IBM中小企業イノベーション・フォーラム2006で、報道ステーションのゲストでおなじみのGCA(Global Corporate Advisory)株式会社の代表取締役、佐山展生氏の講演会を聞いてきた。

前半部分のM&Aの話は実際に、講師が体験されている生の話なので、大変面白かったが、後半のご本人も「全くM&Aに関係ない話」の方が、これから自分が生きていく上で、聞いておいて本当に良かったと思った話だった。
昨年末に、東大の鉄門記念堂のレストランでの懇親会で、立ち話をした私が進めているビジネスプランに関心を持って頂いたが、早く進捗をご報告に行ける段階に進めたいと思った。


<講演メモ>


GCAの近況
・現在の社員数は50名程度、月に3名ほど増えている。今秋のIPO時には70名まで増える。
・年間200〜300件のM&A案件がある
・GCA100%子会社でメザニン・フンドを設立、2006年5月末で560億円のファンド規模。
 →投資対象は優先株劣後債などの融資と普通株の間に投資し経営陣によるMBOをサポート


○最近関係しているM&A案件
・ワールドのMBO
 昨年3月に非公開化プロジェクトを発足し、経営陣が議決権を持ったまま非公開化に成功した初の事例となった。2300億円を調達。
・三共製薬-第一製薬との合併
 昨年2月から三共側アドバイザーとして関与


○村上氏との論点の違い
・村上氏の行っている事の95%は正しいが、言っている事とやっている事が違うのが問題である。
 →村上氏担当となっているそうで、村上氏との対話時間は相当長いらしい。
  携帯電話で話す仲だそうで、意外とメル友だったりして・・・
・村上氏の主張は「1円でも多く、投資家に返すのが使命」として、余分なキャッシュは株主に還元すべきと主張する。
・しかし、村上ファンドは何もクリエイトしておらず、企業価値を上げていないしどころか、企業価値を下げてしまう。M&Aによって、投資した会社の業績が良くなって、キャピタルゲインを上げることで投資家に還元すべきである。


企業価値の評価
企業価値とは将来どれだけキャッシュを生むかの可能性
企業価値は経営者の経営力により変わる→誰が経営するかで事業計画が異なるので企業価値も変わる
企業価値の評価方法には、資産評価方式、類似会社批准方式、収益評価方式があるが、M&Aの際には収益評価方式がよく使用される
・収益評価方式
DCF(Discount Cash Flow):将来(5〜7年先)のキャッシュフローを現在価値に割り引き評価(1年後の1億円を9千万円と評価する)
  →注意が必要なのは前提条件をセットで考えねばならない。前提条件が変われば評価は変わる。
 EBIT(Earning Before Interest & TAx)
EBITDA(EBIT Depreciation & Amorization)倍率方式:営業利益に減価償却費を足して倍率を掛ける
  →営業利益が15億円、減価償却費が5億円ならば、15+5=20億円×5倍(5年分)→100億円が事業価値
   右肩上がりの場合は7〜8倍、右肩下がりの場合は3〜4倍を掛ける


○株式公開のメリットとデメリット
・メリット:信用力、株式市場よりの資金調達、創業者のキャピタルゲイン
・デメリット:使用力と資金がある起業にとっては、デメリットの方が大きい場合もある
       情報開示が必要(競合他社に事業戦略が漏れる)
       経営の機動力が鈍る(最高意思決定機関である株主総会の開催に2ヶ月必要)
       証券取引法に束縛される
       敵対的買収のリスクにさらされる


○持株比率と株式価値の不連続性
・株は塊りで持つと価値があがる
 1/3:拒否権プレミアム、1/2:経営権プレミアム、2/3:支配権プレミアム
 49:51の場合、49%の側は、経営権プレミアムに相当するビジネスメリットを相手に主張すべき


○今後の日本国内M&A市場の展望
・日本のM&A市場は発展途上であり、米国を100とすると日本はまだ30程度
・今後、日本企業の売却は増加し、5〜10年は成長が予測される



M&Aとは全く関係のない話>


○真の経営者による経営
・会社の価値は経営者によって90%以上決定する(社長で決まる)
・「偉そうにする人」は、自分がスゴイと思っているので、その人がピーク状態の証
・トンデモナイ社長の会社の社員はトンデモナイ(マトモナ社員はマトモな会社に転職する)


○充実感のある日々を送っているか
・地球を蹴っていないか
・ど真ん中の直球はストライクと判定されているか
 →人事効果(ストライクゾーン)を明確にする必要がある
・たまたま三遊間に飛んだだけのヒットもヒット
・知らないうちに富士山の山頂に登った人はいない
 →ヤルと決めないとハードルには届かない(狙っている者だけが獲物を獲ることができる)
・新しい事はは10人に聞けば9人以上が反対する
・ジャンプする前は精一杯しゃがみこむ
・転職の「説明」は必須だが、「説得」は必要ではない
・「満足」は期待値との上方乖離が、「落胆」はその下方乖離が生み出すもの
・嬉しい時は犬でも目が輝く、人間にシッポがついていたら・・・
 →人間にとってのシッポは目、目が輝いている人がいる会社にする
・「何もないことの幸せ」「何かあったことの幸せ」
・「何かいいこと」はない
・「不作為の意思決定」は容易
・「リーダーシップ」と「独裁」→「盛者必衰、奢れる者久しからず」
・「金正日」をつくってはいけない
・人間は神様ではない、「安全」はすべてに優先する
・今ある世界がすべててせはない
・「受動的能力」と「能動的能力」
・1日24時間は平等
能力主義正規分布ではない
・勝負は善戦してもダメ、勝たなあかん
・人生は自作自演、不満の原因は自分にあり。人生は待ってたらあかん、自ら切り開こう
 →人生のシナリオは自分で変えられる
・人生は「生放送」
・5年後の世界は誰も分からない
・迷ったら「とりあえず」やってみる。「とりあえず」が開く新たな世界
 →できたら面白いなぁと思うことはやってみる
・とにかく「泳ぎきる」
・「いけいけ」のときは、ノーアウト1・3塁で、ヒットエンドラン
・何事も順番が大事
・難しい説明は分かっていない証拠
・政治も国の経営、分かりやすい財務内容の説明が必要
・野党のマニフェストはもっと具体的に
・「必死で頑張る人生」と「のんびり生きる人生」が共存できる社会が必要
・ビジネス人生を三段跳びに例えれば・・・


○「今」当たり前のことは、「今」楽しんでやっておこう


○10年後に自分をおいてみる(今の最善の選択しは何か)
 →10年後と比べたら10才若い、10年後の自分には無理なことでも今ならやれるはず