黒川清先生の講演メモ(同志社大・生命医科学部開設記念シンポジウム)
午後から、台風の雨風が激しくなる中、東大医科研から新宿に移動。黒川清先生の講演に間に合った。
シンポジウム参加者全員に、『大学病院革命』をプレゼントして頂いた。黒川先生は太っ腹だ。
講演の中で、「今こそ、東大病院は外来をやめると宣言すべき」と言っておられた。確かに大学病院が、外来人数を競っている場合ではないと実感した。
また講演で紹介があった『裸のお医者さまたち―名医と迷医の見分け方』を早速、手に入れて読むことにしたい。
- 作者: 黒川清
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<講演メモ>
テーマ「大学病院革命を実現する」
○世界的なオープンアクセスの流れ
・ラテン語に「インクナーブラ」(1501年より前に印刷された本)という言葉がある。
グーテンベルクの印刷技術により、ドイツ語の聖書を広まり、宗教革命が勃発。
参考サイト
それまでの体制の権威の立場が危うくなった。
情報が広がった事で、体制側の成功者にチャレンジをする者が出てくる事になった。
○医療政策を考える上での基本認識
・1次データは省庁が持っており、外部からアクセスが難しい。
・財務省も厚生労働省も互いに、データへのアクセスができない。
・医療を良くする為には、常に自分達の意見を発信しなければならない。
→今のまま、医者がただ忙しいと言っているだけではダメ。
→教育と医学は一度崩壊すると元に戻すのに時間がかかる。
・国民の75%が都市住民となっている。特に近畿・中部・関東圏に50%の国民が住んでいる。
・国民の22%が65歳以上である。
・ゼロベースで医療体制を作るとどうなるか、白紙で考えたらどうなるか?
・医者が病院の施設を使用できるようにすべきではないか?
→天皇陛下は、東大病院に主治医を連れて入院した。
・日本では、CTは保険適用になって1年後に、欧州全土の保有数より多くなった。
○医療の在り方
・東海大附属病院では、地域住民に呼びかけて、健康な時からボランティアで病院に
出入りして頂くことにし、「あなた達のプライオリティーは何ですか?」と日頃から
問いかけてみた。
→コミュニティをベースにして、巻き込んでしまうべき。
・医療ほど特異なサービスはない。お客が向こうから来てくれて、待合室で待って
くれる。
○学の責任
・古いパラダイムで成功した人達は、これからの将来ある若い人に、これからの
世の中を見せてあげねばならない。
・どうやったら一歩でも具体的な政策にしていけるかを考えねばならない。
・マイケル・ポーターは最近「アメリカのヘルスケア」について研究している。
・本来、大学は独立したシンクタンクであるべきが、学の存在が低くなり、今は
文部科学省立大学になってしまった。
・国家が困難な時こそ、学がメッセージを出さねばならない。
・アジアの人口が世界の6割となった今、どうやって日本の若者達を勇気付けるか
考えねばならない。
・異質な人を許容すべき。世の中の常識から外れている人が世の中を変えている。