丸善丸の内本店で、奥村宏氏と佐高信氏の共著出版記念トークショー&サイン会があり、行ってきた。
大学2年に、佐高氏の著書に出会って以来、多分著書の半分くらいの50冊程度は蔵書として本棚を飾っているが、ナマで本人にお会いするのは、今回が初めてで感激した。
著書に、私の名前も書いてもらって、奥村氏、佐高氏、お二人のサインを頂けた。ブック・オフに売れなくなってしまった。(笑)
サインを貰う為に、私の前に並んでいた女性は、わざわざ静岡からいらっしゃったそうだ。
- 作者: 奥村宏/佐高信
- 出版社/メーカー: 七つ森書館
- 発売日: 2007/06/20
- メディア: 単行本
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<対談のメモ>
○コムスン事件
・介護事業は、広い意味での医療事業であり、株式会社が本来やるべきでは無い
事業である。
・株式会社が、聖域まで入り込まないといけなくなっている。
・グッドウィルとは「善意」という意味だが、本人にモラルが無い事が問題ではなく、
モラルが無い人が入ってきても問題ないように、しっかりとしたルールを作る
事が必要。
○会社・法人の本質
・「個人」には肉体があり自然人だが、「法人」は取引の当事者とする為に、国家が
法人に、あたかも人格があるようにされた存在であり、その存在に矛盾がある。
・法人その物には、意志もモラル無く、刑事責任を問われない。
・日本の刑法では、会社は罰せられない。(民事、行政法では追求できる)
・JR西日本は刑事責任を問われず、「悪いのは死亡した運転手」となっているが、
そもそも会社の命令で、業務をしただけである。
・水俣病のチッソも、会社は罰せられていない。
・カネミ油症の事件も、工場長は罰せられたが、社長は「知らなかった」として、
罰せられなかった。
○「民営化」は言葉のゴマカシ
・政府は、民営化という名の会社化が良いと言っているが、そもそも英国のサッチャー
が実施した事は、英語では「Privatization」と言い「私有化」と訳すべきであった。
・株式会社の存在が問題であり、民営化が良い事とは思えない。
・ある北海道の自治体首長が、「赤字だから悪いといわれるが、警察や消防は赤字が
悪いと言うのか?」と確信を言っていた。
・ヒューザーの小嶋氏は、「自分は審査を通過した物を売った」と主張しており、
審査機関を民営化して、信号機を壊してしまった。
○経済学の行き詰まり
・日本の経済学は米国の経済学をつまみ食いして、焼き直しているだけ。
・株主総会も米国では、「客のいないショー」と言われ、本当は最高意思決定機関で
あるというフィクションとなっている。
・経済学者は現実の会社を知らず、その1割は「御用学者」で、残り9割は「無用学者」。
・株主総会が、実際にはどういう役割をしているかを解明した学者はいない。
○総会屋はお家騒動が生んだ
・カネボウの武藤山治(むとう さんじ)が、三井銀行から派遣されて、創業家を追い出し
お家騒動となった時、児玉誉士夫を利用した。その後、児玉に弱みを握られ、
付きまとわれることになる。
・その後、山治の息子の武藤絲治(いとじ)に対し、労働組合の委員長であった45歳の
伊藤淳二(後に日本航空の会長)がクーデターを起こし、絲治を解任。
・伊藤の事を山崎豊子は『沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)』で絶賛しており、人物を
分かっていない。瀬島龍三も『不毛地帯〈1〉 (山崎豊子全集)』で絶賛している。
○会社本位主義の崩壊
・90年代のバブル崩壊後に、内部告発が表面化した。
・ミートホープ事件についても、以前から何度も内部告発があり、役所の対応が
遅れただけ。
・1955年体制で出来上がった「政官財の支配構造」がバブル崩壊で、「政」が全ての
責任を「官」に押し付けてしまい、官僚システムが崩れてしまった。
・方向性が全く分からなくなり、マスコミも混乱している。
○株式会社は過去の実験の中から生まれた
・人類にとって、事業をやる上では企業体が必要であるが、株式会社は企業の中の
1つに過ぎない。株式会社に代わる企業体が必要である。
・60〜70年代に、消費者運動が盛んな時、反企業運動が激しくなり景気が後退した
が、本来ならば、「株式会社批判」をすべきであった。
・コーポレートガバナンスの必要性が言われ、単なる会計手段にしている傾向が
あるが、社内から内部告発が入ってくる仕組み作りが必要。
○日本のジャーナリズムは危機的状況
・マスコミの記者、特に経済記者の質が相当低くなっている。
・佐高氏は3年前から、奥村氏は昨年から、日経新聞を読んでいないが、全く
生活に問題がない。
・売上のために、トヨタに迎合するのだけではダメ。『トヨタの正体―マスコミ最大のパトロン トヨタの前に赤信号はないのか』は名古屋地区を中心に7万部売れた。
トヨタの正体―マスコミ最大のパトロン トヨタの前に赤信号はないのか
- 作者: 横田一,佐高信,『週刊金曜日』取材班
- 出版社/メーカー: 金曜日
- 発売日: 2006/06
- メディア: 単行本
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