政権交代で「ゆうちょ銀行」が注目されているので、本屋で平積みなになっている新刊を読んでみた。情報の整理になった。著者は日本国の破産予測のプロとして、財政についてこれまで研究されてきたそうだ。2013年に日本は大底を迎えると記されている。


ゆうちょ銀行破綻~日本人のための「もう騙されない」経済入門

ゆうちょ銀行破綻~日本人のための「もう騙されない」経済入門


<読書メモ>


○財政上、日本は破産している
・国と地方の総債務残高は1121億円で、税収の28倍。
・平成21年の国債発行額は44兆円と、税収を上回っている。
・平成21年度の当初予算における国債発行額は33兆2940億円。


○カリフォルニア洲の非常事態
GDP全米1位。イタリアの国と同じ経済規模で、世界8位。
・財政非常事態を宣言し、3万人以上の教職員に解雇通知、洲職員に休暇命令を出している。
・6500兆円の財政赤字で、米会計検査院は破産宣告を出している。


○ゆうちょ銀行
郵貯残高は2000年3月末の260兆円から、2006年3月末には200兆んを割込み、現在は179兆円。毎年10兆円減っている。
財政投融資から切り離され、国債を運用する国立銀行というのが実態。国債保存残高156兆円で預金残高179兆円の87%を国債保有
・かんぽ生命を合わせると227兆円(総資金量の79%)となり、日本国債の発行済み残高の1/3を保有し、「国債の最大の買い手」。
・紙くず化する国債が、「時限爆弾」となる。
・「危ない国立銀行」を何とかするために生まれた「危ない民間銀行」。
・バックバン断行に先立ち、米国、カナダでは郵便貯金は廃止されている。


農林中金
・米国での運用で抱えた含み損は、約1兆6000億円。
・全国の農協・漁協が総額1兆9000億円の増資に協力したため、経営基盤は改善した。
・80兆円以上の貯金を集めながら、農協は1/4しか地元に貸付しておらず、農林中金を通して国際分散投資されている。


独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理機構
・資本金は全額、国の出資で70億円。資産135兆円。
・2007年8月に、資産管理の受託先選定の入札し、トラスティ信託、資産管理サービス信託銀行日本マスタートラスト信託銀行の3社が応札。資産管理サービスとマスタートラストがゼロ円入札だったのに落札できず、トラスティ信託がマスナス10億円の応札金額で落札した。
・トラスティ信託は、住友信託と中央三井信託が33.3%づつ出資して、管理シンク業務の専門会社として2000年6月に設立。
・ちなみに、トラスティ信託は、オリックス筆頭株主


政府紙幣
・米国では独立戦争時に「独立政府」が、南北戦争の時に「政府」「南部連合国」が戦費調達の為に政府紙幣を発行。
・1963年にケネディ大統領も政府紙幣を発行し、国際の資金繰り対策を断行、半年後の暗殺により回収。
・日本では戊辰戦争のために明治維新政府が、「太政官札」を発行したが混乱に陥り、明治4年5月10日に大隈重信が「円」を創設。
・フランスでは、1953年インドシナ戦争、1958年にアルジェリア戦争によって発生した財政赤字と戦費調達のために相続税が非課税となる「ピネー国債」を発行したが、租税回避目的で死亡直前に国債を購入するものの、相続後に売却する行為が横行し、相続税の税収減を招き1973年に廃止された。


○日本の借金地獄
・昭和59年の中曽根内閣時代に「赤字国債」を発行。
1984年に赤字国債を60年償還に変更して、25年が経過。これが今日の借金地獄を招いた原因。
・償還期限が10年の国際の場合、10年後に全額の1/6だけを現金で返済し、残りの5/6は赤字補填のための借金債を発行して補うことを続けている。
・2009年は25兆7000億円の赤字国債を発行しており、60年償還で返すとなると完済までに2.7倍以上の税金が必要となり、赤字国債だけで69兆4000億円の税金が必要となる。
赤字国債普通国債の中で、74%も占めており、まさに政府紙幣となっている。
・借換債を平成22年度末に96兆円発行し資金繰りを支えている。平成24年度には105兆円、平成29ねどには120兆円、平成32年度には130兆円となる。利払い費は毎年1兆円づつ増えていく、
国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算


FRB(Federal Reserve Board:米連邦準備制度理事会)の闇
FRBは1913年に、JPモルガン商会、ロイチャイルド系のポール・ウォーバーグ、ジョン・ロックフェラーの後ろ盾により設立。
チェース。マンハッタン銀行との2行で53%の株式を持つ私的な法人の民間銀行にしかすぎない。
・上位の1位、2位はロスチャイルド一族。(日本銀行財務大臣が55%の株を所有し、資本金1億円でジャスダックに上場。株価は7万円前後)
FRBは96年前の12月下旬、多くの上院議員が休暇に入ったクリスマス直前に、騙し討ち的にかけつされた連邦準備法によって定められた。
・法案成立後、ロックフェラーは、「このお金の出る蛇口があったら、大統領の席も議会もいらない」と言ったと伝えられている。


FRBと世界経済
・「強行は最後の貸手が不在の時に起こる」(キンドルバーガー『金融恐慌は再来するか―くり返す崩壊の歴史 (1980年)
FRBは、米国だけではな世界中の「最後の貸手」としての役割を担っている。
・米国政府は、すでに銀行業界と不動産ローン業界を事実上国有化した。
FRBのバランスシートは、金融危機以前の2007年7月時には90兆円、2009年1月に211兆円に膨張し、間もなく400兆円となる。2年以内に1000兆円となる見通しであり、アメリカGDP1350兆円の74%を占めることになる。


アメリカ破産勧告
・米政府の累積赤字は6500兆円(GDP1350兆円の4.8倍)。FRBの資産は400兆円に膨らんだことで、米会計検査院は「救済の可能性はゼロに等しい」と事実上の破産勧告を行った。
米国債の新規発行が200兆円に近づくと、世界の貯蓄額の年間増加額を上回り、資金調達が問題となる。


○世界同時不況の大底は2013年
・日米英野政府金利がゼロにそろったのは、人類史上1万年以上の初体験。
・世界の実態経済であるGDPが5000兆円とすると、金融経済の規模は4倍の2京円。レバレッジをかけた見かけ上の元本は10倍の5京円。


○CIAレポート
・「グローバル・トレンド2025」で、日米がともに同時に衰退し、中国とインドが立場を大逆転するとしている。
・中国の人口は14億人台となり、インドが11億人から14.5億人と中国を逆転する。
アメリカのGDPは、かつての50%から24%まで落ちるが1位を保ち、日本は4位に転落。


○マイナス成長は5年間、2013年まで続く
・1998年8月26日に長期金利が1.120%となり、1619年にマークしたイタリア・ジェノバの1.125%を破り、人類史上1万年間で三度目のゼロ金利を日本が更新した。
・2003年6月11日には、国債利回りが0.43%と本格的なゼロ金利をマークした。
・日本の名目GDPは481兆円だが、約50兆円(10%)のマイナスになる。1年間で平均2%のマイナス。
・輸出の減少分だけでGDPは6%マイナスとなり、設備投資も大幅マイナスとなる。


○「世代会計」こそ未来の学問
・『世代の経済学―誰が得をし、誰が損をするのか
・『破産する未来 少子高齢化と米国経済
・『孫は祖父より1億円損をする 世代会計が示す格差・日本 (朝日新書)
  「孫名義のクレジットカード」でツケの返済を将来世代に押しつけて、明るい未来を奪い取る「ワシワシ詐欺」のようなもの。


特別会計の廃止に未来がある
明治23年依頼119年も裏帳簿である「特別会計」を続けている。