グーグル村上憲郎社長の講演メモ
東工大SIMOTの第3回国際シンポジウムでグーグル株式会社・村上憲郎社長が講演をされた。先日もNHKでGoogleが取上げられ、最近、過剰に世間から注目をされているが、当事者の生の話を聞く機会はなかなか無く、大変貴重な話を聞けた。
Googleが、これから何を目指しているのか、大変分かりやすい素晴らしい講演であった。
<講演メモ>
○Googleに関する情報
・現在、国内では約70冊のGoogle関連書籍が発売されており、その殆どは使い方に関する内容。
・5〜6冊がGoogleとは何ぞや?という内容で、中にはいわれの無い脅威論が書かれている物もある。
○Googleの創業
・1995年にスタンフォード大で2人学生(創業者)が検索システムを開発開始。
→同じ年に、同じスタンフォードでヤフーも創業。
・1998年にガレージで創業。
○Yahoo!とGoogleのビジネスモデル
・ネット情報の整理の仕方の違いが、ビジネスモデルの違い
→書籍に例えるとYahoo!は「目次」で、Googleは巻末の「索引」
Yahoo!は、ポータルモデルであり、ユーザーの滞在時間をいかに長くするかを目指している
Googleは、検索結果を瞬時に表示し、いかに滞在時間を短くするかを目指している
○Googleのミツシヨン
1.世界中の情報を整理して、世界中の人がアクセスできて使えるようにする。
2.それを無料で提供する。
3.収入は広告収入のみで支えたい
→この3つを支えるのが「技術」
・Googleはコンテンツを持たず、その情報が何処に存在するかをユーザーに教えるのみ。
・世界中の情報量は、現在500万テラバイト。
・2010年には情報量は11時間毎に倍になる。
・「世界中の情報」には、まだインターネット上でデジタル化されていない書籍・動画も含まれる。
・Googleは、検索結果の情報が正しいか、良いか、美しいかは価値判断しておらず、関連度の高い順に表示
・Googleは、検索アルゴリズムを数百盛っているが、「ページランク」以外は未公開
→ページランク:参照されている数が多いほど重要、重要サイトから参照されていると更に重要
これ以外のアルゴリズムを公開すると、意図的に引っかかる仕組みにした内容の無いページが増えてしまう
○Googleの理念
・完璧な検索エンジンとは、ユーザーの意図を正確に把握し、ユーザーのニーズにピッタリ一致する物を表示する事
・ユーザーに焦点を絞れば「結果」は自然に付いてくる
・Googleのロゴマークに「BETA」をつけているが、まだ完成していないと我々は思っているという意味
・1つのことを極めて本当にうまくやるのが1番
→エンジニアリングリソースの配分は、70%を検索技術、20%を検索周辺技術、10%を新しい周辺技術
・悪事を働かなくても金儲けはできる
→広告スペースと検索結果スペースを明確に住み分け。広告も役に立つ情報として、価値の高い順番に表示
○職場としてのGoogle
・1つのグローバルチームとして、横串が刺され、地域毎に縦串が刺されているマトリックス組織
・1人の社員が、2つのリポート先を持ち、地域と機能のクロスポイントで働いている
・「Googleは三食昼寝付き」と言われるが、食事は他のセクションの人と時間を共にし、昼寝は夜に働いているから。
・全世界で1万人の社員、日本の社員は年々倍増。
・地域のファシリティチームが物件を押さえ、本社のファシリティチームがオフィス設備を提供する
○Googleが将来目指すもの
・100%在庫、スピード、透明性の高いパーサナライゼーション
・ユーザーの傾向を観測させてもらう事に同意を頂けたら、知の枠組みから、個人個人に合った検索結果を提供したい
○Googleブック検索
・キーワードのページの前後2ページ、合計5ページをを立ち読み可能
・30日当りで書籍全体の20%の閲覧しかできない制限
・書籍の5%はブロックページとして非表示←著者が指定できる
・印刷、保存、コピー機能は無効
→書籍との偶然の出会いを可能とし、出版社、Amazonへのリンクにより購入促進を図る
→ユーザーの購入が成立しても手数利用は取らない
→電子化のコストは広告費でGoogleが賄う。広告費の半分はコンテンツ提供者に支払う
○Gmail
・ホルダーを作成しなくて良いWebメールシステムで、実際は検索サービス
○Googleデスクトップ
・Googleが整理できない情報として、ユーザーのPCのハードディスクのデータがある
・専用ソフトをダウンロードし、Googleのセンターと切り離した状態で、ハードディスク内のデータのインデックス化を実現
○Google検索アプライアンス
・企業のファイヤーウォールの内側の閉ざされた中の情報をインデックス化