黒川清・内閣特別顧問が基調講演されるということで、東大医療政策人材育成講座(HSP)主催のシンポジウムに参加した。
お忙しいにもかかわらず、懇親会に黒川先生も参加されたので、名刺交換をさせて頂いた。
その際に、冨山和彦氏の著書『指一本の執念が勝負を決める』をご紹介頂いた。早速、読みたいと思う。
<黒川清先生の講演メモ>
○日本の医療の現状
・先進国の中では、健康の指標は一番良く、モデル国になっているにも係わらず、
国民の医療に対する不満は多い。
・医療は義務教育と同じで、アクセスが良く、質が良く、誰がお金を払うかを
考えねばならない。
・フリーアクセスを許しているのは、先進国では日本のみ。
慶應病院の外来患者数は1日/5千人、東大病院は1日/4千人。
・世界一の長寿国で、高齢者が一番多い。内科は殆ど老人相手に診療をしている。
・50年前には10万人だった糖尿病患者が8百万人となっているが、運動不足と
食べすぎが原因であるのに、これが病気なのか疑問である。
・喫煙者が減らない。10年前に「健康日本21」という喫煙者を半分に減らす政策が
いつの間にか無くなった。
米国では外で喫煙できなくなり、肺ガンが減少し始めている。
日本は世界一安いタバコを販売しており、国家的犯罪に等しい。
○医療政策には多くの人の参加が必要
・これまでの政治プロセスは、役所主導であった。
・選挙で医療政策を真剣に考えている候補者を当選させねばならない。
・医療人のコミュニティを社会に認識してもらわねばならない。
○地域医療で配慮すべき点
・現在、人口の75%は都市部に住んでいる。
・地方と年では高齢化比率が異なる。
・道路の利便性を考慮に入れ、もっと広域で医療サービスを考えるべき。
・今、医療制度をゼロベースで作るとするなら、県庁所在地に1ヶ所基幹施設を作る。
・病院は地域住民の共有資産と考えるべき。
・新しい枠組みを住民のメリットを考えて、メディアを通じて訴える必要がある。
・役所だけに任せてしまうと、失敗する事を恐れ、失敗すると隠してしまうことがある。