東京商工会議所・葛飾支部と葛飾区しんきん協議会の共催で、慶應義塾大学経済学部の金子勝・教授の講演会があったので、青砥まで出かけてきた。

講演最後のメッセージとして「人生、努力すれば必ず報われる事もあるが、報われない事もある」というラテンの生き方の言葉は、大変印象に残った。<講演メモ>

テーマ「2008年 日本経済の展望」


○日本の政治バブルの負の遺産
・今回の戦後最大の不動産バブル崩壊から、経済が立ち直るには最低2年かかる。
・光蔵改革派の政治家は2世、3世ばかりで、抵抗勢力派は下から這い上がった
 ので、汚いことをしている。
・小泉構造改革負の遺産が押し寄せてくる。
・気づいたら輸出産業だけが強くなっていた。


○小泉構造改革とは何だったのか
・これまで、低金利量的緩和により円安に導き、輸出産業が伸びて
 景気を良くしていくという同じワンパターンでやってきた。
・「いざなぎ越え」はGDPが1%程度のプラスになった期間が越えただけのこと。
・小泉支持率は一時期80%もあり、国民は冷静に論理的な理由無くも雰囲気で
 支持していた。
・マスコミには、感情的に強く言い切る人がテレビに出ている。
・未来への投資である医療と教育はOECD加盟国で最下位となり、医療・介護は
 全て崩壊してしまった。
 →知識化した経済社会では、教育と健康への投資が必要。
・30代半ばのフリーターが4百〜5百万人おり、彼らは何も手に職が無い。
・年収200万円以下が1千万人、非正社員は1200万人。
生活保護世帯は107万世帯、健康保険証が無しは35万世帯。健康保険料の
 滞納は480万世帯。
 →このような社会が、これ以上持つハズが無い。
アダム・スミスの「神の見えざる手」というのは、バカなリーダーが
 自分の責任逃れをする時の言葉であり、市場にまかせてもうまくいかない。
構造改革で、減税、歳出削減により社会保障がズタズタになり、地方交付税
 減らし地方経済を崩壊させ、労働市場をぶち壊し格差社会に導いた。
内需が循環する経路を全てズタズタに切ってしまった。
・国内では自動車は売れておらず、売れているのは小型車のみ。


○世界の中の日本
・世界はブッシュ離れにも関わらず、ブッシュに付いて行ってしまった。
・国会を延長してまでテロ特措法を通過させても世界からは何も反応が無かった。
・米・民主党は、日本を飛び越えて、中国に向いている。
・対中外交でも全てを失い、仏が高速鉄道の1千車両を受注し、これから
 長期間に渡り、数兆円の売上が続くことになる。
・国際決済通過の30%がユーロとなつている。


サブプライム問題
・2003年にウォーレン・バフェット氏が、「爆薬庫」と指摘。
・ITバブル崩壊以上の打撃となる。
・米国の住宅市場は2000兆円。その内30%(600兆円)はバブル。
・金融バブル崩壊、住宅バブル崩壊石油ショックが、相互に悪循環し始めている。
・不動産の買い手がつかず、売れないので、損失を確定できないまま、信用収縮、
 貸し渋りが始まり、最悪、日本の90年代末の5年間の状況となる。


○日本はどうするか
格差社会を解決しなければならない。
内需だけの中小企業は本当に困ることとなる。
・新しい時代の戦略を立てねばならない。
・地域単位で互いにどういう助け合いをして、何を残していくか、自分達り子供が
 この地域を誇りに思えるか、未来に向かっての投資を考えるべき。