日本医療政策機構と筑波大学の共催シンポジウムで、黒川清先生が基調講演をされるというので、品川まで行って来た。半年くらい前から、黒川先生の「追っかけ」というより「ストーカー」に近い行動をとっているが、毎回、講演の内容がバージョンアップしており、いつも新鮮であるのには歓心してしまう。
会場の東京コンファレンスセンターは、品川駅から近く、大変便利な施設であった。
○シンポジウムテーマ
「21世紀のウエルネスとイノベーション」
○シンポジウム開催趣旨
国民の健康寿命の延伸に向け、国民自らがそれぞれの立場に応じ、予防を
重視した健康づくりを国民運動として展開するとともに、技術と提供体制の
両面からのイノベーションを通じて、国民一人ひとりが行う健康対策をより一層
推進することが出来るよう支援する必要があります。
健康は個人の問題であると同時に社会の課題であると明確に位置づけ、
「健康に対する努力を応援する社会システム」の構築が必要であると考え、
シンポジウムを開催します。
<黒川清先生の講演メモ>
○現代病とその背景
・現代の先進国の病気の原因はハッキリしている。生活パターンが便利に
なったからである。
・人類は餓えと病気に遺伝子が戦ってきた結果、サバイバルに必要な遺伝、
突然変異が起こって、体内にエネルギーを溜め込む遺伝子が残った。
・生活が豊になったのは、僅か200年前。
・マクドナルドが日本に上陸した1971年。当時の40年前、厚生省の主な
対策は、栄養不足・結核・BCGで、これらは全て保険所の仕事であった。
当時はレントゲンしか無く、7割は自宅で死亡し家族で見送りをしていた。
・栄養状態が良くなった現在、メタボは自分の問題であり、果たして病気
だと言えるだろうか?
・人口の25%が65歳以上で、85%が病院で死亡し、子供達は死に対する
リアリティ感がない。
・日本人の75%が都市に住み、50%が三大都市に住んでいる。
○長期的ビジョンの欠如
・街に中心となる場所がない。OECD加盟国の中で、日本の父親が家事を
最もしない。
・全てが核家族となり、世代間の知恵が分断されている。
・コミュニティセンターに集り、子育てを地域でやり、地域力・家庭力が
まず大事である。
・これまでの政策は予算を取る為にやっていて、理念がない。
・ボランティアは、自分達で自立して、どう維持するかを考えねばならない
ので難しい。
・どんな生活圏を作りたいか、情報は多いが、人間の知恵が必要。
知恵は、体験しないと分からない。
○世界的な女性の社会進出
・米国アイビーリーグ8大学の内、4大学のトップが女性。(MITも女性)
・国内87国立大学で、女性がトップなのは御茶ノ水大学のみ。
○ノブレス・オブリージュ(仏語、「貴族の義務」「高貴な義務」の意味)
・学の象徴である東大病院が、外来をやめると言うべきである。
普通の病気で、なぜ゛医学病院に行かねばならないのか考えるべき。
・データを持つ官僚はオープンにし、医療費32兆円、パチンコ業界30兆円、
葬式業界15兆円という事実を、マスコミは、どう発信するかを考えねば
ならない。
○近年のノーベル平和賞受賞者
・今年2007年は、地球温暖化防止活動をしたアル・ゴア
→京都で言いだしっぺの日本の政策は、どうあるべきか?
・昨年2006年は、社会起業家の象徴であるグラミン銀行のムハマド・ユヌス
・社会に良い事をやっている意志は、決してくじけることはない。