東京経済大「市民サテライト・ゼミ」にて、6月23日に続き全2回シリーズの「コンビニエンスストアから考えるビジネスの仕組み」に参加した。

今回の講師は、1964年生まれの田島博和・準教授だった。学習院大理学部数学科出身との事で、数学を使ったマーケティング論を教育しているらしい。

<講義のメモ>
テーマ:「コンビニエンスストウの今日的課題」
講師:田島博和・準教授
著書:
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コンビニエンスストアの成長神話に陰り
 ・6割の店舗で客単価が減少
 ・昨年2006年、セブン・イレブンが上場以来、初の営業減益(前年比1.9%減)


○我が国の小売流通構造
 ・経済産業省商業統計調査
  →調査対象期間は1月〜12月、法人税率を決める際のデータとして使用。
  →売り方のタイプで分類。(販売商品、セルフor対面販売)
 ・小売業全体の年間販売額は、約133兆円(2004年)、コンビニの構成比は約5%。


業態別の年間商品販売額(2004年)|-|販売額(百万円)|構成比|

百貨店 8,002,348 6.0%
総合スーパー 8,406,380 6.3%
専門スーパー 24,101,939 18.1%
コンビニエンスストア 6,922,202 5.2%
ドラッグストア 2,587,834 1.9%
その他スーパー 5,480,581 4.1%
専門店 49,970,253 37.5%
中心店 27,578,452 20.7%
その他小売店 228,642 0.2%

 *専門店:衣食住のどれかが9割以上
 *中心店:衣食住のどれかが5割以上


○我が国の小売経営構造
 ・日経MJ「日本の小売業調査」
  「主要小売業の売上高と経営効率」(2007年6月27日朝刊)
   規模拡大「2大総合小売グループ」 セブン&アイ、イオン
   経営効率向上「高効率専門店3強」 ファーストリテイリングしまむらヤマダ電機

 ・EDINET証券取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する
  電子開示システム」
  田島先生作成の表(核小売店について、縦軸に営業利益、横軸に営業費用)が画期的だった。


○利益増大の為の方法
 ・効果的(effective):攻めの経営。同じ経営資源で成果を上げる。
  →予算の使い方を変える。つまりマーケディング戦略を変える。
 ・効率的(efficient):守りの経営。経営資源を減らして同じ成果を出す。
  →表面的に顧客の見えない所の経費を抑える。


○コンビニの経営上の特徴
 ・20〜30歳代の男性をターゲットとし、営業利益率が高い
 ・営業収益
   →弁当とドリンクの粗利率が高い
     おにぎりは、食塩水で炊いている。
   →柔軟な出店により、商圏は狭いが独占的な場合がある
   →24時間営業により、夜間の商圏を独占できる
 ・営業費用
   →加盟店よりのロイヤルティ収入が営業収益に占める割合大きい
    つまり販売管理費が相対的に低い
 ・規模が大きくなる程、利益が大きい
   →規模の利益が証明できる。


○コンビニの経営上の問題点
 ・高コスト体質
 ・商圏内の店舗密度が上がると共喰いが始まる
 ・加盟店の経営状態に大きく左右される
  →優良不動産物件が枯渇し、セブンイレブンでは、地代家賃が9年間で4.3倍、
   前年比14%増
 ・コモディティな業態であり、差別化しづらい
 ・他業態との優位性が減少(ドラッグストア、24時間スーパー)


○コンビニの今日的課題
 ・消費者との情報格差が縮まった
 ・収益性確保の為に顧客満足を高めて顧客育成が必要
 ・顧客満足の為に必要な要素(エコ、安全、快楽・楽しさ)
 →収益性を維持しながら、これらちを追求するには、サプライヤーとの協働と
  更なるIT化が必要
 →コンビニには、データ分析能力と在庫管理能力がある。
  コンビニはあらゆる世代のデータを持つ為、メーカーとの商品共同開発が可能。
  現在、コンビニの商品の6割はメーカーのOEM商品か、両ブランド商品。