早大公開講座『勝ち組ベンチャー企業の条件』の第11回目の講師は、ミクシィの社長・笠原健治氏であった。

本人はカリスマではなく、普通の優秀な東大生といった感じであった。


<講演メモ>


○創業の経緯 
 ・1997年4月、大学3年の時に経営戦略のゼミに入り、「アントレ」創刊号から読んで
  いた。
  ゼミでは米国IT系ベンチャー企業ケーススタディを読み、IT業界の経営に関心を
  持った。
  ネットビジネスで企業を検討し、求人サイトの開設を夏休みに決意した。
 ・求人サイト開設の理由は、アルバイト先の上司が困っており、大量の求人情報の
  検索、印刷コストの低減、リアルタイムで情報掲載、中止、変更が可能である点。
  当時、リクルートもWebで完結しておらず、紙媒体で収益を出していた。
 ・1997年8月中旬に決意し、9月にPCを購入。10月にサイトを構築、11月にオープン」
 

○「mixi」の開発
 ・2003年10月頃、現CTOが米国でSNSが流行っていると提案、直に使用してみて、
  可能性を直感した。
  しかし、当時の米国SNSでは、人間関係ができてしまうと、次にやることが無く、
  新たにコミュニケーションインフラを、独自に機能追加した。


○「mixi」成功の要因
 ・SNS自体の斬新さ
 ・コミュニケーション機能を最重視した
 ・CGM(コンシューマー・ジェネレイティッド・メディア)の隆盛、ブログの流行
 ・ネツトワーク外部性
  →利用者が増えれば増える程、価値が上がる。オークション、携帯電話など。
   ユーザーを確保するまでが大変だが、一人勝ちできる。


○今後の事業展開
 1.バンテージポイントの達成
  →ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)の梅田氏が提唱。
   見晴らしの良い場所。そこには最新の情報と優秀な人材が自然と集まる。
   ミクシイをバンテージポイントにしたい。
 2.世界中で使われるサービスを提供
  →多様な価値観でも通用するサービスを目指す
 3.世界中を変えるサービスを提供
  →新しい価値を生み出すのがベンチャーの使命
   ベル研究所のような存在を目指す


○自分が学生時代に、もっとやっておきたかったこ事
 ・英語、中国語
 ・プログラミング←社会人になって独学てマスターした
 ・経営全般の知識


○ティム・クーグル(Yahoo!前COO)の言葉
 「インターネットにある大きな機会は全て利用し尽くされたと誰もが考えた時、そもそも
  ルール自体を変えてしまうような企業が登場する。」


○人材の確保
 ・1998年にネットエイジに出入りしており、そこで学生インターンと出会えた
 ・自社運営求人サイトの「Find JOB」でSEを募集した
 ・自分でプログラミングを独学して、仕事の中身が分かるようになってから、採用が
  やりやすくなった。
 ・SEは毎週金曜は、ユーザーニーズに関係なく、自分の好きな研究開発をしても
  良い事にしている。


GREEとの競争
 ・GREEの方が、少しサービス開始が早かったが、コンセプトが異なり、日記機能や
  足あと機能が無かったので、追い抜けた。
 ・インターネット・サービスは、平等に瞬時に比較できてしまう。