1998年頃に慶応大の学園祭での孫さんの生講演を聴くことができ、起業家への道に魔がさした事を思い出した。2000年のネットバブル時に同じく竹村健一氏が著した『孫正義大いに語る!!―ネット革命・新世紀への挑戦』を読み、ITバブルの真っ只中に飛び込んだのが懐かしい。

巻頭の孫さんのメッセージ通り、「孫正義の今と未来を知るのに十分な情報」であり、「インターネット財閥」が着々とリアルビジネスで実績を積んでいることを改めて知ることができた。

孫正義のクレージー経営者宣言

孫正義のクレージー経営者宣言


<読書メモ>

○いつまでもリスクテーカーであり続けたい
 ・世界最大の勝負師ビル・ゲイツから著書の『ビル・ゲイツ未来を語る』に「You are RISKTAKER as much as I am」という言葉を記して送ってくれた。


○ブロードバンドの普及
 ・日本全体で4700万世帯中、現在ブロードバンドADSLは1200万世帯。
 ・2001年6月ヤフーBBカADSL事業に参入
   2001年1月ADSL契約回線数16,194件→12月には152万4,564件と100倍に
   2005年1月末、ヤフーBBだけで471万回線でシェア35%
 ・米国の1/100の価格、50倍のスピード

○インターネットは行動するメディア
 ・Yahoo Japanは毎日平均10億ページが読まれている
 ・書籍は100万部で大ベストセラー、世界1位の発行部数の読売新聞でも1000万部
 ・米国Yahooは2005年に2千億円の形状利益を出したが、3年前まで赤字だった
  →Yahooが社員6名の時(売上1千万円、赤字2千万)に100億円を投資し、持ち株比率を35%にした
  →現在、時価総額が2町5千億円くらいになった。

ソフトバンク・グループ
 ・国内500社、海外を含めると800社、その殆どでソフトバンク筆頭株主
 ・本体の中核部分の持ち株会社には70名の社員のみ(1部上場時は6名)、その周りに8つの事業統括会社、その下に事業会社がぶら下がる。
  →全て違ったブランドで活動し、資本構成もバラバラ。ブランド名も統一していないし、指揮命令を発動させることもあまりないし、人事権も行使しない。
  →独自性を発揮した方が進化していき、ブランドも規則も給与体系も、物の考え方や社員教育も全て適材適所で考えるべき。
  →キーワードは「生き残りたい、企業価値を高めたい」というDNA
→自己進化を促す為にJVをすることで、突然変異を起こす「異業種混交」
 ・自分がリタイアする時には5000社にし、ソフトバンク・アカデミアを設立し、5000人の社長に自分の意志を受け継ぐ

○NTTの政治力
 ・総務省(郵政省)からNTTへの天下り(1990年から2004年)
事務次官2名、局長は10名以上、審議官OBも数名
 ・株主には郵政共済会もある
 「ソアトバンクグループは、今後100年間、監督官庁からの天下りをいっさい受け入れません」と宣言。

○ネットバブルの話
 ・ヤフーを買った後、1999年ネットバブルにより保有する株式価値でビル・ゲイツを抜いた。
  →過去10年間、たった3日間とはいえ、ビル・ゲイツを抜いたのは世界中で孫さんだけ
   個人資産が2千億円となり、ソフトバンク時価総額は20兆円とトヨタを抜いた。
 ・1995年にヤフー・ジャパンを設立し、1997年に店頭公開し、初値200万円。
  1999年4月7日に3200万円、翌日4200万円、翌々日6000万円とIPO時初値の30倍の値上がり
  (2日間で2800万円の値上がり、当時発行株数1万3800株で2日間で時価総額が3860億円上昇)
  1999年3月期売上18億円、経常利益3億円程度(2005年3月期売上1177億円)

○コンピュータの発展
 ・2018年にコンピュータは人間の脳を越える
  →脳細胞のシナプスの数は約300億個。CPUのトンジスタ数は1年半毎に2倍になる

○デジタル情報産業
 ・コンタンツ、コミュニケーション、コミュニティ、コマースの1つのCを統合する産業
 ・ブロードバンド市場は50兆円
  (新聞社・出版社の市場規模が1兆円、通信だけで17兆円、テレビ4兆円、音楽5千億円、ゲーム1兆円と足していった数字)
  →自動車産業の国内市場規模18兆円、通信分野17兆円、総合家電15兆円
  →広告市場規模6兆円(テレビ2兆円、新聞1兆円、ラジオと雑誌が合計6千億円)
   インターネット広告費1814億円(2004年、前年比50%以上の伸びで、ラジオ広告を上回る)

○孫さんの「人生50か年計画」(19歳の時に計画した)
 ・20代で名乗りを上げ
 ・30代で1千億円の軍資金をつくり
 ・40代で1兆円の投資をするような勝負をする
 ・50代で事業を完成させ
 ・60代で次の世代に事業を敬称させていく