雨宮処凛さんと福島みずほ・社民党代表の対談という面白い本をみつけた。格差社会について、雨宮さんの独特の口調で紹介され、若い世代の現実を知ることが出来た。雨宮さんが書いた「あとがき」に、「今や全世代、全職種、全雇用形態がフリーター化している」というフレーズに、フリーター問題は他人事でないと考えさせられた。

ワーキングプアの反撃

ワーキングプアの反撃


<読書メモ>

プレカリアート:
新自由主義経済下の不安定な雇用・労働状況における非正規雇用者および失業者の総称。
言葉として日本に上陸したのは2006年だが、実態としては10年以上前からいる。

・格差は天然現象ではなく、労働者派遣事業法の改悪による政策の結果。

・企業は派遣労働者に対して、昔は1年、今は3年で直接雇用義務が発生するので、請負→派遣→請負にしている。

・女性はずっとワーキングプアだったが、今の非正規雇用問題は、20〜30第の男性までが女性パート労働者と同じ待遇になったから問題が明るみになっただけ。パートも入れると女性の平均賃金は男性の半分以下。

・幼児虐待の原因のナンバーワンは経済問題。

・フリーターの人の生涯獲得賃金は、正社員の1/4で5200万円ぐらい。(三菱UFJリサーチ&コンサルティングのレポート)

厚生労働省の定義では、フリーターは34歳までで、35歳を超えるとフリーターではなくなり、あと何年かすると統計から消えてしまう層が出てくる。

・フリーター向けの飯場であるレストボックス、レオパレス等の敷金・礼金・保証金・保証人不要の賃貸物件は、賃貸借契約ではなく、施設管理契約の形をとっている。フリーターが貧乏でありつづける限り儲け続けるという前提で成り立つマーケットがある。貧困に追いやられている状態そのものがお金を産んでしまうという状況。

サラ金日雇い派遣会社と組んで「○○派遣会社で○日以上働くと、金利5%オフ」といったキャンペーンをやっている。

・2002年にタクシーの規制緩和が行われて、青森、福島、徳島、宮崎、沖縄では運転手の平均年収が200万円以下になってしまった。

・年収200万円以下が5世帯に1世帯、年収300万円以下が4割。

・20代のロハスの人は、「競争から降りたい」ということで、物質的な欲望を満たしたことが無い世代。

・2007年5月に国会で成立した国民投票法案が、大問題なのは、発議した日から東京日まで60日しかないこと。発議から3年、国民投票から2ヶ月で憲法を変えられてしまう。国民投票の2週間前まではテレビ・ラジオなどの有料CMが自由なので、憲法改悪を金で買うことが可能となる。米国の国防総省の2008年度予算は58兆円。それとは別に対テロ戦費が約17兆円。2007年度の日本の防衛費は4〜5兆円。軍需産業にとって、将来何十兆円の金儲けができるのであれば、CM料は安い先行投資である。

・「外国に比べて、日本の子供たちは偉くなりたくないと思わない」と言う統計が出た。(財団法人日本青少年研究所「高校生の意欲に関する調査」2007年4月)

・43年ぶりに実施された全国学力テストを請け負ったのはベネッセコーポレーションNTTデータ

・2002年から10代、20代の死因のトップを独創するのは「自殺」。

・24歳以下の2人にひとりが非正規雇用。全世帯では3人にひとり。

・フリーターを馬鹿にする派遣社員がいるが、内閣府の定義では派遣社員も立派な「フリーター」である。