門倉貴史氏の著書である。現在の日本の若者が働く現場で直面する様々な問題を、多数の統計データに基づいて解説されている。下記の貧困問題と現在の貧困問題の間には決定的な差があることが理解できた。
正社員・非正社員にかかわらず、日本国内で働いている全ての人が、いつでもワーキングプアの状態になるリスクを抱えているという事が良く理解できた。
- 作者: 門倉貴史
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2008/03/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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<読書メモ>
○現在の貧困問題の特徴
・貧困問題が隠蔽されていて、貧困の実態が判りづらくなっている。
・何らかのキッカケで一度、生活が困窮化すると、その状態から抜け出すことが非常に困難になる。
・金紺の問題が世界規模で深刻化して来ている。
○年収が200万円未満の人の割合(総務省「就業構造基本調査」2002年)
パトタイマー | 96.2% |
{アルバイト|87.3%|
派遣社員 | 46.2% |
契約社員・嘱託 | 42.4% |
正社員 | 10.1% |
○新古典派経済学を前提とした新自由主義(市場原理主義)
・政府や国家の介入をできるだけ小さくすれば、利益の極大化を追求する個人や企業が市場で自由に行動することにより、一国全体の効率性・合理性が実現するという考え方。
・新自由主義の思想は、自由な競争、弱肉強食を奨励するので、勝者と敗者が当然出てくる。
・新自由主義は、「敗者の救済」とは矛盾する思想となる。敗者の救済には勝者から徴収する税金が使われるから、自由な競争を阻害することとなる。
○トリクルダウン効果
・経済成長の課程において、人々の間に所得格差や資産格差が開いても、いずれは格差は叙所に縮小するという主張。
・富裕層やニューリッチ層等の豊な人々が消費をすると、そのおこぼれによって貧しい人達も潤う効果のこと。
・新自由主義信奉論者は、特に重要視している。
・ジョセフ・スティグリッツは否定している。
○クズネッツの逆U字仮説
・国が経済発展をする初期段階では、経済成長の仮定で国内の所得格差が拡大していくが、さらに経済発展が進むと、経済成長に伴って逆に国内の所得格差が縮小してくるという経験的な法則。
・ロシア出身の芸国経済学者のシモン・スミス・クズネッツが提唱。
・しかし、近年では成立しなくなっている。