  新会社を設立し、工場設備と従業員を移し、10億円の負債の内、返済見込みがある借金のみ新会社へ移行する。
  今の会社は残った負債と共に破産させる。
  →問題は、新会社の負債をいくらくらいに設定するか?


○窮地を救うのは「正直」
・会社の内情を正直に説明して、一緒に再建していこうと説得する。
・会社が行き詰ったのは、経営陣の見通しの甘さであり、銀行の不信感は根強い。
・主力銀行を回り、ひたすら頭をさげ続け事となるので、精神的に疲れるが、何百人の生活が自分の肩に掛かっていると思うし、皆がこれで幸せになれるなら良いと思う。

  
○再建手続き
・財務諸表を詳細に調べる
  →コストをどのくらい削れば、現在の売上で利益を出せるのか?
   役員報酬の大幅カット、不要リースの見直し、材料原価の低減
・再建計画の作成
  →そば屋のケースでは、新宿店のみ残し、経費を抑えて黒字化を図る。
・銀行説明会 「過去じゃない、未来を語る」
  →破産して1〜2%回収するか、生かして10年乃至20年でもっと回収できるかどうかを考えて頂く。
   このまま潰せば資産を売却しても数千万円、再建できれば2億円の回収ができる。


○企業再生の考え方
・企業再生は互いに喧嘩して奪い合うのではやく、債権者と債務者が手を取り合って、同じ方向に向かわねばならない。
・倒産という悪魔と戦うには、皆で僕の船に乗って下さい。
・係わっている人達が、少しずつ損しながらやる事が、結果的に皆が得になる。


○プロフェッショナルとは
・困って頼ってきた人を、見捨てないで守りきる強い使命感を持つ事が大事