ライブドア事件の主犯の一人とされる宮内亮治氏(法的な罪名「有価証券報告書の虚偽記載」)の手記である。堀江被告との出会いから、どのようにライブドアの成長させて行き、粉飾決算による逮捕となったか、その経緯を宮内氏の視点で詳細に書かれていた。
著者はこの本で、「実態のあったライブドアという会社を誤った目で見て欲しくない」と主張している。正しく著者が巻末に書いているように「内から書かれたライブドアの実像」であるかもしれない。
一部では、国策捜査と言われるライブドア事件であるが、否認を続ける堀江被告に注目しておきたい。
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<読書メモ>
○堀江氏との出会い
・1996年3月。28歳の時に、堀江氏(当時23歳)と通信ベンチャー企業の紹介で出会う。
・堀江自ら、六本木の事務所から、宮内氏の関内事務所まで出向いてきた。
・翌月4月に、月額顧問料1万5千円で契約。
・1999年夏、役員に欠員ができ、取締役兼CFOに就任。
・2000年4月、東証マザーズに上場し、60億円を調達。
・堀江氏が2005年6月、持ち株の一部を売却し140億円のキャッシュを手にしてから
堀江氏は事業への情熱を失った。
○2006年1月、事件時のライブドア
・グループ従業員数 約6千名超
・連結売上高 780億円
・時価総額 8千億円
・ニッポン放送買収断念の見返りに、フジデレビより1,340億円の現金を入手
・会員数1千万人。買収時会員数は公称150万人だったが、実際は50〜60万人。
○粉飾の第一歩
・2002年11月ライブドア買収後、赤字が続くポータルサイト事業部門に対し、
宮内氏が管理する投資子会社キャピタリスタよりポータル使用料として
月額7千万円を支払うことで黒字化させた。
・その後、ファイナンス部門より年間8億円のポータル使用料は恒常化。
○東京地検特捜部が立憲したライブドア事件
・2004年9月期決算らおける利益操作
1.ライブドア株売却に関与した投資組合はダミーで、その自社株売却益
37億円は資本取引に計上すべきもの
2.子会社予定企業2社の預金約15億円を売上に付け替え架空計上した
3.買収先しっゅぱん者との株式交換比率は適正ではなく、第三者機関の
算出でもない
○ビットスタイル(2000年2月2日、於:ベルファーレ)
・2000名が参加。
・VIPルームには、日銀総裁・速水優氏、ナスダック・ジャパン・佐伯達之氏
もいた。
・ソフトバンクの孫正義氏は、ダボス会議から3千万円で飛行機をチャーター
して駆けつけた。
・当時のソフトバンクの株価は6万6千円で時価総額21兆円。
光通信は株価24万円で、時価総額7兆5千万円。
○村上ファンドの裏切り
・東京地検が村上世彰氏をインサイダー取引で逮捕起訴の立件
1.きっかけは、2004年9月15日の第1回ミーティングで「ニッポン放送を
買わないか」とライブドアを誘った時。
2.インサイダー取引が成立したのは、11月8日の2回目のミーティングで
宮内氏が「資金の用意ができた。買います」と告げた時。
→村上氏は17%持っていると言った。
・村上氏の誘いに乗って「出口戦略」に使われた事で、破綻の危機に追い
詰められた。
2005年2月8日7時に取締役会議を開催し、800億円のMSCB発行を決議。
8時20分から50分までの30分間に6回の時間外取引で、ニッポン放送株
972万株(29.6%)を買い付け、合計35%強を握る筆頭株主となったと発表
した裏で、村上氏は利食っていた。
・村上ファンドは、11月9日〜2005年1月26日までに193万株を買い増しし、
その後の売却で約30億円の利益を手にした。買い平均コスト約3千円。
・2月9日7800円、10日8800円と高騰し、村上氏から堀江氏に村上ファンド
持分売却の連絡があった。
○MSCB(ムービング・ストライク・コンバーチブル・ボンド)
・「コントロールノのいいピッチャーがキャッチャーの構えたミットに
寸分の狂いなく多摩を投げ込むことができる社債」という意味。
・投資家にメリットを与える為に自動的に行使価格が動く。
一般的には、時価の1割引に設定されている。
・引き受けてにとっては、「株価下落を前提に売りポジションを取る
ことで儲けられ、全て転換した買いポジションに入り、値を戻す課程で
また儲けられる」魅力的な商品。株価下落を前提としている。
・発行済み株式が増えるので、株価下落は明白な、既存株主にとっては
迷惑な転換社債。
・しかし、日本証券業協会から出たMSCBと公募とを比較した報告書では、
公募の方が調達後の下落率が高いことが証明されている。
○ライブドアの待遇
・服装自由、フレックスタイム制。
・最低水準賃金は月18万円。年収220万円。
・福利厚生は7万絵の住宅手当のみ。
・執行役員でも経費の決済権限は5万円まで。交際費は無し。
・ファイナンス部門は、50億円のM&A案件をまとめると、成功報酬が3%の場合、
1億5千万円が会社に入金され、経費を引いた1億円が純利益とすると、
その10%の1千万円が担当社員の報酬となった。