昨年2006年の丁度、今頃に、大前研一氏のアタッカーズ・ビジネススクールで、ビジネスプラン作成講座「起業戦略講座」の講師を担当頂いていた森本晴久先生の著書。

森本先生の専門は、機関投資家向けのプライベート・エクイティ・ファンド(バイアウト・ファンド、ベンチヤー・ファンド)の啓蒙教育であり、投資家の目から見た優れたビジネスの見分け方が分かる立場から、事業計画書や事業戦略を教えている。
独立ベンチャーの事業計画とは、また違った社内ベンチャーの企画が通りやすい事業計画を作成する上での注意点がまとめられている。
書名は「社内ベンチャー」となっているが、独立ベンチャー用としても大変参考となる本である。
巻末付録のワークシートを、埋めていけば、ボンヤリとしたブランが文書となり、事業計画の形が見えてくる。

ちなみに、当時作成したビジネスプランは、あきらめずに何とかしようと根回しを続けている。

社内ベンチャー成功講座―新規プロジェクトを成功させる10の要因

社内ベンチャー成功講座―新規プロジェクトを成功させる10の要因

<読書メモ>

○新規事業プロジェクト10の成功要因
 1.会社にとつて最も役立つことをする
 2.企業内に競合を作る
 3.上司からの開発プロジェクト開始許可の取得は事後承諾
 4.最初はまわりに目立たないようにする
 5.上司に見方となる人を見つける
 6.本社組織とある程度物理的な距離を設ける
 7.優秀な人材にチャンスを与える
 8.会社組織に変革が起こる瞬間を予期し、活用する
 9.社内にある様々なリソースや既存の技術を利用する
10.内部査定に備えてデータを蓄積する


○魅力的な事業:投資家が注目する10のポイント
 1.事業に高い志があるか?
 2.事業において遠大なゴールを狙っているか?
 3.ニーズは明確か? 市場は把握しているか?
 4.市場に何を提供するのか? 強烈なポジショニングを作れるか? 
 5.強いコアコンピタンスを持っているか?
 6.競合はいるか?
   →市場の存在に確信を持つなら、競合調査をしてターゲットとなる競合企業の事業を徹底的に研究する
 7.不公平な優位性(アンフェア・アドバンテッジ)はあるか?
 8.ビジネスモデル(儲かる仕組み)はできているか?
   →どうやって設けるの?、どこからお金を得るの?、誰がどのようにして集金するの?
 9.プロトタイプハ既にあるか?
10.人はどうか? マネジメントチームが作られているか?
   投資判断の6割は提案者の起業家の人となり。「この起業家は、このマネジメントチームは信用できるか?」


○新規ビジネス失敗の要因
 1.コアコンピタンスから外れたビジネスをする
 2.市場が殆ど無い、市場規模が小さすぎる
 3.商品・サービスと顧客ニーズのミスマッチ
 4.ロケーションが悪い
 5.無理な規模拡大・拡張をする
 6.いつまでも仕事を継続すると思い込む→自分の退職、投資の出口を全然考えていない
 7.マネジメント未経験
 8.大局的な検討・判断ほ怠る
 9.見当違いのメディアに広告費を浪費する
10.ストックを食いつぶしたキャッシュフロー
11.とんだ勘違い。「資金繰りに失敗」ではなく、失敗の原因は儲かる仕組みを作れなかったから



損益計算書を作る時の目安数字

 ・税引き前利益率(経常利益)
   →売上額の5〜10%程度が標準的。高くても15%までが妥当。
    ただし、製造業によっては資本金が年商とほぼ同額必要で、利益率で20〜30%達成する。
    流通・卸売業の場合、資本金は年商の10〜15%程度で、利益率2〜3%の薄利もある。
    上場を目指す場合は、上場申請期の当期利益(税引き後利益)は2億円以上を目指すべき。

 ・費用の内訳
  ◆製造業の場合(スタートアップ期)
    グロスマージンは最低50%とみる
    販売費用(広告宣伝・販売促進・販売人件費)が20〜25%
    一般管理費が7〜10%
    研究開発費が7〜10%

  ◆小売・流通・卸売り業の場合
    利益率で25%程度
    諸管理費が15〜18%程度