ドラマ『ハゲタカ』を楽しみに見ているうちに原作を読みたくなり、書店で平積みになっている文庫本を見て、思わず買ってしまい上下巻とも一気に読んでしまった。あくまでも小説の世界ではあるが、印象に残ったフレーズをメモしておきたい。

来週の3/19に開催される越純一郎氏(柴田恭兵が演じた「芝野健夫のモデル」)の講演会が楽しみだ。

ハゲタカ(上) (講談社文庫)

ハゲタカ(下) (講談社文庫)

<読書メモ>

○ホライズン・キャピタルの企業理念
　私達は、埋もれようとしている資産にもう一度光を当て、
　再び燦然と輝く「宝」にすべく、最大限の努力と誠意を惜しみません

○デューデリジェンス(精査)の方法(約4週間で実施)
　デューデリは、大きく分けて2つのラインから行う。
　1つは、債権自体のデューデリ。DIP(Detailed Information Package:バルクセール
　内の各案件)の中の金銭消費契約、返済履歴、債務残高、抵当権の設定状態などを
　公認会計士や司法書士、弁護士などの協力を仰ぎながら分析をする。また、最大の
　関心事である「入金の可能性」を知るために、債務者の信用調査も行う。
　もう1つのデューデリは、債権の付帯した担保不動産の鑑定。不動産鑑定の最大の
　ポイントは、キャッシュフロー(家賃収入)。地価がどれだけ高くても、民家の場合は
　非常に低い査定額となる。

○バルクセール
　1番の目的は、不良債権の迅速な一括処理。そのため案件のディスクローズを
　徹底的に行うことで、買取側のデューデリの迅速化を図る。しかし不良債権とは
　銀行にとって世間に知られたくない貸出債権である為、開示された情報の漏洩を
　防ぐ策として「守秘義務契約」をまず結ぶ。

○担保不動産のデューデリの前定条件
　第1に、担保不動産として評価するのは、その担保が第1順位の値抵当である場合に
　限る。第1順位以外の担保不動産価値は「ゼロ」になる。
　第2に、不動産評価は、堂物件が年間に挙げられる収益を5年間にわたりDCF方式に
　よって算出。その際、建物の状態、空室率、減価償却の有無等も勘案する。

○不良債権に対する貸倒引当金の額
　実質破綻先100%、破綻懸念先50%、要注意先20%

○チャプター・イレブン
　アメリカ連邦倒産法の第11章の事で、会社更生法が債権者重視であるのに対し、
　債権者の保護と再生を主眼にしている。アメリカで再生ビジネスが盛んになった
　のも78年にこの章を加えたため。
　1999年2月、日本版「チャプター・イレブン」と言える民事再生法が成立。

○ゴルフ場開発の歴史
　1903年、日本初のゴルフ場がオープンして以来、1957年までに約100のゴルフ場が
　全国に誕生。当時は営利を目的としない社団法人によって運営されていた。
　1957年に文部省がゴルフ倶楽部の公益性を認めないという見解発表により、
　預託金制度」による株式会社の運営が主流となった。その後10年間で5倍、93年には
　2千ヵ所を突破して大衆化した。
　預託金制度下では、オープン前に会員権を販売し、その資金でゴルフ場を建設し、
　預託金の償還期が来ると会員は返還請求が可能となるが、会員権相場の上昇により、
　相場で売却したほうが儲かったのだ、返還請求する人は殆どいなかった。
　預託金は債券でも株でもない法的根拠はない。

○太陽製菓の買収
　定番ブランドを持ちそれが一定の売上を維持している企業は、買収先として魅力的。
　成長産業のように、多額の設備投資をしなければ収益が見込めないのではなく、
　毎月決まったキャッシュフローが見込める成熟産業だから。

○印象に残ったセリフ
・「何度も言うが、我々のビジネスで勝利できるかどうかは、情報とネットワークが
　　全てだ。君たちの先祖がタルムードで記しているようにね」(鷲津)

・「マスコミ対策をもっとしっかりするように厳命しておきました。大切なのは真実
　　ではなく、最初に伝えられる事実だからと」(鷲津)

・「弁護士を相手にするときは、法律というルールの中で勝負せよ」(鷲津)