ダイヤモンド社が全国の特約書店で無料配布している広報誌『経Kei』(2007年11月号)に、医療経営コンサルタントの大石佳能子・メディヴァ代表がコラムに投稿されていた。

「医療をもっと患者の視点を取り入れたサービス業にしたい」という見出しで、短い文書であるが、大いに共感する。<コラムのメモ>


○転機
・36歳で妊娠した際に、「患者の立場にたったサービスが医療界では行われていない」
 事に疑問を持った。
マッキンゼー消費財メーカーのマーケティング戦略の立案や小売りサービス業への
 経営助言をしてきたこともあり、医療界で行われている患者不在のやり方を見過ごす
 事ができなかった。
・病院関係者ら約50人にヒアリングの結果、医療界は特に新しいアイデアに保守的
 なので、誰かがやってみないと他が追随しないことに気づいた。
・企業向けのコンサルと違い、レポートを書いて提言したからといって、医師らはすぐに
 実行できない。つまり、実行者に問題があることが分かった。
・自分が成功例を作るしかないと思い、コンサルティング会社を辞め、退職金1200万円
 を投じ、会社の同僚や共感してくれた医師たちをあつめ、2000年に医療機関の運営・
 開業支援を手掛ける会社・メディヴァを設立。
・診療所・病院の経営には、このような構造的な問題がボトルネックになっている
 ことがある。
 間違った人員配置、システムや建物の投資をしている病院に対してコンサルティング
 行うことで、資金繰りが楽になった病院がたくさんある。患者視点に立っていなかった
 ことが、病院を間違った投資に走らせ経営を悪化させていた。多くの病院を見てきた
 ことで、この事実に気がついた。つまり、今の医療界の大きな問題は、事業が
 分かって、資金繰りが分かって、患者サービスを組み立てられる人がいない、
 ということ。
・もっと効率的な運営をすれば、患者にとっても医師にとっても望まれる病院経営を
 することができる。必要なところに必要なお金が流れていない、今のような運営が
 続く限り、国民の負担が増えていくことは間違いない。
・医療についてもう少し、国民一人ひとりが関心を持ち、自分で判断できるように
 なった方がいい。
 医療ほど生活に密着している問題はないし、今の制度がどうなっているのか、
 どういうふうにするとより良い医療を受けられるのか、その議論をもっと色んな場で
 するようになれば、医療も良くなっていくのではないか。