フレッシュネスバーガーの創業者、栗原幹雄氏の著書を読んだ。「ほっかほっか亭」「ごはな処 おはち」「魚がし日本一」「ワイズダイナー」を創業し、外食人生の集大成として、「フレッシュネスバーガー」を創業された人とは、知らなかった。この本には、外食産業で成功するためのノウハウと、起業のノウハウが凝縮されている。
面白いことをとことんやれば、「起業」は必ずうまくいく。 フレッシュネスバーガー社長の現場的発想法
- 作者: 栗原幹雄
- 出版社/メーカー: アスペクト
- 発売日: 2008/09/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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<読書メモ>
○経歴
・大学時代に設計を学び、卒業後は設計の技術者として、積水ハウスに入社。
○ほっかほっか亭の創業(27歳)
・義兄の田渕道行氏に「一緒に持ち帰りの弁当屋で100店のチェーンをやろう」と誘われる。
・特に具体的な戦略もなければ、100店になった時の売上規模、社員数、組織の形など、シミュレーションらしきこともなかった。
・創業から1年も経たないうちに100店を達成した頃も、事務所はなかった。
・加盟料30万円、ロイヤリティー月に3万円、店舗づくりに250万円を受け取って契約書を交わす毎日。
・4年間で1000店舗を達成した。「100店」という目標にこだわらなかったのがよかった。
・操業した1970年代後半の頃は、まだ日本にフランチャイズはあまり知られておらず、少ない資金でどうやって目標の100店舗を達成するかかを研究する中で、アメリカのフランチャイズにたどり着いた。
○フレシュネスバーガーの創業(41歳)
・1992年の冬に、渋谷区の高級住宅街「富ケ谷」の一角に木造平屋建ての小屋と出会い、ハンバーガー屋の明確なイメージが浮かんだ。
・理想的な物件は、素敵な女性との出会いとおなじで、偶然に支配される。
・バブル期に120万円で買ったゴルフ会員権が850万円になっていて、800万円を内装費、50万円を預金とした。元手の預金50万円が底をついたら店を閉めるというルールで始めた。
・半年後に2号店を出店。
・フレッシュネスのバンズは、栗かぼちゃを混ぜて少し甘みがついていて、少し黄色がかっている。
・バナナケーキは、バナナエッセンスを使わず、バナナの果肉を生地にした本格的な手作りケーキ。(奥さんが考案)
○フレッシユネスのミッシヨン
1.店舗、商品、STAFFは、常に「FRESH」であること
2.店長とは、お客様の食事のひとときを「演出」する仕事であること
3.STAFFは、プロデューサー&ナレッジワーカーであること
4.地域社会と共生し、自然環境にやさしいこと
5.店舗は、お客様に接することのできる最高のステージであること
6.ハート「心」&サイエンス「科学」の経営であること
7.尊敬と威厳を持ち、働きやすい環境をつくること
8.異国文化の受入ができること
9.店舗以外のSTAFFは、店舗とお客様のサポートセンターであること
10.ロマンの共有をしているすべての人たちのために、継続的利益が必要であること
○少数精鋭の組織
・2008年8月現在、フレッシュネスバーカーの店舗数は、日本国内、香港、韓国などアジア諸国を含めて210店舗。
・それらを統合、管理サポートする本部スタッフは、わずか30人程度。
・自前のロジスティックスは持たず、輸送はすべて大手商社にアウトソース。
・販促ツール、アイテムなどの基本デザイン以外は外注。
・デザイナー、コピーライター、マーケッターなどのクリエイターと呼ばれる職種は社内にいない。
・商品部も、プロデューサー1名、部下2名で食材の供給をまかなっている。
・店舗開発も3名のみ。
・経営とは人数を減らして、いかにいいパフォーマンスができるかを考える仕事。
○フレッシュネスのこだわり
1.物件は、必ず本部が探す
→店づくりで最も大事なのは、率地と店内のレイアウト
2.食材を本部が提供する
→スケールメリットで仕入れ科学を抑え、食品1つ1つを本部が管理する(商品の本質の保持)
3.過剰な加盟店募集はしない
→フレッシュネスのホリシーや文化に共感して頂けるオーナーに加盟して頂く
○商売を始めるにあって
・業界の慣習に従うほうが無難と思っている人が多いが、むしろ常識から少し外れたところや、その反対側に成功のヒントがある。常識は業界大手の都合のいいように作られているので、常識に従えば従うほど、既存大手が得するようになっていることが多い。常識に従っているだけでは、小さい店や会社は成長できないのが現実。
・ものごとを始める時は、ほとんどの場合、一人のアイデアや行動がその発端となるもの。
○胃袋一個理論
・飲食店というのは、人の胃袋のシェア争い。競合店とだけ競争しているのではなく、食を提供する全ての業態との戦い。
○サードプレイス理論
・人の1日の時間の過ごし方を3つに分類して店づくりを考える。
・ファーストプレイス(自宅で10時間過ごす)、セカンドプレイス(オフィスで10時間過ごす)、残り4時間を過ごす場所がサードプレイス。
・つまり、外食産業は、人の生活のうちから4時間を、いかに演出するかが問われている。
○業態を考える時の3つのパターン
1.物件を見た時のイメージから入る
2.どんな商品を扱いたいのか、商品から入る
3.既存の業態から発想して、リメイク案を考える
○お店を成功させるために必要な「四格のバランス」
・品格:食材にこだわった新鮮な手作りハンバーガー
・価格:他のチェーン店より高い値段
・店格:店全体のデザイン、しつらえ、ムード
・人格:マニュアルのワンランク上をいく店員の接客・対応
→4つのバランスとは、品格を100とした場合、価格90、店各120、人格150が最もお客に喜んでもらえる黄金律。
○仕事を楽しくするコツ
・怒っている問題にしっかりと向き合い、その問題をどうすれば楽しめるか考える。
・問題が起こったら、周囲の人を楽しませるような詩的な演出やストーリーを作るきっかけだと思ってみる。
・アイデアを出すてめに、毎日、寝る前に3本の映画を3倍速で観ている。
○店舗展開
・日本には、約1200ものFCチェーンがある。
・専門家の間では、顧客の指向が分散化してしまったので、今後1000店を超えるようなチェーンは出てこないと言われている。
・1号店だけを成功させるのは、店長の努力次第でなんとかなるので、それほど難しいことではない。
・2店目からは、人のマネジメントと同時に、オーナー地震の人格が問われることになる。
・2店目をクリアすると、あとは全部一緒という感覚でやっていける。
・1と2とは大きな壁があり、10〜30店の間にも中くらいの壁がある。
・楽して儲けるなら、2〜3店で回していくのが一番。
・一番大事なことは、店舗運用の一切を標準化すること。標準化とは、その道のプロでなくても、誰もがマニュアルを見れば今日からできる、というレベルに作業を落とし込むということ。
○フランチャイズの定義(社団法人日本フランチャイズチェーン協会)
「フランチャイズとは、事業者(「フランチャイザー」と呼ぶ)が他の事業者(「フランチャイジー」と呼ぶ)との間に契約を結び、自己の商標、サービスマーク、トレード・ネームその他の営業の象徴となる標識、および経営のノウハウを用いて、同一のイメージのもとに商品の販売その他の事業を行う権利を与え、一方、フランチャイジーはその見返りとして一定の対価を支払い、事業に必要な資金を投下してフランチャイザーの指導および援助のもとに事業を行う両者の継続的関係をいう。」
○フランチャイズで多店舗展開することのメリット
1.短期的に一気に増やすことで、市場にブランドが認知される。
2.スケールメリット。仕入の総数が増え、比すとを下げることができ利益率もあっぷする。
3.自分の提案する店舗、文化を世の中の多くの人に利用してもらえるという「ロマン」が、喜びに繋がる。