「小泉・竹中改革が、格差を生んだ」と世間で言われている。果たして本当だろうか?と感じていて、竹中平蔵氏と田原総一朗氏の対談をまとめた本をみつけたので読むことにした。やはり、格差のキーワードは「経済のグローバル化」であるような気がする。改革路線から、大きく揺れ戻しているが、中途半端が最も良くないと感じる。



<読書メモ>

サブプライムローンの影響
FRB議長のベン・バーナンキが最初に17兆円という数字を出し、その後OECDは33兆円という数字を出した。今、最大で300兆円という数字が出ている。
アメリカの不動産価格は03年から06年前半まで、毎年10%以上も上がった。
シティグループは08年3月までに438億ドル(4兆数千億円)の巨額損失を出した。
・シティは07年秋には最大200億ドルと言っていたが、07年7〜9月期で65億ドル、10〜12月期で235億ドル、08年1〜3月期で150億ドルと、決算のたびに損失がどんどん膨れ上がった。08年4〜6月のサブプライム関連の評価損、貸倒引当金を加えると、この1年間の累積損失額は582億ドル(約6兆2千億円)に達した。
AIGも08年1〜3月期で152億ドル(約1兆2600億円)の損失を出した。
・日本のメガバンク全体の1年間の利益が3兆円なので、シティグループだけで08年3月期4兆円以上という損失がどれだけ大きいか分かる。
シティバンクは14兆円の自己資本があり、損失が明らかにになってすぐに4長円近い増資を行っている。
・その後、シティは総資産230兆円の約2割の41兆円の資産を2〜3年かけて売却処分すると発表。ちなみに、りそなホールディングスの総資産は40兆円。

サブプライムローンの損失額(2007年12月3日時点)

シティグループ 1兆5070億円
メリルリンチ 9240億円
バンク・オプ・アメリ 7260億円
モルガン・スタンレー 5060億円
UBS 4200億円
HSBC 3740億円
ドイツ銀行 3500億円
バークレイズ 3000億円
ワコビア 2750億円
AIG 2700億円
クレディ・スイス 2200億円
JPモルガン・チェース 1760億円
ゴールドマン・サックス 1650億円
リーマン・ブラザーズ 770億円
ベア・スターンズ 770億円


○「世界の製造業トップ100」(S&Pとシティグループが集計)
・世界のものづくり企業を企業価値の大きい准に並べたリスト。
・日本は8社、アメリカは44社、イギリスは12社ランクインしている。
・金融が強い国は、ものづくりも強い。


○通貨の3つの役割
・価値を計る手段、交換の手段、富を蓄える手段。
・何の通貨建てで資産を持つかは、通貨の強さや信頼性、その国の成長性によって決まる。


小泉改革の公共事業削減
・公共事業を7〜7兆円削減したが、これは消費税3.7%分。