本日1月15日〜17日にかけて、日本最大のベンチャーの展示会「ベンチャー・フェアー Japan 2007」が開催されている。「企業価値拡大セミナー」で幸田真音氏の講演を聞いてきた。

金融業界に関する小説作家だと理解していたのだが、自身も様々な事業にチャレンジした起業の経験があり、また幕末期に実在したの近江商人の起業家を題材にした時代小説の作品があるとは知らなかった。講演の最後のメッセージ「日本が世界で置き去りにならないよう、若い人にがんばってほしい」という起業家へのエールに答えねばならない。


是非、『藍色のベンチャー』を読んでみたいと思う。

藍色のベンチャー(上)

藍色のベンチャー(上)

藍色のベンチャー(下)

藍色のベンチャー(下)


講演テーマ『日本のベンチャースピリット 〜モノづくりと商いの精神〜』<講演メモ>

○幸田氏が小説家になるまでの経緯
・1988年にストレスによる病気が原因でマーケットを去り、1995年より作家活動を開始して12年。
・毎年、新年を迎えて2週間経つと思い出すエピソードとして、マーケットを去ってしばらくした頃、あるベンチャーの副社長から、「新年に入り2週間たったけど、自分は色んな事があった。あなたは何をしてた?」と言われ、何もしていなかった自分に対し焦りを感じ、何かしなければと思った。
・小説家になるまでの期間、色んなビジネス(米国のリゾート開発、仏の家具輸入販売のコンサル、アジアの出版社に対するマンガの版権ビジネス、Webサイト構築サービス)をした。
・Webサイトの構築ビジネスを始めた時には、まだ国内インターネット人口が10万人の時代で、オンザエッジに価格競争で負けてしまった。


○今年の日本経済に影響するイベント
金利利上げの行方:1月18日-19日にかけての金融政策会議で利上げの有無について決定する。
 昨年5月に量的緩和は行ったが、金利は0.25%に留まったままで、異常な状態。
・今年5月からの三角M&A解禁:今までは外国企業が日本企業をM&Aする際には資金調達が必要であったが、自社株との交換が可能となる。
 →時価総額は、東京三菱はシティバンクの約半分。ドル高が進むことで、更に日本企業が割安になっている。


○世界の存在価値、存在感が無くなりつつある日本
・昨年の米国SP500の収益率は15.8%。これを下回ったのはニュージーランドと日本だけ。
 中国、ロシア、アルゼンチンの証券市場は50%を超える。
・日本は若者ほど、下流層が多く、将来を諦めていて、夢を持てなくなっている。


○リスクテイク、ベンチャー、CRSは欧米から入ってきたのではなく、日本でも幕末時代に既に存在
彦根藩で呉服リサイクル業を元々営んでいた絹屋半兵衛が、京都の清水寺にお参りに行った時、磁器に出会い、当時の有田焼、瀬戸焼のブランド品が確立していた市場に新規参入。
近江商人の家訓(企業理念)に「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」というのがある。
 →これこそが社会的責任経営そのもの。