昨日1/20の午後、コスモ証券主催で大前研一氏の講演会が開催されたので、メディヴァの大石社長の講演を聞いた後、秋葉原から全速力で走って山手線で移動し、品川駅から会場まで全速力で走った。自分の体力の限界に挑戦してみた。間に合った!!

自分もアタッカーズビジネススクールの卒業生ではあるが、久々にナマ大前研一の話を聞いて、当然ながら自分視野の狭さを反省した。
「今回のNOVAの倒産で、路頭に迷っている3千人外国人講師をどう使うか、全ては事業機会である」というメッセージが印象に残った。
いつのまにか購読を辞めていた「大前研一通信」を申し込むことにした。<講演メモ>


○日が当っている国と「ホームレス・マネー」
・2007年の成績が良いファンドのトップ10の半分がインド関連ファンド
 →ちなみに日本のインデックスは下から2番目
・近年のインデックスのトップは、
 2004年トルコ、2005年インド、2006年ペルー、2007年上海、2007年後半は
 ナイジェリア
・平均50〜70%の利回りで回っているファンドにリスクマネーとして、資産の10%を
 組み入れておき、全体で20〜25%で運用している。
ハーバード大学は4兆円の資金を年15%で回している。
・世界には先進国の年金資金、産油国オイルマネー等で約6千兆円が余っている。
 これらの余剰資金は自国内に投資機会が無いので、投資機会を探して世界中を動き
 回っている。自分は「ホームレス・マネー」と呼んでいるが、投資への信念が無く
 儲かる対象に向かう。今は商品に向かっている。


○ホームレス・マネーを取り込み発展
・世界で自分のカネだけで成長している国はない。
・自前のカネというのは、自国の納税者のカネ。
マカオは5年前にギャンブルを外資に開放し、ラスベガスの資本を入れた事により、
 ラスベガスを抜いた。
シンガポールは、自国GDPよりも大きな額の輸出をしている。



○中国の経済発展
・中国は、自分のカネで発展したのではない。毎年6兆円が世界中から入ってくる。
・1990年当時、100万人都市が30ヶ所だったが、10年後の2000年には、222ヶ所に増。
・1998年に地方分権し、各市長に経済政策の権限を委譲し、国営企業を倒産させても
 良いとした。
・台湾企業の進出で、広州の東莞(ドングァン)市の人口は1000人から600万人に増。
・中国トップ企業の上位30社は、殆どが台湾資本の企業。
・中国人より台湾人の方が人を使うのが上手く、日本語と英語が話せる。
・台湾人人口2千万人の内、現在200万人が中国で働いている。
・中国人は経営力がなく、40歳以上は赤い本しか読んでおらず、自分で物事を
 考えてはいけなく、考えたら投獄された。
・若い中国人は、米国MBAを持ち、上昇志向が強すぎて生意気で使えない。


○日本の状況
・日本政府は、国債の借金を返済するつもりが無く、ただ毎年、国債を借り直して
 いるだけ。プライマリー・バランスという状態は、借金を返済する為に借金
 しなくて良くなる状態で、元本を返さない状態だあるが、未だにプライマリー・
 バランスは実現ではていない。
・日本にはハゲタカ・ファンドしか入ってこない。
・私が20年前に、新入社員を何十年も採用していないつまらない2社として、
 挙げたブルドック・ソースさえ守ろうとする。
 (ちなみにもう1社は、軍人恩給がメイン業務の大和生命)
 ブルドック・ソースを守った瞬間に、外資が全て日本から出て行ってしまった。
・過去に日本の株価が上昇したのは、外国人が買ったからで、日本人だけならば
 日経平均は1万2千円までしか上がらない。
 このまま閉鎖経済を続けるならば、日経平均は9千円程度となる。
・日本は法人税率、相続税率ともに世界1位。


○ロシアの状況
・ロシアは、天然ガス産出で世界1位、原油産出は世界2位と、サウジアラビア化して
 おり、自国のオイルマネーで、世界から物を買っている。
 国防産業以外は、全て外資の参入を認めている。
 プーチンが5年前にフラット・タックスを導入し、所得税を一律13%とし、高額
 所得者の税率が30%から13%に下がり、地下経済のカネが表に出てきた事により、
 全体の税収が25%増となった。
・ロシアの男性の平均寿命は52歳、定年が60歳なので、老後の心配はしなくて良い。
 ちなみにロシアの女性の平均寿命は75歳。
・昨年の年間自動車販売台数は200万台。
・道路事情が悪い為、パリダカで優勝した三菱ランサーが一番人気。
 ランサーは9ヶ月待ちで色は選べず、3ヶ月納車を早めると30%のプレミアが付く。
・日本の道路も、40年間何も補修をしなくてもロシア並みまではいける。
 ロシアは、道路に穴が空いていたも冬は氷が埋めてくれる。
・ロシア人は、理屈無く日本が好きだが、日本人は理屈無くロシアが嫌い。
・ロシアはインドを凌ぐIT国家になる可能性があり、丁度インドの7〜8年前の
 状況で、800〜1000人規模の会社が5、6社ある。
ボーイング社が現地で1500人雇用、インテルもロシアで3本社の開発部門と同じ
 3千人を雇用し、開発のみやっている。


○米国の状況
相続税を毎年10%づつ下げてきて、2010年にゼロとなり、2010年からまた上げる。
 米国では「2010年問題」と言われ、景気が良くなる。
・米国は9対1の市場規模で中古住宅市場がある。
・米国人は一生で4軒の家を購入する。
ブッシュ大統領になってから、不動産価格が3倍になっている。
・中層に住宅が行き渡ったので、近年の2〜3年にかけてクレジットリスク層に
 売ったのが、サププライム問題となっている。
・既に住宅価格は20%下がっているが、今後、健全な層のマージンが無くなるまで
 価格が下がると危機的な状況となる。
 住宅価格が更に20%下落した時は、全ての投資をフリーズすべき。



○世界の経済状況を見るには不動産
・招待されて世界各国で講演をしているが、主催者が用意してくれた一流ホテルに
 宿泊して、名刺一枚で現地の不動産屋に、現地を案内してもらう事にしている。
・不動産がその地域の経済発展の先行指標となる。
原油高に釣られてトウモロコシの値段が上がり、農地の値段が上がっている。
・最初はブラジルが上がり、アルゼンチンの農地も上昇した。
・水が無いと作物ができない為、オーストラリアは上がっていない。
・これから農地を手に入れるには、農地を保有している会社を買収するしかない。
・マンションは世界からカネが入ると街中の一等地は1億円を超えるようになる。


○世界の運用利回り
・2007年の年金運用成績の1位はオーストラリア年金ファンドで、11%だった。
 ちなみにオーストラリアの定期預金金利は6%。
・日本人の平均利運用回りは2.3%、米国人は6.5%。米国ホワイトカラーは平均8%。
ノルウェー北海油田の1/3を国が年金に投入しており、個人の年金拠出は不用。
シンガポール政府ファンドは、ドルベースで25年間平均9.9%で運用している。
・世界の平均利回りは、5.5〜6%。


○日本人の金融資産の考え方
・ライフプランを考えてあげれば、老後経済にチャンスがある。
・日本人は世界で一番寿命が永く、死ぬ瞬間が最も金持ちになる。
・定義付けがはっきりしない「イザ」という時の為に、使い道が未定な金融資産
 (生保、年金、預貯金)を貯め続けている。
・残存寿命で考えねばならず、60歳まで生きた人は残り25年生きるので、もう1軒
 家が必要になる。
・30〜40代が一番カネが必要で、米国人は48歳が資産のピークとなっている。
・85歳で死ぬと60歳の子供に相続されて、1550兆円の個人資産は結局出てこない。
 生前贈与は後から調整されていしまう。
・日本人の預貯金240兆円は金利0.35%。