ワタミ・渡邉社長の講演メモ

渡邉社長のナマ講演を聞くのも今回が2回目である。
「外食、病院、介護、農業、学校、NPOと色々やっているとよく言われるが、自分は経営しかやっていない。経営が不在の所にはビジネスチャンスがある」というメッセージが印象に残った。
また、NPO活動のビデオの中で、「砂に水を撒くことに等しいが、少しでも砂が濡れればいいじゃない」という渡邉社長の言葉に心を打たれた。
講演の最後の「小さな足跡を残したい」というフレーズは、忘れることはないと思う。
来月出版予定の著書『もう、国には頼らない』を是非読みたいと思う。

もう、国には頼らない。 (NB online book)

もう、国には頼らない。 (NB online book)


講演テーマ『経営力で社会を変える』


スクール・エイド・ジャパン(NPO)の活動
 ・月に1回、子供達の為に講演をすることにしており、自分の決して安い講演料とは
  いえない講演料を全額、カンボジアに送っている。
 ・カンボジアの子供達に教育のチャンスを与える為に、7年前にNPO法人スクール・
  エイド・ジャパンを設立。
 ・設立のきっかけは、最初はあるNPO団体に会社の売上から寄付をしていた所、
  そのNPOの理事と会った時に、寄付金十数億円の内、維持費で7億円使っている
  ことが判明し、全くコストコトロールが出来ていないことがわかった。
  自分でやって、1円残らず子供に届けることに決めた。
 ・カンボジアでは10万人の孤児が存在する。
 ・2008年3月に80人の子供達が住める孤児院を設立する。現在45名が決定。
  →終らない一歩を踏み出すことに決めた。
   孤児院の子供の生活を金銭的に面倒を見てもらえる「里親」を探している。
 ・現在、カンボジアで72校の小学校を設立、年内に92校となり、ネパールの
  小学校と合わせると100校となる。
  1校当り500人の生徒が学び、全体で3万人を超えている。
 ・発展途上国に学校(1千万円くらい)を寄付するお金持ちはいるが、箱物だけ作って
  教員集めまでしておらず、実際は使用されていないケースが多い。
  我々は、村長を中心とした地元の人と一緒に委員会を設立し、国に学校設立の
  申請をし、教員の派遣が決定してから学校を建設する手順を踏んでいる。


○なぜ学校をやっているのか?
 ・学生時代にボランティアで養護施設に出入りしていた時に、孤児の子供の
  将来に、先生の影響が大きいことが分かった。
 ・24歳で外食で創業した年の正月の日記に、「1件店舗を出したら、1件塾を出す」
  と書いたが、現実はそんなに甘くなく、外食の競争は厳しかった。
 ・その後、会社を公開させて100億円を手に入れ、役所に学校設立の相談をしに
  行った所、私学審議会(私学の理事長で構成)で全員賛成でないと、新規に
  学校設立はできないことを知り、実際には出来ないことが分かった。
  ちなみに、千人規模の学校で140〜150億円の投資が必要。
 ・役所の人から「何処とは言えないが、潰れた学校を買えばいい」と言われ、
  銀座のクラブ以上に、生徒数より教員数の多い潰れそうな学校10校に手紙を
  書いたが、全く反応がなかった。
 ・補助金は生徒数割ではなく、学校割なので、学校は潰れない仕組みになっている。
 ・縁があり、118年の歴史で最寄り駅が「東大前」の「郁文館」と出会った。
  前理事長が50億円で軽井沢にホテルを建ててしまい、学校のキャッシュを
  ホテルにつぎ込んでしまっており、ホテル付きで購入することになった。
 ・郁文館の理事長に就任して2週間後に、父兄かせの預かり金を使い込んでいる事が
  判明し、自腹で1億円学校に入れた。
 ・実際に経営を見てみると酷いもので、30年間、ユニホーム、修学旅行など、
  あらゆる事に対して、相見積りを取っておらず、理由を尋ねると「業者との
  長い信頼関係がある」言うので、調べると修学旅行の後に大宴会をして
  もらっていた。
 ・全ての購買を見直し、同じサービスで5千万円浮かせれた。
 ・学校は生徒数が1650名と決まっているので、売上も固定されており、人件費率が
  50%以下でないと成立しない。ちなみに病院の人権費率は57%と考える。
  人件費8億5千万円を固定にし、その分配は教員全員で決めてもらった。
 ・経営はうまく回り出すとうまくいき、毎年3億円資金ショートしていたのが、
  毎年4億円のキャッシュを生むようになった。
 ・日本の中高等学校で、初めて格付けを取得し、「A-」の評価を得られ35億円の
  調達に成功した。ちなみに全日空より高い評価。
 ・2010年に日本一ハイテクの新校舎を設立予定。
 ・郁文館のウリは、「夢教育」。
  大学生は将来の夢がなく、高校生はいい大学に進学することが夢になっている。
  学校は、本来、子供達を幸せにする所であり、どういう人生を歩みたいか、
  モデルを見せる必要がある。
 ・ニートの原因は、仕事をしたくないと子供が刷り込まれる父親に責任がある。
  様々な人生のモデルを見れる機会を作っている。
  この「モデル教育」を始めたら、偏差値が6上がった。