タイトルに惹かれて読んでみた。著者の丸山学氏は、年間100件以上の会社設立を行政書士という立場で、創業期の資金調達コンサルティングもされているそうだ。政府系金融機関から創業期の融資を受ける際の細かな手続き、書類の書き方が、丁寧に説明されている。これから会社を設立される方には、一読をお勧めしたい本である。


<読書メモ>

○丸山学の「国民生活金融公庫活用術


新創業融資制度
・2008年10月に国民金融公庫が日本政策金融公庫になった後も、制度は継続されている。
・創業期、もしくは創業後2期を経過していない人だけがこの精度を利用できる。
・自分の持っているお金の2倍まで借りられる。
・著者が支援している多くのクライアントでは、最近は500万円から800万円は無担保・無保証人融資を獲得している。
・1期、2期を経過してしまうと、実際に利益が出ている事が少なく、決算書を見せた段階で融資ず受けれなくなってしまう。
・創業期の融資は、「実績がない」からこそ融資を受けやすい。
・創業時に融資を受けておき、それを遅滞無く返済しておくと、金融機関に対しての「実績」作りにも役立つ。
政府系金融機関が貸し出す際の基準金利は、大企業に貸し出す際の金利と同じレベルの金利


○新創業融資制度を借りるためのポイント
・自己資金
 →ある程度の自己資金を持っているということは、本気であることの証明。
 →資本金の中でも、現金による出資分だけを自己資金とみなす金融機関が多い。
・業種経験
 →その業種に通じているのと、全く未経験なのではお金を貸す側の安心感が違ってくる。
 →業種経験が6年足りなくても、凝集経験が全くないからといって要件を満たさない訳ではない。
・事業計画
 →きちんとした事業計画書を作れる人かどうか。
 →自己資金の丁度2倍の額というよりは、本当に必要な融資額に、予備的に100〜200万円程度上乗せした額ぐらいで申請した方が資金使途に説得力がでる。


○返済の裏づけ「返済原資」の確認
・理論上、返済できるのか
 →DSCR(Debt Service Coverage Ratio)=(税引後利益+減価償却費+金利)/(返済元本+金利)
  事業が金融機関に返済しなければならない金利の何倍稼ぐ事ができるかを示す計算式。
  この計算結果が「1未満」であれば、事業計画通りに経営しても返済できない。
  通常は「1.2以上」を示すのが理想的。
 

・そま返済理論は実現するのか
 →取引先からの発注書・契約書を添付して売上が確実に上がる事を証明する。


○経営者の資質と人間性
・資質審査は、殆どが30分〜1時間程度の面談のみ。
・銀行とは異なり、事業所や店舗が本当に存在しているかの「実態調査」がメイン。


○不動産担保の価値の算出方法
・路線価×60%=担保価値(融資可能額)
財産評価基準書 路線価図・評価倍率表


○第三者保証人付き、担保無の融資額
・保証人の信用力(勤務先、勤続年数、年収)にもよるが、1000万円程度まで。
・事業全体で必要となる資金の25〜30%程度の自己資金が求められる。
 自己資金÷2.5×7.5=融資可能額


自治体の融資制度
・貸出を行うのは民間の金融機関で、自治体は「斡旋」「利子補給」をしてくれる。
・必ず信用保証協会が、融資を受ける人の保証人になってくれる。
・信用保証協会は、銀行の返済が出来なくなった際に、とりあえず代わりに銀行に返済してくけれるが、自分の債務が無くなった訳ではなく、信用保証協会に返済しなければならない。