京セラ創業者・稲盛和夫氏の有名な著書(敬天愛人は京セラの社是)を読んだ。経営者としての心構え、気概、大変感銘を受けた本であった。

京セラの初年度決算で400万円の利益が出たので、京都銀行から借りた1000万円を3年で返せると考えていたら、利益の半分を税金で徴収され、残りの利益から役員賞与を出すと知らされ、残りが100万円になり、途方にくれたという話は笑えた。


敬天愛人―私の経営を支えたもの (PHP文庫)

敬天愛人―私の経営を支えたもの (PHP文庫)


○「フィロソフィー」をベースにする
 ・経営というものは、経営者の人格の投影でしか有り得ない。


○「人の心」をベースにする経営
 ・幸か不幸か、人、物、金の経営資源を全く持たない、ゼロからの創業であった為
  従業員相互の心の絆を大切にして経営を行うしか方法はなかった。
 ・うつろいやすく不確かなものも人の心なら、一度互いが信じ合い通じ合えば、
  限りなく強固で信頼に足るもの、それも人の心。
 ・経営とは経営者が持てる全能力を傾けて、従業員が幸福になれるように最善を
  尽くすことであり、経営者の私心を離れた大義名分を企業は持たなくてはいけない。
 ・京セラの一番の強みは、心の通じ合える仲間の固い絆をよりどころとして創業し、
  その後も社員同士のパートナーシップを企業経営の基盤を据えてきたこと。


○原理原則を貫く経営
 ・経営における判断は、世間でいう筋の通ったもの、つまり「原理原則」に基づ
  いたものでなければならない。
 ・全ての物事を「原理原則けにまで立ち返って判断していこうと決心した。
  「人間として正しいことなのか、悪しきことなのか」ということを基準にして
  判断し「人間として正しいことを正しいままに貫いていこう」と考えた。
 

○お客様のニーズに応える経営
 ・価格、品質、納期などはいくら努力してもゼロにならないが、お客様に対する
  態度、サービスだけは限界がない。
 ・経営の死命を制するのは、値決めである。
 ・「儲ける」と言う字は信じる者と書く。
 ・尊敬にまで達する、お客様との絶対的な関係を築くことこそが、真の商いである。


○未来へ挑戦する創造的経営
 ・誰もやったことなのない、真に創造的なことをチャレンジするということほど、
  難度の高い仕事はない。
 ・真に創造的なことを始めようとする際、最も重要なことは、自分自身に対する
  信頼、つまり自信を元子とである。


○人生の方程式
 ・仕事や人生の成果を現す方程式
   人生・仕事の結果=「考え方」×「熱意」×「能力」
  「能力」は先天的なもので、0点から100点まである。
  「熱意」は自分の意志で決めることができ、0点から100点まである。
  「考え方」が最も重要で、マイナス100点からプラス100点まである。
 ・人間はともすれば、有名大学を出、学問をすればするほど「能力」に依存し、
  「熱意」や、更には「考え方」の重要性に対する認識が希薄となってしまう。


○世のため人のために尽くす
 ・1984稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。
 ・京セラ25周年、52歳の時に、私財200億円、1997年さらに210億円を寄付した。