先日3月22日に亡くなられた城山三郎氏を偲ぶ会が、「憲法行脚の会」主催で行われた。城山氏と共著を出されている内橋克人氏が基調講演をされるということで、参加してきた。

本日8月18日は、城山三郎氏が存命であれば、80歳の誕生日であったそうだ。
城山三郎と言う作家が、残した著作が、どのような背景で書かれたのか、理解が深まった。
学生時代に、数冊、読んだ事があったが、是非、内橋氏が推薦する代表作3冊を読みたいと思う。


内橋克人氏 講演メモ>


○内橋氏の城山三郎
 ・故人を偲ぶのは尊い事であるが、死者を語るは難しであり、それぞれの
  城山さんであるべき。
 ・城山さんは、大切な部分を飛ばしてしまう作家を嫌い、俗な面白さを
  出さない作風に拘っていた。
 ・城山さんから頂いた手紙は全て肉筆であった。


○内橋氏が選ぶ代表3作

鼠―鈴木商店焼打ち事件

鼠―鈴木商店焼打ち事件

 ・昭和41年、城山三郎39歳の時の作品
 ・神戸の鈴木商店焼き討ち事件を題材に、番頭の金子直吉が主人公。
  

男子の本懐 (新潮文庫)

男子の本懐 (新潮文庫)

 ・昭和55年、城山三郎53歳の時の作品
 ・浜口雄幸総理と井上準之助蔵相の二人が主人公。
 ・現代の経済学者から絶賛される高橋是清ではなく、緊縮財政を断行して、
  昭和恐慌の引き金を引いたと不評の二人を取上げた。


落日燃ゆ (新潮文庫)

落日燃ゆ (新潮文庫)

 ・昭和49年、城山三郎47歳のときの作品
 ・文官で唯一A級戦犯となり、殆ど記録が残っておらずベールに包まれた
  廣田弘毅が主人公。


○3作の共通の特徴
 1.国家、軍隊とは何か?
  ・国家が国民にどういう仕打ちをするか、国家がいかに薄情で厳しいか
   書いている。
 2.経済史学で捉えられる経済とは全く違う
  ・重要な事を飛ばさず、緻密な調査の結果、分からないことは、正直に
   分からないとしている。
  ・井上蔵相の金解禁は、己の野心ではなく、浜口総理が暗殺された後、
   覚悟を決め命をかけた決断であった。
 3.恐慌(パニック)とは何か?
  ・経済を知らすに政治は語れない。
  ・恐慌の後は、必ず戦争へ向かう。国民を貧困にさせることで、景気対策
   としての第三の市場である軍需産業を拡大させ、雇用を増やすことで、
   国民から絶大な指示を得られる。
  ・昭和恐慌の時、貧困を経験した国民は、戦争を望み、満州へ向かった。


○経済の軍需化への誘惑
  ・第三の市場である「軍需」は安定したマーケットであり、経済界、国家
   権力には大変便利なもの。
  ・経済界は2003年から、武器輸出三原則の見直しを言い始めている。
  ・小泉政権において、官僚制度を崩壊させ官邸独裁となった。
  ・前回の衆院選では、刺客により、地域社会の代表を国会に送られて
   いない。
   小泉チルドレンは、誰一人として地域の為に働いている人はいない。
  ・ワイマール憲法の下でナチスが権力を握ったやり方と非常に似ている。
  ・国民を愚民扱いし、貧困を装置化している。
  ・最近の調査では、国民の4割が「長生きしたいと思わない」と考えている。