野村不動産アーバンネット主催のセミナーに行って、藤巻健史氏の講演を聞いてきた。
早大商学研究科の講師もされているそうで、相変わらず面白い話だった。
<講演メモ>
○中長期的な投資
・株が人が思っている以上に上昇する可能性があると考えている。
→過去のトレーダーとしての経験から、現在は丁度、全館のバブルが始まった前年の状況と似ている。
・藤巻氏本人は、長期固定で銀行から融資を受けれるだけ受け、不動産と外貨建資産を購入している。つまり、インフレ期待型のホジション(バブル初期)のポジションを取っている。
→日本政府と同じポジションをとっている。(ハイパーインフレを待望する体制)
→日本政府は、合法的徳政令(ハイパーインフレ)によって、借金返済をするしかない。
○バイブルとは
・前回バブルが起こったきっかけは、1985年の日銀が取った流動性供給が引き金。
・その結果、資産価格が上昇し、資産効果で経済が上昇。高回転がグルグル回った。
→東京では5年で不動産価格が10倍に上昇
・当時の日銀は、消費者物価指数(CPI)ばかり気にして、なかなか金利を上げなかった。
CPI指数:84年(2.2)、85年(1.9)、86年(0.0)、87年(0.5)、88年(0.8)、89年(2.9)、90年(3.1)、91年(2.8)
日経平均:84年(11542)、85年(13113)、86年(18701)、87年(21564)、88年(21564)、89年(38916)
→CPIが0〜2%が適切だとして、株価と不動産が急上昇しているにも関わらず、89年まで金利を上げなかった。
○バブル期と現在の違い
・バブル期ほどマネーサプライ(市中のお金)は増えていない。
→しかし、ベースマネー(発行銀行券+日銀の当座預金)は急増している。
・日銀の2006年4月末のB/Sは130兆円となっており、資産の殆どが国債(92兆円)となっている。
(日銀の資産内訳:金0.4兆円、買入手形28兆円、国債92兆円。負債内訳:発行銀行券76兆円、当座預金19兆円)
・発行銀行券の額は、1991年の32兆円から、2005年の73兆円へと約2.5倍となっており、インフレになるのは当然のハズ。
・日本の財政悪化が酷くなっている。
→バブル期の財政赤字は200兆円、現在は800兆円。5年後に1000兆円を超える。
→年間84兆円予算で、44兆円が税収、毎年40兆円を国債で補填している。(バブル期でさえ、税収は60兆円を上回らなかった)
○金利上昇の影響
・金利は早めに上げるべきで、0.25%という金利は、マーケットにとって大きな影響は無い。
・この10年に及ぶ超低金利で日本人の金利に対する感覚が鈍ってしまった。
→1980年の米国金利は20%、日本は10%だった。
・利上げは株価にとつて望ましい。
→米国経済の場合、時速180Kmを110kmに減速するだけの話である。
→米国は17回の利上げで4.5%まで持っていった。
・日銀の金利引き締めが、遅れるとバブルは急上昇、急下降となつてしまう。
・米国金利は現在5.25%、米国はまだ上げる予定で、来春に6%と予測が出ている。
→米日の金利差5%は、為替で5%儲けなければならないので、ドル売りができない金利差となっている。
○世界のこれまでの経済動向
・世界デフレで欧米の企業はポロ儲けをした。
・2003年は世界の全面株上昇、2004年は日本以外で不動産価格が上昇(日本だけが出遅れ)
○日本には悲観的
・構造不況であり、国債競争力は下落する。
→強い円は国債競争力を削ぐ原因
・中国経済が強い理由は、安い人件費では無く、円が強くなり人民元安が原因
→1980年、1元/160円、現在は1元/13円。日本円は人民元に対し10倍の購買力ができてしまった。
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