書名は少し品がないが、以前、本人の生講演を聴いたことがあるテイクアンドギブ・ニーズの創業者・野尻佳孝氏の著書を読んでみた。
先日の講演の時に、何も原稿を見ずにマイクだけを持って、持ち時間ピッタリで論旨がきれいに整理されて講演をされたのに驚いたが、この本を自分で何度も推敲されて自分の言葉になっていたからではないかと、理解した。
彼のハチャメチャな人生を、「面白い!!」と感じてしまう自分....
それにしても、明大ラグビー部は面白すぎる!!
- 作者: 野尻佳孝
- 出版社/メーカー: アメーバブックス
- 発売日: 2005/05/25
- メディア: 単行本
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<読書メモ>
○明大ラグビー部
・入部を許されるのは、入学前の3月半ばに行われる「新人合宿」に
参加した者のみ。
・部員は約150名で、15名づつ1軍から10軍まで能力別に振り分けられる。
・上下関係は厳しく、上級生に対して使っていい言葉は「はい」と「いいえ」
と「あのちょっと」の3つだけ。
・「シボリ」という何かミスを犯した場合、反省を促すための罰として
与えられる特別練習プログラム、別名「シゴキ」がある。
大抵「腕立てエンドレス」か「グラウンド走りエンドレス」のどちらか。
○明大ラグビー部の寮の掟「1000個のルール」
・通称「合宿所」と呼ばれる寮には、1軍から5軍までのエリートか、地方
出身者に限られ者が宿泊。
・ラグビー部の寮には「1000個のルール」という、実際に数えた者がいない
ので、本当に1000個あるのか不明の掟がある。
・入寮第1日目の夜から朝の6時までかけて、正座をさせられ、先輩達から
「1000個のルール」のレクチャーを受ける。
・ルールその1:朝の体操の時は「裸足」に「学ラン着用」で集合する。
→意味も効果も不明ながら、朝6時に起床し、グランドで短パンに学ラン、
素足という出で立ちのマッチョ集団が並んで、毎日体操する。
→「お正月バージョン」が存在し、「ハチマキ」が加わり、「この世の
全ての生き物に感謝を捧げる」というコンセプトの下、目に留まった
生き物全てに新年の挨拶をしなければならない。雀が横切っても
「新年、明けましておめでとうございまーす!!!」と絶叫しなければ
ならない。
・ルールその2:紫色のものは着てはならない。
→明治のチームカラーが紫紺に由来するので。
・ルールその3:決められた場所以外は通行してはならない。
→寮の中には新入生が通ってはいけない上級生達の「聖域」があった。
・ルールその4:寝ている先輩がいたら、頭の後ろは通ってはならない。
・ルールその5:電話が鳴ったら2コール以内に出ること。
→電話の出方については、先輩達による特別指導つきで、「明治大学
ラグビーブ合宿所です!」を気合を入れて、「・・・めうぇるあああ
っっす!!!」と叫ばねばならない。
・ルールその6:先輩の「おーい」という呼びかけがあったら、10秒以内に
駆けつけること。
→1年生は、上級生が「おーい!」と呼ぶと、「はーい!」と返事して全員
10秒以内に駆けつけなければならない。上級生の部屋は全部で15部屋
あり、どこから呼ばれているか的確に判断し、10秒以内にたどり着け
なかった場合、即「シボリ」決定。
・どんなトンチキなルールも「オレたちの時もそうだったから」「そういう
決まりだから」という根拠ゼロの理由で守られ、ルールのレクチャーの
最後に「これらのどれか1つでも守れなかった時は、即シボリ」と締め
くくられる。
・「困った顔選手権」でチャンピオンになってしまい、以来、困り顔が
苦手なチームメイトがいると「ほら、野尻、お手本を見せてやれ!」と
ことあるごとに命令されるようになった。
3つの単語以外しゃべってはならないので、何か言いたいことがある時は
困った顔でアピールするのが決まりで、「あのねちょっと」を併用する。
おかげで困り顔のオーソリティになったが、この特技が役に立つのは
言葉の通じない国で道に迷った時ぐらいだろう。
○自分は全国で何番目?
・第2次ベビーブームと呼ばれた1972年に生まれたが、同じ年齢が全国に
203万人。
「オレはいったい、その中で何番目ぐらいにいるんだろうか?」と常に
自分の立っている場所を自問している。
○住友海上火災保険のサラリーマン時代
・入社式の初出社の時に、赤いボルボの車で出勤し会社の駐車場に駐車。
・入社した95年当時、上司さえ持っていない携帯電話を真っ先に持ち歩いた。
○ブライダル事業で起業
・挙式披露宴だけでも2兆円市場。
・新婚旅行、ジュエリー等の周辺産業を入れれば10兆円の巨大マーケット。
・挙式するカップルの8割が新婚旅行に出かける。
・巨大市場にもかかわらず、大手と呼べる企業が1社もなかった。
・ブライダル業界は40年もの間、ホテルか専門式場の独壇場だった。
・シェアは、ホテル50%、専門式場が40%。その殆どが兼業で、アパレル、
美容業界同様にりえきりつも高い。
○社名の由来
・創業メンバー3人で案を出し合い、自分の一押しは「株式会社ゲッチュー」
だったが、却下された。
・最終候補として「ギブアンドテイク」が残り、ひねりが無いということで
逆さまにして、世の中のニーズを拾って、ニーズを還元するという意味も
込めて「テイクアンドギヴ・ニーズ」に決定し、1998年10月19日に登記。
○コスト削減
・売上5千万円(成約数20件)まで、渋谷の家賃2万円、風呂無しトイレ共同の
ウイークリーマンションでスタート。大人3人がやっと入れる1畳ほどの
広さだった。
・1999年年明けに、目標の20件に達し、南青山の10畳ほどのワンルームに
引越し。
・創立1周年後、社員数が15人を越え、坪当たり1万2千円の南青山で最も
坪単価の安いビルに引越し、東証二部上場後も移転せず。
○直営店出店の為の資金調達
・日本ベンチャー協議会(2000年5月発足。会員企業数230社)が運営する
『サロン21』というベンチャー企業のトップが情報交換をしている
バーがあることを知った。
・『サロン21』は東京都中央区銀座の並木通りに近いビルの地下1階で
ひっそりと営業しており、一心不乱に通い続けた。
・シートゥーネットワークの稲井田安史氏、日商インターライフの天井
次夫氏から出資をして頂けてから、あっという間に5億円が集った。
・「日本ベンチャー協議会」は現在、銀座6丁目のビルの9階にある。
○ナスダック・ジャパン上場
・2001年12月、創業から3年2ヶ月後、ナスダック上場するも、3億円しか
調達できなかった。
○社内研修制度
・四半期に一度、全社員参加の社員総会を実施
・2003年7月から「野尻塾」として月に1回、1〜2時間、各店舗の支配人
クラスの幹部約30人を集めて実施
・2003年8月より幹部向け「マネジメント研修」を実施
・月に1度、事業部会を実施
・毎週1回、5〜6時間を割き、エリアマネージャー、支配人とネット会議
・プランナーは6階級、マネージャーは7階級を設け、念に4回評価・査定を
行い、昇格と昇給を決めている。
・キッチンスタッフは毎月昇格・昇給を見直した。
・ウェディングプランナーは約300人、平均年齢26歳、8割が女性。
○経営者の仕事
・創業当初、社員の給料袋に300文字の直筆の手紙を入れていた。
・社員が100名を越えた頃からは、300名分の週報のチェックを、T&Gの
ホームページのスタッフの顔写真を見ながらしている。
・経営者は、社員のことを見続けていかなければならない。「みんなの
活躍は、ちゃんと見ているぞ」ということを伝え、言動にして示す
事が、社員のモチベーションを引き上げ、会社の一体感を作り上げ、
ビジョンへと収束させていくことにつながる。
・社員の働きぶりを家族にに見てもらう為に、ビデオを撮り続けている。
・創立2周年記念パーティには、社員の家族も招待し、2004年のクリスマス
には、社員1人ひとりが頑張って働く姿を収録したDVDを、社員全員に
プレゼントした。
・取引先を「業者」と呼ぶことは御法度で、毎月1回、取引先に集って
もらいバーベキュー大会、温泉旅行、ゲーム大会を開催している。
・社長こそが、社内で一番の働き手でなければならない。
・創業以来、絶対に会社の利益を自分の為に使わないと決め、東証二部に
上場した今日まで、交際費はほぼゼロである。