小堺氏のバンザイ三部作の二作目を読んだ。銀行から融資を受けられるための決算書の作り方について語り口調で、面白可笑しく書かれている。中小企業にとって決算書は、銀行からお金を借りるためのものだから、黒字決算にする重要性が良く理解できた。本の「はじめに」にも書かれていたが、実際に決算書を手元において、もう一度読みたいと思う。
粉飾バンザイ!―税理士は教えてくれない!「決算」&「会計」の裏ワザ!
- 作者: 小堺桂悦郎
- 出版社/メーカー: フォレスト出版
- 発売日: 2004/09/01
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 20回
- この商品を含むブログ (18件) を見る
<読書メモ>
○粗利を上げる裏ワザ
・売上総利益(粗利)=売上高−売上原価
・売上原価=期首棚卸商品+当期仕入高−期末棚卸商品
→①売上を上げる(難しい)
→②売上原価を小さくする(これしかない!)
売上原価を小さくする方法
→いじれるのは期末棚卸商品だけ。だから期末棚卸商品を多く計上する。
○粉飾三点セット
①売上の過大計上、②仕入の過少計上、③在庫の過大計上
○融資時を受ける際の決算書のポイント
・貸借対照表(B/S)で、今期が赤字か黒字か?、累計で赤字か黒字か?、資産は?、負債は?など全てがわかる。
1.新規の融資申込みであれば、債務超過でアウト
2.役員借入金はひと目でわかる表示をしておく
→債務超過を役員借入で埋められる
3.借りるだけ借りたら、いっそ大赤字を計上する
→業績回復を期待して追加融資しかないと思わせる
4.役員借入金は長期負債の部へ
→長期借入返済の穴埋めに運転資金の名目で融資を申し込んだと思われないため
5.資産計上できるもの(電話加入権、フランチャイズ加盟金、関係会社への出資金)は全て計上する
→多く資産計上し方が、債務超過にならなくなる。
・損益計算書(P/L)は、償却後利益(減価償却費+税引後当期利益)が長期借入金返済に足りるか?
1.売上キャッシュフロー(前期末売掛金+当期売上−今期売掛金)が増えていればOK
2.赤字ならいっそ減価償却しない
→利益△100万円、減価償却費1000万円であれば、現金の出入りは+900万円。
○貸せる申告書と内訳書
・別表1(普通は青色申告なので青色):右側真ん中27番の数字が「繰越欠損」
・別表2:中小企業の株主名簿(上位3位までの記載でOK)
・別表4:決算ルールと税務署ルールの違いを調整している
加算は決算書では費用だが、税務署が認めていない項目と数字(殆どが限度額オーバーの交際費と法人税)
中小企業は最初から税務署のる減るでやっているので、大きく数字は動かない
つまり、表の1の①の数字とP/Lの当期利益の金額か同じになる
繰越欠損が無いのに別表4に法人税等がないのはマズイ
・別表5(1):別名「税務署の貸借対照表」と言われる
税務署のルールで資産や負債と認めないものだけを掲載している
表の26番の繰越損益金の項目に、決算書の繰越利益と同じ数字がある
・別表5(2):法人税の内訳
過年度の未納税額があるとマズイ
・別表7:過去5年間の残っている赤字の内訳明細
P/Lの赤字金額ではなく、別表4の一番下の赤字金額
・別表15:交際費の内で法人税の対象になる額を計算する表
表の上の右側4番の「損金不参入額」という数字、この数字が別表4の加算項目の8番に移る
交際費は1割〜2割は必ず税金の対象とされるので、交際費がゼロでない限り別表15は存在する
・別表16:減価償却資産の科目ごとの内訳の表
表の5番「取得価額」が買った金額の合計額
12番「改定帳簿価額」は未償却残高のことなので、B/Sの金額と一致しなければならない
・勘定科目内訳書:通称「内訳書」「明細書」。あくまでも任意なので詳細に記載する必要はない。
①預貯金等の内訳書:借りている銀行毎にバランスよく預金すべし
②受取手形の内訳書:100万円以上か多額のものの内上位5社程度を記載
同じ会社からの複数の手形は合計記載
③売掛金(未収入金)の内訳書:大口から数社、後はその他として一括記載。住所は記載する必要なし
④仮払金、貸付金の内訳書:知られたくないなら付けない方が良い
⑤棚卸資産の内訳書
⑥有価証券の内訳書
⑧支払い手形の内訳書
⑨買掛金(未払金・未払費用)の内訳書
⑩仮受金(前受金・預り金)の内訳書
⑪借入金および支払い利子の内訳書:B/S短期借入金、長期借入金の内訳。銀行名と残高のみ記載
金利を記載すると銀行同士で引き上げ競争が始まるかも・・・
⑭役員報酬手当て及び人件費の内訳書:内訳書も借入新生児に銀行に提出するので、リスケするならば社長の給料を下げる必要があり
・内訳書は昨年と同じくらいの書き味で書く
「概況書」は義務ではいので提出しなくても罰則はない。
用紙の上の方に(お願い)と書いてあり、税務署として余計な手間が省けるということ。
銀行からこの用紙の提出を求められることは無いが、借りたいならば自分で概況書を書く。