法人を設立し、現在の自分の業務を法人で業務委託するという新しい働き方が提案されている。独立が軌道に乗るまでの助走方法の1つの選択肢として有りだと思う。本書は2004年7月出版なので、法人形態として「合資会社」を勧めているが、現在であれば「合同会社」が適していると思う。会社法・税法等の最新情報を盛り込んで、第2版の出版を期待したい。

サラリーマン法人で年収150万円UP!―年収を増やす魔法のテクニック

サラリーマン法人で年収150万円UP!―年収を増やす魔法のテクニック


<読書メモ>


○「サラリーマン法人」という新しいワーキングスタイル
・従来のサラリーマンの身分を捨て、一国一城の主として、勤務先の会社と業務委託契約を結ぶ。


○サラリーマンの所得税
・サラリーマンの所得税は、上手に節税を逃れている自営業者、農家の分まで水増しされて税務署に100%捕捉されている。
源泉徴収と年末調整で行うサラリーマン税制は、日本独特の税制度。
所得税の創設は明治20年で、対象者は全国で12万人、最高税率3%と高所得者を対象とした裕福税。
・昭和に入り、日中戦争で戦費がかさみ、対象者を拡大し税率も上がり、1940年(昭和15年)戦費調達のため源泉徴収制度を導入。当初は中堅以上のサラリーマンが対象であったが、昭和19年には殆どのサラリーマンが対象。
・1947年(昭和22年)、申告納税方式と年末調整を組み合せた現在の制度が導入され、給与所得者の税額は会社が代行して計算することとなった。
→昭和24年に日本の税制を調査し、数々の勧告を行ったシャウプ博士もこの税制を全面的に批判し廃止すべきと述べた。


○年金制度は30年前から崩壊
・日本の税金は給与取得控除制度があり安い。
 →実効税率(税額÷給与収入)は日本10%弱、米国15%、ドイツ18%、英国25%。
・酷税に感じるのは「社会保険料」が高いのが理由。
国民年金の未納率は、2001年度20%台→2002年度37.2%へ。


○会社側の恩恵
・会社が支払っている人件費には、給与、賞与、期末手当、退職金引当金、法廷福利費、法廷外福利費、教育訓練費がある。
経団連の2002年度「福利厚生費調査結果」によると現金給与総額の平均は月額55万8,494円。福利厚生費9万6,755円、退職金積立金8万7,283円。福利厚生費と退職金積立金の合計は現金給与総額の1/3。
・給与が業務委託費に変わるので、社会保険料の会社負担分が無くなり、経理処理の負担が減る。


○法人化のメリット
個人事業主では、事業所得(売上-必要経費)が、個人の稼ぎとみなされ、全てに個人と同じ所得税がかかる。所得税累進課税で、最高税率は37%(1800万円超)
法人税は800万円以下で22%、800万円超で最高30%と一定税率。
・法人の場合、社長の給与も必要経費として処理可能であり、個人事業主より課税対象金額を少なくできる。
 →自分の給与には給与所得控除も掛かるので、二重に工場を受けられる。


日本マクドナルドと藤田商店との関係
日本マクドナルド設立時に、店舗立地や商品についての情報提供を行う経営指導料として、藤田商店に年間の全店売上高の1%を支払う契約を締結。
・2002年から売上高の0.5%を2032年までの30年間支払う契約に変更。年間20億円の指導料
・2003年12月に業績不振(売上高3千億円)により契約解除し、違約金62億円の支払い。
 →国税局は過去30年間に渡り、このスタイルを承認してきた。


フランチャイズ事業の「独立支援制度」
・「カレーハウスCoCo壱番屋」は20年以上前かせ独立オーナー制度を採用
QBハウスを展開する「キュービーネット」は3年定年・独立制度を導入


○サラリーマン法人化推進団体
NPO法人サラリーマン自立支援センター(2004年2月発足)