日本大学で「愛校心を考える」シンポジウムが開催された。少子化の中、六大学、関関同立が志願者数を上乗せしている中、日大と青学の志願者数が5%減っている厳しい状況の中、「愛校心とは何ぞや?」と約200名の校友が集まり、時間を共有した。

基調講演ではベネッセの執行役員補・山河健二氏、パネリストには、「自分のアイデンティは、全て日芸が作ってくれた」と言う山本晋也監督が、大変興味深い大学時代の話をされていた。


日本大学は、明治22年に創設され、今年で118周年目、平成21年には120周年を迎える。
学生数は大学生8万人、中高生2万人で、合計10万人。
教職員数は8千人。
校友は96万人であり、平成21年の120周年時には、100万人になる予定。
日本で真の総合大学が、なぜ受験者数が減っているのか、危機感持たねばならない。


<山河健二氏・基調講演のメモ>


○ベネッセでの業務
 ・高校・大学部長として、年間に高校200項、大学30校を訪問。
 ・これまでに全国5000高校中、約2000校を訪問した。


○ベネッセの歴史
 ・前身の福武書店の創業者は、小学校の教師であり、福武書店の前に
  富士出版という会社を、一度倒産させている。
 ・創業当時は「生徒手帳」の販売をしていた。
 ・進研ゼミは400万人に受講して頂いている。


○現在の受験動向を象徴する3つの数字
 ・ブランド大学ほど倍率が高く大人気になっている。

・私立大学の偏差値帯別実質倍率

偏差値 2004年度 2005年度 2006年度
75以上 7.8 8.8 7.4
65〜75 5.0 4.8 4.9
55〜65 3.9 3.6 3.3
45〜55 2.8 2.6 2.2
45未満 1.8 1.7 1.4


・推薦・AO入試の実施大学数

- 00年度 01年度 02年度 03年度 04年度 05年度
推薦 612 636 654 668 672 678
AO 75 207 286 337 375 401


・推薦・AO入試の入学者比率

- 02年度 03年度 04年度 05年度 06年度
国立 12.2% 12.4% 12.2% 12.6% 13.5%
公立 18.2% 18.6% 19.9% 20.8% 22.3%
私立 44.3% 45.5% 47.0% 47.8% 48.9%

 私立大の中には、入学者数の内、推薦とAO入試が80〜90%の大学もある。


○2007年の志願者数と対前年増減

- 大学名 募集人数 志願者数 倍率 前年増減 前年比
1 早稲田大学 5,665 125,647 22.2 14,651 113%
2 明治大学 4,421 102,451 23.2 17,925 121%
3 関西大学 5,455 101,451 18.6 18,451 122%
4 立命館大学 - 98,760 - 5,214 106%
5 法政大学 3,965 90,216 22.8 18,165 125%
6 日本大学 7,306 71,486 9.8 -2,964 96%
7 立教大学 2,560 67,505 26.4 8,791 115%
8 中央大学 3,735 66,396 17.8 5,574 109%
9 近畿大学 4,141 63,418 15.3 10,585 120%
10 東洋大学 5,159 60,356 11.7 6,390 112%
11 関西学院大学 2,679 49,108 18.3 3,904 109%
12 慶應義塾大学 3,920 47,697 12.2 1,369 103%
13 同志社大学 3,070 46,315 15.1 3,304 108%
14 青山学院大学 2,685 45,550 17.0 -2,279 95%
15 東京理科大学 2,675 45,286 16.9 756 102%
16 龍谷大学 2,210 41,121 18.6 2,080 105%
17 福岡大学 2,810 37,184 13.2 2,082 106%
18 専修大学 2,524 31,688 12.6 4,634 117%
19 明治学院大学 1,860 31,070 16.7 3,422 112%
20 駒澤大学 2,450 29,565 12.1 -202 99%


○売上伸び率20%以上企業の社長の出身大学

- 大学名 人数
1 日本大学 2,948
2 早稲田大学 1,666
3 慶應義塾大学 1,515
4 中央大学 1,267
5 明治大学 1,214
6 法政大学 759
7 近畿大学 694
8 同志社大学 694
9 東海大学 634
10 関西大学 633

 朝日新聞社「大学ランキング2006年版」より


○最近、受験界で感じる事
 ・少子化、社会の不透明感による志望校選定基準の変化
  →「学歴」は「大学名歴」となり、保証としての「大学名」を保護者が
   強く関与している。
   『プレジデントファミリー』が首都圏で7割売れ、私立中学を3割が受験。
   田園都市線では、45%が私立中学を受験する。
 ・高校の現場では、早稲田大学の人気が急激に高まっている
  →神宮球場で、世代を超えて校歌を歌いたい。親も含めて社会認知が高い。
 ・ここ数年、灘校の上位3名は海外の大学に進学し、東大生は官僚ではなく、
  外資系に就職する傾向が高まっている。
 ・入試問題が大学を決定付ける。
  →入試問題は大学から受験生への期待を込めたメッセージ。
   東大は入学後、進路を振り分ける。金沢大も今年から学年募集に変更。
 ・新入社員として実社会で必要な能力
   ストレス耐性、理不尽を理解、人脈・ネットワーク
 ・新入社員の採用面接での注目点は、チームで仕事ができるか?
 ・社会に出る時点での総合人間力とは、
   地頭(15歳までに学ぶクセが付いているか)+大学時代の経験値
  =社会適応力
 ・何故、母校への思いが強まるのか?
   1.大学時代の経験が社会で生きた
   2.社会で先輩から大切にされた
   3.自分の仕事が大学に役立った


○4項目に強く関与する大学へ愛校心が生まれる
 ・目標設定、実行への刺激、チャレンジ、実行への強い意志

   <山本監督の日芸時代のエピソード>
 ・日芸に入学して江古田キャンパスに向う途中で花屋のオヤジに、「新入生
  だろ!お茶飲んでけ」と声を掛けられ、江古田の地域のオヤジに大変
  可愛がられた。
 ・試験の答えが分からず、問題用紙の裏に校歌を3番まで書いたら単位を
  もらえた時、「俺は日芸に惚れられている」と思った。