昨日に引き続き「ベンチャー・フェア Japan 2007」に行って来た。今日はサイボウズの青野慶久社長が出演されるパネルディスカッションがあり、1998年からサイボウズを愛用しているユーザーの1人として、大変興味深く話を聞いた。

最近、「長期雇用を前定」とした(年功序列と言った後、言い直していた)人事制度に変更したという点が疑問(私は、役職給を基本とすべきと考えるので)だが、更に力をつけて是非とも世界に打って出て行ってほしい。


テーマ 「会社づくりはドラマだ! 〜創業から株式公開、そしてその後までを徹底解剖〜」<パネルディスカッションのメモ>

サイボウズの会社設立からこれまでの経緯
松下電工に3年勤務後、職場と大学の先輩の3人で9年前に、実家の愛媛県松山市で起業。
・設立後3年で東証マザーズ、昨年東証一部上場。
・日本国内でビジネスで使用されているソフトの内95%が輸入品である中、世界に打って出るソフトウェア会社を目指し起業。
・事業計画を立てたところ、資本金2千万円は必要ということになったが、3人合わせても1千万円も貯金がなかった。ベンチキャピタルに事業計画書を送ったり、説明しに行ったが相手にされず、父親に退職金を資本金として出してもらった。
 →サイボウズIPOできたので、当時の出資金で家を新築し、「サイボウズ御殿」とよばれているらしい。
・創業から6ヶ月は給料ゼロ、IPO直前に創業者の持ち株比率を上げる為に、3人とも1人2千万円の借金をし、前社長が退任する際に、持ち株を一部引き受ける為に更に1億円の借金をした。
 青野社長の個人資産は、全てサイボウズ株のみで、これまで1株も売却していない。
・将来は松下電器のような洗濯機を30年作り続けるような会社にしたい。
・先日、多摩大の中谷学長から、「ソフトウェアはGoogleにやられっぱなし」と言われ、「必ずGoogleを追い抜きます」と答えた。「但し、70年下さい」と付け加えた。
 トヨタが70年かけてビック3を抜いたように、70年かけて着々と力をつけたい。


○起業家のタイプ
・どうしても社長になりたい
・やりたい事をやる為には、創業しかなかった


IPOの功罪
IPOしても必ずしも信用力が付く訳でも、良い人材が集まる訳でもない。
IPOのメリットは、経営者が会社と共に成長すること。
・売上10億円規模になったタイミングで、経営者と従業員との間でギャップが出て人材が逃げていく。
ベンチャーキャピタルが入っていると、IPOが目的となってしまい、公開準備期に入ったらVCの要請で不採算部門のリストラをせざるを得なくなり、人材が逃げていく。
IPO後3年で、役員の席を狙う従業員が出てくる。


○会社も株主を選べる
カゴメは現在12万人の個人株主が株を保有し、株主は普通の消費者の10倍の商品を購入している。
 カゴメの株主アンケートでは、株価が1.5倍まで上昇しても、個人株主の8割は売却しないと回答。
 

ベンチャーの人材確保について
ベンチャーの殆どの人材の集め方は、創業者の学校の知り合い、前職の同僚に声をかけて、その後、誰でも良いポストの人材については求人公募を出すケースが多い。
ビジネススクール出身者は気をつけろ。特にサスペンダーを付けているヤツはプライドの塊。
 MBAの体質は、自身−能力=傲慢。
 (このコメントは早大ビジネススクールの寺本義也教授のコメントで説得力があった。私も過去に、国内MBAを3人引き込んで一緒に働いたが1勝2敗という打率。)


M&Aについて
サイボウズもこれまでに7社M&Aしたが、青野社長が考えるM&Aは「同じ志を持った仲間を増やす」という事を一番に考えている。
M&Aは買う側から仕掛ける話ばかりではなく、売る側から買い主を探すケースが多い。
 →サイボウズも前社長が退職時に、保有株20%をどうするかで大変だった。