GCAホールデングス代表・佐山展夫氏の講演メモ

日経主催の「不動産ファイナンスフェア2007」で、佐山先生と伊藤先生の講演が抽選で聴講できたので、有楽町の東京国際フォーラムまで行って来た。
佐山先生は、2年前に東大PBIの「医療経営学概論」の懇親会で名刺交換をして以来、4度目の「ナマ佐山先生」の講演を聞いた。
本人も、講演の後半に盛り込まれている「結び」の充実感のある日々を送っているかというスライドの項目が、「毎回増えてしまう」と言っておられたが、確かに毎回バージュンアップされているのが、ファンとして楽しかったりする。


<講演メモ>
テーマ「有形資産の有効活用が企業価値を左右する」


企業価値とは?
 ・「企業価値」という言葉は、数年前には使われていなかった。1995年に銀行
  員時代に、上司から「企業価値という日本語はあるのか?」と言われた。
 ・3年前に経済産業省に「企業価値研究会」が設置され、企業価値の定義について
  意見が分かれた。M&Aの世界では、企業価値とは株式の価値をさす。
 ・1年後に研究会のメンバーが23人から30人に増員され、企業価値の定義について
  議論はあるが、色んな人にとっての「企業価値」があり、会社の価値は見る人に
  よって異なる。
 ・阪急にとって阪神の価値は、買収することで梅田周辺の土地の2/3を手に入れる
  ことができ、価値を高く評価できる。
 ・時価総額は、全く会社の価値を表していない。
 ・PERは、遊休資産・余剰資産を持つほど、低くなる。
 ・日本の株式市場は、相対評価でしかない。


○DFCのデメリット
 ・DFCとは、1年後の1億円をリスクを考慮して割り引くという考え方。
 ・しかし、前提条件を変えると結果が全く違ってしまい、いくつか変えると、
  マイナスになってもおかしくない。


デューデリジェンス
 ・バイアウトファンドは、通常年間300件の案件を扱い、内10%をデューデリし、
  その内10%に投資している。


○日本のM&A市場
 ・欧米ではGDP比10%、日本では3%で、発展途上である。
 ・日本では上場企業の所有不動産が評価されていない。


○真の経営者による経営
 ・会社の価値は経営者によって90%以上決定する。(経営者の器以上の会社は
  できない)
  →とんでもない社長には、とんでもない社員しか集まらない。
 ・「偉そうにする」とは、ピーク状態の証


○充実感のある日々を送っているか
 ・地球を蹴っていないか
 ・ど真ん中の直球はストライクと判定されているか→公正な人事評価
 ・たまたま三遊間にとんだだけのヒットもヒット
 ・知らないうちに富士山の山頂に登った人はいない(狙っている者だけが獲物を
  獲る)
 ・走って止まって休むよりも、ゆっくりでいいから進み続ける
 ・新しいことは10人に聞けば9人以上が反対する
 ・ジャンプする前は精一杯しゃがみ込む
 ・転職の「説明」は必須だが「説得」は必要ではない
 ・「満足」は期待値との上方乖離が、「落胆」はその下方乖離が生み出すもの
 ・嬉しい時は犬でも目が輝く、人間にシッポがついていたら・・・
  →人間のシッポは目の輝き
 ・「何もないことの幸せ」と「何かあったことの幸せ」
 ・苦しいときは寂しいどころではない、寂しがるのは少しは余裕があるということ
 ・「何かいいこと」はない
 ・「不作為の意思決定」は容易
 ・「リーダーシップ」と「独裁」→「盛者必衰」「奢れる者久しからず」
 ・「金正日」をつくってはいけない(権力は腐敗しやすいが、絶対的権力は
   絶対腐敗する《アクトン卿》)
 ・人間は神様ではない、「安全」は全てに優先する
 ・今ある世界がすべてではない
 ・「受動的能力」と「能動的能力」
 ・1日24時間は平等
 ・能力主義正規分布ではない
 ・勝負は前線しても駄目、勝たなあかん
 ・勝負は下駄を履くまで分からない。勝てると思うと隙ができる
 ・弱い相手に勝ちすぎてはいけない
 ・優越的地位の濫用は品性の問題
 ・人生は自作自演、不満の原因は我にあり。人生は待ってたらあかん、自ら切り開こう
 ・目指し続ければ目標から遠ざかることはない。目指し続けることが大切
 ・人生は「生放送」
 ・5年後の世界は誰も分からない
 ・迷ったら、「とりあえず」やってみる。「とりあえず」が開く新たな世界
 ・とにかく、「泳ぎきる」
 ・「いけいけ」のときは、ノーアウト1・3塁で、ヒットエンドラン
 ・何事も順番が大事
 ・見知らぬ植物の若木は、どこまで育つか分からない
 ・「草原のワニ」と「川のライオン」
 ・難しい説明は分かっていない証拠
 ・政治も国の経営、分かりやすい財務内容の説明が必要
 ・野党のマニュフェストはもっと具体的に
 ・好事魔多し
 ・出る杭は打たれるか?打たれる
 ・杭の叩き方で、その人のレベルが分かる
 ・相手の肩書きで態度を変える人、偉い人を知ってると羅列する人は信用できない
 ・「嘘」はやってはいけないことを我慢できなかったことの結末
 ・「先入観」は情報を湾曲させる(素直に情報と向き合って初めて情報を吸収できる)
 ・「思い上がり」は、成長を阻害する
 ・怒鳴り声のない職場と笑い声のある職場
 ・「成功」とは結果であり経過ではない、終ってみないと分からない
 ・「必死で頑張る人生」と「のんびり生きる人生」が共存できる社会
 ・ビジネス人生を三段跳びに例えれば・・・
 ・「今」当たり前のことは、「今」楽しんでやっておこう
  →いずれは全て当たり前でなくなる
 ・10年後に自分をおいてみる(今の最善の選択肢は何か)
  →誰もが10年後の自分より、今の自分の方が10年若い。10年後の自分には諦めて
   しまう事も今ならできる。