随分と長いタイトルの本であるが、本の中で著者が伝えたい内容と同じタイトル名という事で分かりやすい。この本は「お金をのこか社長」を目指す人のための本で、「小さな会社の社長がお金を残す為に絶対に必要なこと」が書かれている。早く、節税を心配しなければなないようになりたいものだ。(笑)



小さな会社の社長のお金を残すために絶対必要な本

小さな会社の社長のお金を残すために絶対必要な本


○お金を残す社長の条件
1.必要条件:攻めのスキル(稼ぐ技術)
2.十分条件:守りのスキル(残す技術)
→稼ぐ技術は社長である以上、例外なく備えていなければならない条件だが、
お金を残す為には、守りのスキル(残す技術)を満たしておかねばならない。


○中小企業の経営の常識
・小さな会社の社長がお金を残す為の条件には、一般的な経営の本に書かれて
いる事や大企業の論理は全く通用しない。
・オーナー社長の場合、「会社」と社長個人」は表裏一体。
・「所有」と経営」も実質同じ。


○日本の税制の仕組み→稼いだお金が会社に残らない理由
・個人所得は、1800万円を超えると最高税利率37%かかり、住民税を含めると
50%の税率となる。

1.所得課税:稼いだお金に対する税金
 「所得税」個人の所得に課さられる税金
 「法人税」会社の所得に課せられる税金
2.消費課税:必要経費に対する税金
3.資産課税:残したお金で取得した財産に対する税金
 「固定資産税」「都市計画税
4.相続税:寿命を終え死んだ人の財産をもらった遺族に対する税金
  現在、統計上、亡くなった人のうち約5%のみに課せられている。
→将来的にはこの割合を10%まで拡大するという税制改正の検討項目がある。
→「稼ぐ、使う、残す」というお金の流れで考える必要がある。


○公私並行の経営目標
・創業間もない社長は、会社の経営目標を自分の取りたい収入から逆算して
決めることが大切。
・個人財産の規模が経営目標の全てのスタートとなる。
・家族も含めたプライベートのライフプランでの家計支出を、中長期で把握し、
 会社の成長時に公私混同しなくて良くすべき。
<社長個人のキャッシュフロー表>

- - 2005年 2006年
収入 役員報酬 1000 1000
支出 生活費+住宅費+教育費 500 500
収支差額 - 500 500
貯蓄残高 - 300 600
イベント 住宅取得+進学+旅行 100 200
ビジネス再投資 資金源 100 150


○小さくビッグに稼ぐ
・売上が増えると売掛金・在庫が増え、「お金が寝ている状態」になる。
・経営とは粗利獲得業であり、生産性の高さが重要となる。
・社員1人当り月額150〜200万円の粗利益がないと健全な経営ではない。


○分社化のススメ
・撤退リスクを小さくでき、節税効果を得ることができる。
1.規模が小さければ、税金の構造上メリット(軽減税率)が受けられる。
 ・法人所得が800万円を超えると一率30%の税率。
 ・法人所得が800万円以下であれば、22%の軽減税率となる。
2.交際費の経費算入枠が複数使える。
 ・年400万円まては90%が経費で認められる。
3.分社が資本金1000万円未満の会社てせあれば、設立後2年間は消費税も
かからない。


○節税のセオリーは「所得分散」
・社長個人に所得を集中させずに、いかに他の人に所得を分散させるかが
ポイント。
・非常勤役員だと年間80万円程度の役員報酬であれば、税務的に給与で
認められる。(月額7万円)
→月額7万円であれば、源泉所得税もかからないので、妻名義で積立預金を
しているのと同じ効果が得られる。
・自宅不動産は夫婦共有名義にする。
→妻の収入割合に応じて共有持分とすることができる。
→自宅不動産を共有名義にしておけば、将来売却時に「住居用不動産の特例」
として1人3000万円まで譲渡益なら税金がかからない。夫婦で6000万円。
→「配偶者への居住用不動産の特別贈与」という、20年以上連れ添った妻へ
自宅不動産を2000万円まで贈与しても税金がかからない制度がある。
贈与税には無条件で年間110万円の非課税枠があるので、合計2110万円まで
贈与税が無税となる。不動産取得のための金銭も贈与できる。


○会社を強くする前に社長個人を強くする
・創業10年以内の会社、資本金1億円以下で自己資本比率50%以下の会社には
税制は優しい。
・経費を大きく→税金を払う前の経費で会社と個人にお金をプールする
 (役員報酬、役員退職金、経営者保険)
・利益ほ小さく→大きな黒字を出さない


○役員退職金はダブルで節税効果
・会社側の節税効果:支給時に損金計上ができる
・社長個人側の節税効果:所得税の優遇制度(大きな非課税枠、課税所得1/2)
→3つの課題
  1.税務調査でシビアに見られ税法上の要件が多くある
  2.役員退職金の財源→多額の現金を捻出するのは大変。積立をしても
   損金計上できない。
  3.分割支給→3年以内に支払う必要がある。
→経営者保険(法人で加入する民間生命保険)を活用する。
 ・払込保険料は、一定の損金計上可能となり、合法的に簿外資産をつくるのと
  同じ効果がある。
 ・社長のリタイアメントプランの検討と、解約返戻金が会社の収益として
  税金の対象となる事に注意。
  →役員退職金の支払いのために解約するのであれば、損金計上と同時に
   処理できる為、プラスマイナスゼロにできる。


<トータル税金が最小となる役員報酬の目安>

役員報酬を引く前の会社利益 税金が最小になる役員報酬 実行税率(会社+個人)
1,000万円 1,000万円 10.80%
2,000万円 1,450万円 20.81&
3,000万円 2,250万円 26.97%
4,000万円 2,400万円 31.85%
5,000万円 2,750万円 34.63%
6,000万円 3,750万円 36.78%
7,000万円 4,750万円 38.31%
8,000万円 5,750万円 39.46%
9,000万円 6,750万円 40.35%
1億円 7,750万円 41.07%

役員報酬の資産は所得控除300万円としている。


○小規模企業共済の貸付制度
・国が作った「経営者の退職金制度」と言われている。
・加入要件は会社ではなく役員個人。
・掛金(月額千円〜7万円)は、社長個人所得税の計算で全額所得控除が可能。
・解約した場合「退職所得」として税制上も遊離な形で共済金が手に入る。