今年最後に読んだのは、元ライブドアのCTOでアルファブロガーの小飼弾さんの本。読書家だけあって、知識は相当ある頭の良い人だと思った。この本の中で紹介されている本も是非んで見たいと思う。

不動産投資の学校」の講師・束田光陽先生が授業の質問会の中で、紹介してくれた本である。


小飼弾ブログ 404 Blog Not Found

弾言 成功する人生とバランスシートの使い方

弾言 成功する人生とバランスシートの使い方



<ブックガイド>

「残業ゼロ」の人生力

「残業ゼロ」の人生力

「天使のブラ」で有名なトリンプ社長が、リタイアして「本生」に入った今改めて語る「反残業論」。成功の天使は、残業がだいっきらい。残業のおかげで日本は年間12兆円も損をしているという指摘は衝撃的だ。


格差と希望―誰が損をしているか?

格差と希望―誰が損をしているか?

経済学者の大竹文雄による、日本の格差問題に関する決定的な診断書。著者は、所得格差拡大という「症状」を引き起こした「病名」とはずばり「少子高齢化」と診断し、これに対する処方箋は若者の教育、訓練しかありえないと説く。しかし、高齢者ほど教育費より福祉の充実を求めるようになり、解決は一筋縄ではいかない。いずれにせよ、格差問題の本質を理解するために、押さえておくべき1冊だ。


数に強くなる (岩波新書)

数に強くなる (岩波新書)

数学ではなく、「数(かず)」を自在に扱えるようになるための本。測れないモノの大きさや重さなどを推測する、体感基準を元にどんぶり勘定を行う、統計データを生活実感に置き換えるなど、即効性のある技が紹介されている。しかし、本書は単なる暗算テクニック集ではないし、数学の入門書だもない。人生のあらゆる局面でも役立つ、生きていく知恵を身につけるための実践書である。


世界一との呼び声も少なくない金型プレス職人、岡野雅行が43の質問に答えた1冊。「やりたい事が見つからない」「周りから認めてもらえない」、そんな今どきの若者を相手に、岡野節がうなる。質問形式になっているので臨場感は抜群、岡野社長が傍で話している気がしてくるほどだ。本書には従業員と奥さんの写真も登場するが、みな実にいい顔をしている。本当にいい人間は、本人だけではなく周りもいい男女にしてしまうのだ。


ラクをしないと成果は出ない

ラクをしないと成果は出ない

作家・ジャーナリストの日垣隆による自己啓発書の決定版。「天才ではない」著者が、いかにして平凡を極めて非凡に至ったか、その神髄を垣間見せてくれる。「好きな仕事を増やすために、好きではない仕事を毎日2割ずつ削除する」「出欠を迷うイベントには行かない」といった99のテクニックの後、最後にくるのが「大切な人は命がけで守る」。命がけで守るほどの大切な人がいない人は、啓発に値するほどの自己がまだないということでもある。


国語 算数 理科 しごと―子どもと話そう「働くことの意味と価値」

国語 算数 理科 しごと―子どもと話そう「働くことの意味と価値」

お父さんが娘に「仕事」とは何かを教えるという設定で書かれた本。お父さんは、仕事とは約束を守ることであり、それを実現するために考えられた仕組みが会計なのだと語る。本書はわずか150ページ、イラストも豊富に掲載されていて、一見子ども向けの学習書の体を取っているが、内容の密度はすさまじい。バランスシートの意義や、損益計算書との関係性がこれ以上にないほど明確に描かれている。会計を理解するためにまず読みたい1冊。


会計のルールはこの3つしかない (新書y)

会計のルールはこの3つしかない (新書y)

コロンブス、イザベラ女王、越後屋といった面々によるコメディを通じて、会計の基礎を学べる本。コロンブスのビジネスが拡大していく上で直面する課題を解決していくうちに、カネを管理するためになぜ現金出納帳だけではダメなのか、減価償却の意味といった会計の原理が自然と身に着く厚生になっている。『国語 算数 理科 しごと』で会計の基本概念を理解してから本書に取り組めば、簿記の参考書もすんなり頭に入ってくるはずだ。


統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか? (光文社新書)

統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか? (光文社新書)

各種機関が発表する統計データは、社会の動きを把握するための重要なツールだ。しかし、しかし、統計データには、巧妙なごまかしや独特のクセが含まれているのも事実。本書では、「有効求人倍率」や「冬ソナの経済効果」などを題材に、数々の統計手法が持つ意味、留意点を詳細に解説している。通説として信じられている事象も、統計を理解して解釈し直すことによって、まったく別の側面が見えてくる。


日本経済図説 (岩波新書)

日本経済図説 (岩波新書)

日本の経済状況を理解するために欠かせないリファレンス本。国土の利用状況から、産業構造の変化、国際収支、国民生活まで、多岐にわたるテーマについてコンパクトに解説がつけられている。中でも秀逸なのが国富について解説したくだり。日米の国民総資産がどのような構成になっているのかを明らかにしており、これを元にすればバランスシートの考え方で国の経済を据えられる。


勝間式「利益の方程式」 ─商売は粉もの屋に学べ!─

勝間式「利益の方程式」 ─商売は粉もの屋に学べ!─

勝間本の中で、最も面白くて役に立つ1冊。「無理な働き方や必要もない仕事をなくすにはどうしたらよいか」---その問いに対する著者の答えが、「利益を上げる」ことであった。本書で紹介されている「利益の方程式」は「利益=(顧客当たり単価-顧客当たり獲得コスト-顧客当たり原価)×顧客数」とシンプル。しかし、この方程式は、小は個人のアファリエイターから大はトヨタクラスの企業まで、利益を必要とする者すべてに対応できるはずだ。


「複雑ネットワーク」とは何か―複雑な関係を読み解く新しいアプローチ (ブルーバックス)

「複雑ネットワーク」とは何か―複雑な関係を読み解く新しいアプローチ (ブルーバックス)

近年、複雑ネットワークの視点から物事の関係性を見ることで、面白い知見を得られることがわかってきた。代表的な例が、「6人を介することで世界中の誰とでもつながれる」というスモールワールド性だろう。本書は、インターネットの構造や感染症が広まる経路などを題材に、ネットワークがなぜそのような構造になっているのかを明らかにしていく。mixiにおける実勢調査も取り上げられており、人間関係を考える上でのヒントも得られそうだ。


頭のいい段取りの技術

頭のいい段取りの技術

仕事を早くこなすための仕事術の本は数多いが、本書がすばらしいのは何のために段取りをつけるのかを正しく説明していることにある。段取りの正体とは「サービス精神」である、そう著者は説く。他人に対するサービス精神があって、自分の仕事を効率よく仕上げることができる。まさに、段取りとは「情けは人のためならず」の「情け」なのだ。


ちょいデキ! (文春新書)

ちょいデキ! (文春新書)

本書は、サイボウズ株式会社社長、青野慶久の半生記と仕事術を本人が著したもの。一部上場企業社長が記した本ながら、紹介されているのは誰もが無理をせずに取り組める仕事術で、思わずほっと癒される。例えば「うまく話すことを諦める」ことで逆に相手から質問を引き出せるといった具合。「煽り(あおり)」系の仕事術の本で挫折してしまったら、ぜひ本書を手にとってほしい。


ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)

ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)

サイズに着目することで、さまざまな生物が現在の姿、生態をしている理由を明らかにした古典的名著。生物の進化には、物理法則や化学法則の制約が大きな役割を果たしてきたことが語られる。本書が述べているのは生物デザインについてだが、適性サイズの考え方は、人間の組織や社会の有り様についても多くの示唆を与えてくれるだろう。社会の適正なサイズは果たしてどれくらいか?


「お金」崩壊 (集英社新書 437A)

「お金」崩壊 (集英社新書 437A)

「確かに経済学者たちの言う事はつじつまが合っているのに、なぜそこに違和感が残るのか」を明快に説明してくれる1冊。本書の凄みは、自然資源を含めた経済循環の仕組みを簡潔に示したことにある。社会経済は自然から有用性(モノ)を取り出し、カネに変換して循環させているのだが、マネー経済はもはやモノの裏づけを持たない。共同幻想であるマネーによって限られたモノを手に入れようとする行為が世界の歪みを生んでいる。


文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (下)

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (下)

現代の米国モンタナ州や、古代のイースター島グリーンランドノルウェー人入植地などの分析を通じ、滅亡した社会に共通する法則を明らかにしていく。滅亡した社会では環境に過大な負荷をかけてきたが、それに対して江戸時代の日本は理想的な循環社会を築くことで環境危機を乗り越えたと著者は分析する。モノとカネの関係性を深く理解できる労作だ。


地球と一緒に頭も冷やせ!

地球と一緒に頭も冷やせ!

本書は地球温暖化対策反対論ではない。著者の主張は、現在の温暖化対策はハイコスト・ローリターンだということ。CO2削減にコストをかけるより、今すべきは発展途上国の貧困対策であり、洪水やHIVマラリアへの対策。そうした方がはるかに少ないコストでより多くの人々を救えるというのだ。そして長期的なCO2削減のために、すべての国がGDPの0.05%を炭素排出のないエネルギー技術開発に回す、という提案は実に説得力がある。


ワーキングプアは自己責任か

ワーキングプアは自己責任か

ワーキングプアの緻密な状況分析と、それに対する効果的な提言で構成される。著者の問題意識は、「労働までもがひとつの「商品」として扱われてしまうような徹底した市場主義に修正を加える必要がある」というもの。これに対する著者の回答の1つが、この「弾言」第4章でも取り上げた「ベーシック・インカム」だ。ベーシック・インカムやこれらをさらに押し進めた「ベーシック・キャピタル」の入門書としてもお勧めできる。