経済産業省関東経済局主催の「新事業創出フォーラム」〜新しい連携のカタチ! LLPの戦略的活用法〜が東京中小企業投資育成で開催されるということで、渋谷まで出かけてきた。

実際にLLPの運営を1期終えた実務者の事例講演を聞くことができ、大変参考となる催しであった。
LLPの会計処理、税務などの面が、もう少し手馴れてくれば、法人にとっても大変有効なビークルとなると感じた。
事例講演のD.N.ドリームパートナーズLLP(NTTドコモと日テレが50億円づつ折半)の堀越徹氏の報告で、「コンテンツ投資はギャンブルと同じ。際限なくつぎ込まない(100億円まで)、投資期間決めている(7年間)制作委員会」と考えて作ったビークル」という説明は非常に分かり易かった。
ちなみに当該LLPの名称の最初の「D」はドコモ、「N」は日テレのことで、最初の投資案件の「デスノート」の頭文字ではないそうだ。


<講演メモ>
経済産業省 経済産業政策局 産業組織課 内田亨課長補佐(2006年よりLLP担当)

○LLP制度の概要
・海外では①有限責任、②内部自治原則、③構成員課税という事業制度を整備
  米国のLLC:有限責任会社→ここ10年で80万社が誕生。
  英国のLLP:有限責任組合→2000年創設後、1万件を越える。会計・法律事務所、デザイン、IT産業で活用。
・我が国では民法組合の特例として有限責任事業組合制度を2005年8月創設。現在1千件を超える。
  ①LLPの出資者全員に有限責任制を付与
  ②貢献に応じた柔軟な損益の配分
  ③LLPに対する構成員課税の適用

○LLPの課税上の効果
・事業で利益が出た場合、LLPには課税されず、組合員への利益配分に直接課税される。
・事業で損失が出た場合、組合員に損失が帰属し、出資額を基礎とする一定額の範囲内で他の所得と損益通産可能。
・設立時の登録免許税は、LLPの場合は定額の6万円。(株式会社は資本金の0.7%。2億円であれば140万円)
・柔軟な損益配分の税制上の取扱は、LLP法で①組合員の同意により、②書面で分配の割合を定め、③その書面に当該分配率を定めた理由について記載することにより、出資比率と異なる柔軟な損益分配を行える。
・LLPの支出が出資者に帰属する効果として、LLPが研究開発を行う場合、その支出は組合員に帰属し、研究開発減税の適用を受けられる。


○LLP会計・ゼムの流れ
 1.会計帳簿、財務諸表(B/S、P/L、附属明細)の作成
 2.組合員への会計帳簿の写し交付
 3.「有限責任事業組合に係る組合員所得に関する計算書」作成し、税務署に提出
  →組合の計算期間終了日の属する年の翌年1月末までに所轄税務署長に提出
 4.確定申告時にLLPでの所得を他の所得とともに税務申告
  →計算書や明細書などを添付