稲盛和夫氏 講演メモ

早稲田大学とDREAM GATEの共催のプレミアムイベントで、京セラ・稲盛和夫・名誉会長が「リーダーになる人がどのような人物でないといけないか?」という視点で講演された。
稲盛さんの書籍は何冊か読んだことがあるが、ご本人の生の声を聞いたのは今回が初めてであり、起業家を目指す私にとって、熱い思いを感じた一生忘れられない日となった。<講演メモ>

テーマ「心を高める 経営を伸ばす」

・我々の周辺に起こることは、その人が思っている通りとなる。
・あなたの人生は、あなたの心の反映であり、人格・人柄が人生を作っている。


○京セラ創業の経緯
・1955(昭和30)年に鹿児島大学を卒業し、碍子(焼き物)製造会社に入社した。
 その会社は戦後10年間連続赤字だった。
・同期入社が5名いたが、秋には4名が辞め、自分1人となってしまった。
・研究所に勤務し、ファインセラミックの開発に成功したが、技術問題で上司と
 うまくいかず、自分の短気で辞めてしまった。
・稲盛の技術を信用してくれた周囲の人が、資本金300万円、銀行融資1千万円を
 用立て、会社を設立して頂いた。
・前会社の社員8名が着いて来てくれ、新卒を加え、28名でスタートした。


○京セラの理念
・会社を始めた当初、経営の経験がなく、判断に苦労した。
・自分には親や学校で教わった「人間としてやって良い事、悪い事」最低限の
 倫理観しかなかったので、それを会社の理念にするしかなかった。
・ある日、西郷南洲の「敬天愛人(けいてんあいじん)」(天を敬い人を愛す)という
 言葉を知り、京セラの座標軸とし、正道を踏んで経営をしていこうと考えた。
・人間として正しい道を貫くというシンプルな経営理念とした。
・それ以来、会社の利益にはマイナスとなることでも人間として正しい事をしてきた。
・京セラは現在、売上1兆3千億円、経常利益1500億円、全世界に6万名の社員がいる。


○京セラの目的
・トップに立つリーダーはリッパン哲学を持つ必要がある。
・京セラ設立2年目に高卒の社員から、将来の保証を迫られ、自分の家族の面倒も
 見れない自分が、社員の生活の面倒を見なければならなくなった。
・会社の目的を全社員の物心両面の幸せを追求することとし、今も全世界の
 社員から賛同を得ている。
・設立3年目に、人類社会の進歩発展に貢献することを決定した。
・米ニューヨーク証券市場にも上場しているが、京セラは一度も株主のためにあると
 言ったことはない。
・トップに立つ者は天道を踏み、私心を持っったり、利己的に物事を考えてはならない。


○会社の発展期に必要な事
・脆弱な会社に入社してくれる社員は、それなりに会社に合ったレベルでしかない。
・創業期の社員だけでは、起業は大きくなれないので、規模に応じて優秀な社員を採用
 していき、会社をシステマティックにする為には、一流の社員を増やすしかない。
・しかし、古い社員を大事にしない会社は決してうまくいかないが、不向きな人を
 重用してポストを与えてしまい発展できない会社も多く存在する。
・無名の人が上場を果すことは華々しく嬉しいことであるが、上場が目的となって
 しまっている会社がある。
・上場するという事は、新しい株主の為に更に会社を成長させねばならないという事。
・株式公開時に普通、新株の発行か、既存株を市場に出して上場する事となるが、
 上場を期に創業者に数億円の個人資産が入ってくることとなり、今までに持った事の
 無い金持ちになり、気が緩み欲が出てきてしまい、人生を間違ってしまう人が多い。


○起業家に必要な事
・人生を生きていく中で、自分の心の通りの人生となる。
・ピュアな純粋な思いは見事に実現する。
・純粋な心でベンチャービジネスの計画を描き、努力をすることが大事である。