大前研一氏のサラリーマン・シリーズを読んでみた。この本は、「30〜40代で現状に満足していないサラリーマン、危機感を抱いているサラリーマン、もっと上を目指したいと思っているサラリーマン」に向けて、自分を再起動して反転攻勢に出てもらうことを目的に書かれたそうである。

見えない大陸で、サバイバルしていく為に、これまでの20年間の知識や経験をリセットして、「再起動」が必要と実感させられた。


サラリーマン「再起動」マニュアル

サラリーマン「再起動」マニュアル



<読書メモ>


○意欲ある中堅世代は「せいぜい15万人」
・日本社会で中核的な役割を担う30〜40代は男女合わせて3500万人。
・そのうち大前氏主催の講座に関心を持っている「戦闘意欲を持っている人」は15間人程度。


○見えない大陸=新しい経済の出現
・世界でURLをもつ人か10億人、携帯人口は20億人に達した。
・新大陸で勝ち残る企業は、柔軟かつ素早く対応できるプロェクト・ベースの組織が主流となる。
・自己改造=再起動の方法は、「お金の使い方」「時間の使い方」「住む場所」を変えるしかない。


○マツキンゼーの採用手法
・毎年、一流MBA800名が応募し200名を採用。
・採用の3つのポイント
  1.クラスの中で特筆すべき役割(リーダーシップ)を発揮した証拠があるか。
  2.ディスカッションをまとめていく力。意見を集約して合意させられるか。
  3.採用担当者の質問にどういう受け答えをするか。知識をきけらかす秀才はダメ。
・5人の面接担当者のうち4人が×でも、1人が「絶対採用すべき」と判断すれば採用。
・5人全員が、○(普通)でも採用しない。
・ちなみに、6千名社員の内16名しかいない常務会メンバーとなった大前氏は8人面接で、7人から×と判定不明と判断されたらしい。


○できる人の共通点は「リスクターカー」
  1.人生はリスクをとるものと達観している。
  2.人が見ていようがいまいが、給料が上がろうが上がるまいが、自分のやりたいことをやる。
  3.常にハングリーで強い欲望や願望がある。


○「CEOの時間の使い方」アンケート調査(一橋大国際企業戦略研究科の調査、2004年)
  SEOが1ヶ月間に社内で最も時間を多く使ったのは「非定例会議、打合せ」の31.9時間。
  2番目が「1人で考える時間」の25.3時間。
  3番目が「取締役会以外の定例会議」の20.6時間。


○サラリーマンのお金の状況
介護保険料値上げ、厚生年金保険料率は2017年まで上昇し続け、配偶者特別控除(上乗せ部分)廃止、住宅ローン控除の縮小開始、老年者控除の廃止、公的年金等控除の65歳以上の上乗せ廃止、国民年金保険料アップ、定率減税の廃止と、負担増ラッシュ。
・日本は既に、所得税法人税相続税に関して文明国では明らかに世界一の税率となっている。
・1997年をピークに、給与所得者の給与総額は下がり続け、年収600万円以下の「ロウアー・ミドルクラス」が全体の8割を占める。
・家計の可処分所得も同様に、1997年の月額49.7万円から大幅に減り続けて、消費支出は年々先細り。


○借金まみれの日本
・国と地方を合わせた日本の借金は、2008年度待つには776兆円に達する。
・国民一人当たり約640万円の借金を背負っている。
・税収は2007年度で53兆円しかないから、借金は15倍ということになる。
・「日本の借金時計


○レールから外れろ
・世の中というものはレールから外れないと平均給与しか稼げない。
・昔と今では「せいこうのカギ」が一変している。かつての成長期の日本では「経験」が重要な「規模の経済」を追求していった。
・成熟・低成長期の今は、「発想力」「創造力」「構想力」によって、昔と違う「レールから外れたこと」をやるのが起業戦略の要諦になっている。その場合、経験は生きないどころか邪魔になる。
・奮い人間には大きな仕事はできない、大きな仕事ができるのはレールから外れることを怖れない若い人間である。


iPodWiiを独占製造する台湾企業「鴻海工業(ホンハイプレシジョン」
・1974年に台湾でOEMメーカーとして創業後、世界最大のEMSメーカーとなった。
・2006年連結売上高は10年前の95倍の約4兆8000億円。
・中国子会社は、中国の輸出企業ランキング第1位。
・最大の生産拠点である広東省・シンセンでは30万人もの従業員を雇用し、中国全体で60万人を雇用している。



○健康な高齢者を対象にしたビジネス
 →政府の思惑と関係なく事業展開ができる。
・高齢主の再就職斡旋
・高齢者の孤独を癒すビジネス
・「死にまつわる産業」(4兆円産業となる)
→リバース・モゲージ、墓参り代行、自分史作り、生前葬、死後の法事代行


○ペット産業
・ペット関連総市場規模は1兆円を突破。アメリカが4兆3000億円。
・日本は犬の64%、猫の75%が室内飼育されている。