「取り残される医療難民」という挑戦的な副題が付いていた日テレのNNNのドキュメンタリー番組を見た。医療崩壊が決定的となり、地方では医療サービスを受けれなくなっている地域が出始めた現状が分かった。経営悪化による病院の集約、統廃合が益々進むであろう。
番組の最後に、閉院後の病院の一部を借りて開院した診療所の紹介と共に締めくくられたナレーションが特に印象的だった。
「患者に寄り添う病院。待合室の何気ない会話が何よりの薬。」
<番組メモ>
「病院が消えた・・・〜取り残される医療難民〜」
○姫川病院の破綻
・新潟県糸魚川市 人口5万人
・医療過疎地域だった為、6千人の住民が1口5千円から出資して組合を作り
姫川病院を20年前に開設した。
・姫川病院は114床、外来数3千人、職員数100人
・2007年6月上旬、「3週間後に閉鎖が決まった」と患者に突然知らされた。
・6月29日 自己破産により閉院
○姫川病院破綻の原因
1.医療制度改革
2002年から診療報酬が3度引き下げられ、その都度、数千万円減収
2.医師不足
医師数の推移 2000年14名→2007年6名
医師数減に伴い病院収入が減っていった
3.経営合理化に踏み切れなかった
○富山大学附属病院の現状
・救急患者の受入れは、1日30人超える
・今年、大学病院に残った研修医は20人のみで、3年前の半数。
・研修医が減れば、地域の病院に医師を派遣する事が難しくなる。
・研修医が減り、働き盛りの中堅医師の負担が増え、大学病院を去るという
悪循環になっている。
・「実働できる医師の数が減っている印象がある」と中堅医師の感想。
○新臨床研修制度(3年前に開始)
・検視優位の病院選択を自由化→大都市の病院に人気が集中
・今年7月、東京で「医学生のための臨床研修指定病院合同セミナー」開催
全国250病院が参加したが、首都圏の病院に人気が集中
○姫川病院閉院後の状況
・姫川病院の患者は、糸魚川総合病院を紹介されるが、受入れの限界を超え
一部の診療科で姫川病院からの紹介患者の受診を制限された。
・糸魚川総合病院の1日外来数は、姫川病院の4倍。
・診療まで3時間半待ち。
○ひめかわ美野クリニックの開院
・姫川病院閉院2ヵ月後、富山大学から派遣されていた1人の医師が、患者を
置いて富山に戻れないと思い、管財人から施設の一部を借りてクリニックを
開院した。
・看護師3名は、元姫川病院の看護師。