東京都中小企業振興公社主催の「実践マネジメントコース」を受講しているが、東京信用保証協会・創業アシストプラザの酒井忠雄課長より「信用保証制度」に関する話を聴けた。

いつか成功事例、今の仕事で出合った成功事例と失敗事例をまとめた本を執筆したいとのことであったが、是非読みんでみたい。


<講義メモ>

○創業アシストプラザ(2006年5月開設)
・信用保証協会は今年で70周年。
・平日9時〜20時まで、1日平均20名、月に400名の相談を受けている。
・創業スクール(年2〜3回)、月例公開講座、無料専門家相談。
・会社が一丁前になるには3年かかるので、それまでの間(3年間)、融資先を中心に支援をすることになった。
・100人中、3人が返済できない。


○信用保証協会の審査ポイント
・同業種での経験年数(専門性)
・計数観念(売上、経費)
・事業の計画実現性、将来性、収益性、動機、ビジョン、将来の展開
・自己資金(計画的に蓄財されているか)
・強み・セールスポイント(差別化、特徴は何か)
 →既に自分より経験が豊富な競合他社が商売をしている

例えば運転資金として1千万円を借入(7年:84ヶ月分割)して場合
 保証協会の手数料269,500円を差引いた970万円が銀行口座に振り込まれる。
 毎月14万円の返済が必要となる。


○創業の心構え
・健康管理が第一:
  →独立したらサラリーマンより忙しく、有給休暇は無い。
・科族の協力:
  →理解させられるだけり計画性、実現性が不足していれば、家族を説得できない
・仕事と人(家族・社員)への感謝の気持ち:
  →競合他社ではなく自社で働いてくれる従業員
   自分にとっては何百回目の感謝でも、顧客にとっては初めての感謝
   従業員にいかにモチベーションを持ってもらうかが重要
・引き際を誤らない:
  →2年やってダメなら撤退すべき。なんとかならないもの。
   貸すのも親切、貸さないのも親切。
・年収800万円以上の人は、創業を見直すべき:
  →独立したら800万円の所得を得るのはハードルが高い。
・自らの経験で創業する。異業種創業は成功しない。
・身の丈に合った事業にする。
・当初の人件費は、仲間と家族のみにする:給与支払いに無理がきく。
・借入は少ない方が良いが、ある程度資金に余裕が無いと事業はうまくいかない。
  →自己資金と制度融資で1年分の資金を確保する。
・聴く耳を持つ:
  →冷静な判断ができる第三者を作る
・簿記の知識を持つ:
  →今、儲かっているのか、儲かっていないのか分かっておかねばならない
   銀行は計数が分からないと、担保以上は融資してもらえない


○業界別アドバイス
・製造業・卸売業
  ロケーションにこだわる必要はなく、物流を考慮した交通の利便性のみ。
  取引先を3社以上にし、リスクヘッジを必ずする。
  手形取引はしない。手形は支払ってくれないと紙になってしまう。
  →大きな取引の案件が沸いて出てきて、最初は「半金半手」が次に「8割手形」となり、取込詐欺に合うケースが多い。
・小売・サービス業
  ロケーション命であり、場所にこだわるべき。
  人の導線は決まっており、通行人の1〜3%しか入店しない。
  メインストリートは賃料、保証金(賃料の12〜15ヶ月分)も高く、1本奥に入ると半額になるケースもあるが、要注意。自分で通りの通行人数をカウントする。
  不動産には目玉商品は無く、賃料が安い物件は商売は難しい。
  女性は店内が見えない空中店舗(2階以上)は、入らない。2階の美容室は外から丸見えにしているケースが多い。
  店の雰囲気は従業員で全く変わる。従業員が各々何を求めているか知る必要がある。


○成功事例
クリーニング屋
  夕方引取り顧客に割引、雨の日割引などで、売上1.6倍増。工夫次第でやり方はある。
・喫茶店
  10社の雑誌編集部に営業をかけ、雑誌に掲載されたのがきっかけで繁盛店になった。
・飲食業
  三軒茶屋で、雰囲気が抜群の居酒屋。箸置きが小さな本物の大根。店員の対応が良く、スマートに追加オーダーを取る。
運送業
  運転手を定着させる為、賞与を頻繁に上げる(年間給与の上限は決めている)
  予想していないお金を貰うと3千円でもうれしい。
  校正に複数のチェックーにより、頑張った社員に皆の前で理由延べ、感謝する。