著者が中央大学の弁論部「辞達学会」の時代に、弁論部仲間として交流があった。今は勝間和代さんと株式会社「監査と分析」を設立してビジネスパートナーになっているらしい。デチラメな日本破綻論が叫ばれる中、著者は根拠を明確にして、「日本は絶対に国家破産をしない」と主張している。


日本は破産しない!?騙されるな!「国債暴落で国家破産!」はトンデモ話だ!

日本は破産しない!?騙されるな!「国債暴落で国家破産!」はトンデモ話だ!


○アルゼンチンはなぜ破綻したのか?
・アルゼンチンは1991年から1ドル=1ペソの固定相場制に移行した。
・固定相場制を維持すると約束したら、ペソが銀行にいつ持ち込まれてもドルに交換できる保証が必要となるので、ペソ紙幣を無限に発行できなくなる。
・1989年にアルゼンチンは、中央銀行がお金を刷りすぎて、年率500%の強烈なインフレを経験したので、自国通貨の発行に自ら足枷をはめた。
・結果的に1993年にインフレ率は、年率7.4%程度となり、ベソ暴落の心配が無くなり、海外からの投資も増え、90年代は年率10%近い経済成長となった。
・しかし、米国でITバブルが発生し、FRB金利を引上げ、ドル高となったので、固定相場によりペソ高となってしまった。
・ブラジルもドルに対して固定相場制ょ設定していたが、輸出産業がレアル高で死にそうになり、1999年に固定レートを切り下げるレアル安政策をとった。
・アルゼンチンは固定相場制を維持しようと頑張ったが、ペソ高による輸出産業の業績悪化で株式市場が暴落し、政府は固定相場を維持しつつ、債務の償還に最後まで応じようと金庫が空になるまで頑張ったが、2001年11月14日に、国債の償還ができなくなり、債務不履行(デフォルト)宣言をした。
・その後2001年第4四半期は実質GDPが前年比マイナス20%となり、翌2002年に固定相場制を廃止、インフレ率は40%に達した。
・しかし、固定相場制廃止により、為替レートが50%近くペソ安となり、輸出主導で経済が急回復し、2003年には実質GDPの伸び率が年率8.9%となり、インフレ率も3/8%に落ち着いた。
・一度、国家破産した国は、その後急速に経済成長する。



○変動相場制の日本
・日本は1973年に固定相場制を廃止して、その後40年近く変動相場制を維持している。
・日本の国債残高の全体の5%を占める45兆円の資金を投資している外国人に対して、通貨の価値を保障する必要はない。
・自国通貨建て債務においてデフォルトが起こることは極めて珍しく、まして変動相場制の国においてはデフォルトすることの方が難しい。
・国家破産論者の最大の問題は、日本が変動相場制の国であることを忘れていること。



○日本を破産させようとしても、日本経済は復活してしまう

・ケース1:外国人が日本国際を投売りしだら・・・
→外国人が保有する国債45兆円を売ると45兆円の現金を手に入れる事になり、外国為替市場で円が売られ円安となる。
→これまでの史上空前の円売りは2004年に実施された「テイラー=溝口介入」の30兆円であり、それを上回る1.5倍の規模となり30%位の円安となる。
→輸出産業は何もしなくても30%利益が増え、農業などの国内産業も海外からの輸入品の値段が上がり、国内市場での競争力を増す。

ケース2:国内投資家が日本国際を投売りしたら・・・
国債を買っているのは銀行や郵貯などの国内から円資金を集めて運用して、円で返済しなければならない人。
→今の日本のデフレでは、企業や不動産に投資しても収益は期待できず、国債以上に金利を稼げる有望な投資先が無い為、国債保有している事が一番有利。

ケース3:国内投資家が日本国債を売って、海外資産に振り向けたら・・・
→ケース1と同様に、円安によって日本経済は大復活する。


○国家破産をアオルと儲かる「利害関係人」の真相
・税金を使う権限を持っている人が、「国の借金が大変で非常事態、だから消費税を増税せねば」という話をしている。
国債は政府の借金であって、国民の借金ではない。
・一部の利権を持った官僚が、天下り特殊法人をたくさん作って国民のお金を着服している。



○国の帳簿は「複式簿記」でみなければならない
・世界最大の900兆円の負債があるということは、世界最大の政府資産があるということ。
・平成20年度日本のバランスシートでは、資産・負債差額は317兆円。
・資産としては、有価証券99兆円、貸付金162兆円、出資金54兆円と合計315兆円あり、この巨額な金融資産こそが、特殊法人向けの投資となっている。つまり、特殊法人を全廃すると日本の債務総額は900兆円から、一気に600兆円に減る。
・これ以外にも、特殊法人官憲の資産はかなりあり、500兆円にもなると言われている。
・日本政府は現金・預金を、人口が3倍の米国の4兆円の5.8倍となる23兆円保有している。
流動比率は、流動資産300兆円÷流動負債99兆円で303%もあり、流動比率が200%以上であれば健全経営であり、民間企業では破産など全く心配するレベルではない。
・しかし、国の純負債が317兆円も累積しているのは事実。

増税しても税収は増えない
・税収とは、名目GDP×税率であり、消費税を据え置きにしても、名目GDPが増加すれば税収も増加する
・日本だけが、90年代後半からデフレに陥り、名目GDPは横ばいのまま。
・日本政府のやるべきことは、「無駄な政府資産の売却」と「デフレ脱却による税収アップ」。



○真っ先に手を付けるべきは特殊法人
・すべての特殊法人を完全民営化による整理統廃合により、500兆円の負債を減らすことができる。
・宝くじセンターは、常勤15人で500坪近いオフィスを、年間1億8千万円で借りており、宝くじで支出を受ける6法人の平均役員給与額は1941万円。
農畜産業振興機構は、輸入バーターに関税割当制度を適用する権限を与えられ、バターを輸入する際にはこの機構にバターを買入れてもらい、1キロ当たり806円上乗せして買い戻す必要がある。この団体はペーパーワークだけで、年間11億円の収入を得ている。理事長の年収は1903万円、一般職員の平均年収は930万円。
・日銀にも、金融機関向けに短期資金を融資している、世界に3社しかない短資会社という天下り先がある。
・免許書き換えの教則本出版とか、宝くじとか、特別な事業を独占して官僚OBたちに高額の報酬を支払うための仕組みが特殊法人
・一部の中央官庁の高級官僚が、自分たちの利権を守るために、国の資産を食いつぶしている。
特殊法人には大きな利権があり、大企業やマスコミにばら撒いて手なづけることで、応援団を形成している。



○日本全体のバランスシート
・日銀が発表している資金循環統計で、日本国全体の資産と負債の状況がわかる。
・2010年時点で、日本国全体の負債総額は5322兆円と国の9負債総額00兆円の約5倍。
・一方、バランスシートの反対側の資産として5590兆円あり、差し引き資産の方が負債より268兆円も上回っている。
・会計の大原則「誰かの負債は、誰かの資産」のルールの通り、国の負債は国民の資産である。
・日本は海外に対して266兆円もの純資産をもっており、世界ダントツ1位。(中国137兆円、ドイツ82兆円、スイス55兆円、香港55兆円)
・つまり、日本は政府の借金の95%は国内で消化されている上に、デフレ状態で通貨発行権は全く使っておらず、民間を含めた国全体でみると世界最強の金貸し国家になっている。


○デフレ発生のメカニズム
・「お金に対する超過需要は、モノに対する超過供給を意味する」(ワラワスの法則)
・デフレはモノの値段が「継続的に」下がるが、バーゲンセールは「一時的に」値下がりする。