日経マネー主催の「マネー検定」の採点時間に豪華なメインの検定試験は受験しなかったのだが、付録のイベントには参加してきた。
ちなみに、今回のマネー検定の平均点は59.8点、最高得点は90点で、4月下旬に問題の解説が受験者に送付されることになるらしい。<武者陵司氏の講演メモ>
講演テーマ「魅力度増す日本株式」
(今回の講演内容は、2週間後に出版される著書に書かれるとのこと)
○日本株式は強気
・日経平均は今年後半にかけて2万円を越え、3万円を目指す、かつてない株式投資の
チャンスを迎えている。
・今年から来年にかけて経済は上昇し、米国の金利上昇はストップし、インフレ
リスクのみとなる。
・日本企業は、引き続く円安と低いインフレ率により、グローバル日経企業の業績の
好調は続く。
○経済情報を見る際の重要な2つの事
①利潤率(税前利益÷総資産)→投資に対して利回りがどれだけあるのか?
②利子率(10年債利回り−CPI上昇率)→投資に必要な資金の調達コストはいくらか?
→木を見るのをやめて、山だけを見る。この2点以外の情報は役に立たない。
→通常は、利潤率と利子率のグラフは相関関係があり連動するが、2002年以降、
企業の利潤率は上昇するのに、利子率は下落している。
○近年の不思議な経済現象
・2002年以来、これまでの経済学の定石で説明できない現象が起こっている。
①主要国の中央銀行が金融引締めをしているが、流動性は高まっている。
→2002年以降、企業利潤の貯蓄が、金融市場に流れ、長期金利を下げている。
→これまでの経済学では、キャッシュフロー>設備投資の場合は不景気と
考えるのが普通だった。(不景気時は借金をして設備投資をしない)
②原油価格が上昇し企業コストが上昇するも米国は完全雇用状態が続いている。
③世界的に景気が良いのに、金利が上昇しない。
○米国の不動産市場は安定
・労働分配率がピークの時に景気は悪化するが、2002年以降低下しており、
企業のコストは下がり続けている。
・インフレとリセッション(解雇)は、企業コスト上昇によって値上げをするから
結果として起こる。リセッションはコストに耐えられず人員整理をする。
・米国での住宅購入は、2軒までは住宅ローン分が免税扱いとなるので、
節税が目的となり、資産形成の選択肢の1つとなっている。
・世界中が米国の不動産バブル崩壊を新倍しているが、米国で住宅の売却理由は2つ。
①リストラされて収入が無くなり、節税が不用となる
②不動産の利回りを超え、金利が上昇し、不動産投資の意味がなくなる
米国は完全雇用状態であり、米経済が不動産が引き金で悪化することはない。
→世界中の投資家が、心配する必要が無いと気づくのが、今年の後半となる。
○経済のグローバル化によるパラダイムシフトが原因
・日中貿易は、現在お互いに12兆円の輸出入をしている。
日本→中国 12兆円(年収400万円×300万人が生み出した経済価値)
中国→日本 12兆円(年収20万円×6000万人が生み出した経済価値)
→つまり日本の労働人口6800万人に近い労働人口を輸入したのと同じ事であり、
結果的に日本の一人当り生産性が上がったことになる。
・しかし、この恩恵を週飛車に還元しているのは100円ショップとユニクロだけで、
他の全てのグローバル企業はボロ儲けをしている状態。
・繊維業界では、世界の糸の50%が中国製、世界の布の70%が中国製。
・米ウォルマート社は、中国から200億ドル(2兆円、中国のGDPの1%)の輸入を
しているが、同じ物を米国で調達すると10倍のコストとなり、中国を利用する
ことで、18兆円のコストダウンを実現している。
・ドイツ証券は、インドに4千人のSEを雇用し、経理処理は大連で中国人が担当。
・中国の農村で年収1万円の生産性の農民が、工場労働者になることで、生産性が
20倍に上がり、その生産性上昇の成果の恩恵を多国籍企業が受けている。
→1/10の安い労働市場にアクセスではるグローバル企業が、恩恵を受けており、
その結果、先進国のインフレが起こらず、金利の上昇が発生しない。
→辺境から富をローマに集め高い生活水準を100数年続けた、紀元1世紀のローマ
帝国のような現象が先進国で起こっている。
○日本の経済力
・労働市場は中国、金融とソフトウェアは米国、半導体は韓国が競争優位を持ち、
日本は産業の空洞化が進んだが、2002年以降、日本の貿易黒字は増加している。
・現在、日本に残っている産業は、他国がマネできない世界NO.1の企業となった。
携帯本体はノキア、モトローラが世界シェアを取っているが、部品は日本製。
サムソンが成長するほど、日本から機械設備、部品の購入金額が増える。